「大切なのはカウンセリングでのすり合わせ」患者さん希望の二重をできるだけ自然に仕上げるポイントとは?Taide Suenaga Clinic : 末永 裕信 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
まず、Taide Suenaga Clinicで行われている二重埋没法は、どのような方におすすめな施術でしょうか?
初めて目元の手術をされる方には二重埋没法がおすすめです。切開しないためダウンタイムが短く済むメリットがあります。
二重埋没法は、メスを使わずに針と糸だけで二重を作る施術方法です。
初めて整形手術をする方の場合、ダウンタイムが長いとその間に不安になり、精神的な落ち込みが生じる可能性もあります。また、施術後に罪悪感を覚えてしまう方も中にはいらっしゃるのです。そのため、初めての方には、ダウンタイムが長い二重全切開法ではなく、元に戻しやすい二重埋没法をおすすめしています。
一度切開すると、簡単には元に戻せないリスクが生じます。「二重手術をして失敗した」と患者さんが感じられるケースの多くは、二重の幅が広すぎた場合です。そのため当院では、二重治療が初めての患者さんと、幅広の二重を希望される方には、まずは二重埋没法をおすすめしています。
二重埋没法のダウンタイムはどれぐらいでしょうか?
3~5日でメイクが可能で、早い方であれば約2週間でほぼ完成します。
二重埋没法は、ダウンタイムが短いメリットがあります。最初は、かなり優しく触れていただく必要がありますが、3~5日ほどでメイクが可能です。
早い方なら2週間ほどでほぼ完成しますし、1か月経てばさらにすっきりとします。ほとんどの方が、1週間経てば、メイクをして外出されているようです。
すべての方が腫れないわけではありませんが、施術の際は、できるだけ腫れないように心がけてはいます。
二重埋没法は2種類の施術を行っているそうですが、どのような違いがありますか?
当院では、スタンダード法とマルチリンク法を行っています。マルチリンク法は、糸が取れにくいというメリットがあります。
当院の二重埋没法は、スタンダード法とマルチリンク法の2種類の施術を行っています。
スタンダード法は、シンプルな点止めの埋没法です。小さな2、3個の糸のループをまぶたの中に作り、その糸のループで二重のラインを引き込むという方法です。患者さんから裏止めにしてほしいというご要望がない限り、基本的には表止めにしています。
マルチリンク法(6点自然癒着法)は、1本の糸で複数の交差を作り止める施術方法で、自然癒着法と呼ばれることもあります。糸にかかる力はまぶた全体に分散しますので、スタンダード法よりマルチリンク法のほうが取れづらいというメリットがあります。なお、マルチリンク法も表止めで施術しています。
シンプルな手術であることを優先させるのであればスタンダード法がおすすめです。一方、効果の持続性を優先させたいのであれば、マルチリンク法をおすすめします。選ぶのは患者さんですから、お好みに合わせて選んでくださいとお伝えしています。
ただし、ある程度、二重の幅が広い仕上がりを希望される場合は、マルチリンク法の方がよいのではないかとお伝えしています。スタンダード法では取れやすいことも理由のひとつですが、まぶたの皮膚は構造上、目尻側が厚いため、厚みに負けて目尻が下がりやすくなったり、目尻のラインが浅く感じたりすることがあるためです。
目頭切開は蒙古ひだを切開または切除することで目を大きく、平行型二重に近付けることができる施術
目頭切開とはどのような施術でしょうか?
蒙古ひだを切開または切除することで、目を大きく見せたり、平行型二重に近付けたりすることができる施術です。
アジア人には蒙古ひだという上まぶたの内側、目頭の部分におおいかぶさった皮膚があります。この蒙古ひだを切開または切除すると、目が横方向、特に内側方向に大きく見えるようになるんです。
蒙古ひだを取ることで、目頭にあるピンク色の粘膜の涙丘(るいきゅう)が見えやすくなり、左右の目の距離が近付いて見えます。左右の目が近付くと、大人びた印象になりますね。白目も、目頭までよりはっきりと見えるようになりますよ。
二重手術と併用して行うと、目頭側の二重のラインもある程度見えやすくなるので、平行型の二重に近付けることが期待できます。
目頭切開は、Z法とW法の施術を行っていらっしゃるそうですね。それぞれどのような方におすすめでしょうか?
傷跡が目立ちにくいのはZ法です。W法はできるだけ目を大きく見せたい方におすすめの施術方法です。
当院では、Z法とW法という2種類の施術を行っています。
Z法は、皮膚の切開はしますが皮膚を切除する手術ではありません。目頭の部分をZ型に切開し、縫い合わせるときに皮膚を入れ替えます。垂れ下がっている蒙古ひだを持ち上げることで、目頭にかぶさっていた部分が軽減されるというイメージです。
蒙古ひだを切除しないので、Z法の方が傷跡は目立ちにくいと言われています。また、日本人が好むシャープさを保った目頭のまま横へ広げて見せる仕上がりにすることも可能なのがZ法です。また万が一、切りすぎてもある程度元に戻すこともできるのもメリットのひとつだと思います。
一方、W法は、蒙古ひだを切除する施術方法です。W型に切り込みを入れ、目頭を水平方向に引っ張ります。Z法が垂れ下がったひだを持ち上げるのに対して、W法では横に引っ張るので目と目の距離をぐっと近付けることができますね。
Z法より傷跡が残りやすいというデメリットはありますが、W法の方がよりしっかりと涙丘が出るイメージです。できる限り目を大きく見せたい方に向いている施術方法だと思います。
目頭切開の手術の傷跡はどれぐらいで薄くなりますか? また、施術を行う際に気をつけているポイントがあれば教えてください。
傷跡が薄くなるまでには半年から1年ほどかかります。傷跡ができるだけ残らないように、出血を少なくする施術を心がけています。
ダウンタイムはメイクで隠せるようになるのに1か月ほど、メイクなしでも大丈夫という状態になるには2~3か月ほどかかるとお伝えしています。
傷跡が薄くなるのは、半年~1年かかります。3か月ぐらいではまだ赤みが残っているところも、半年から1年ほどかけて赤みが薄くなり、次第に目立たなくなっていきます。しっかり保湿をして、あまりこすらないように気を付けていただければ、より目立たなくなっていくと思います。
施術の際には、できるだけ傷跡が残らないような工夫もしています。ポイントは出血を少なくすることです。出血が増えると、瘢痕(はんこん)や血腫ができやすくなったり、電気メスでの止血も必要になります。電気メスで焼灼すると熱ダメージも蓄積しますし、それも傷が治りにくくなる原因のひとつではないかと考えています。
麻酔の中には止血剤が入っているので、当院では出血を抑えるために、麻酔をかけた後、少し経ってから手術を始めるようにしています。また、万が一出血した場合にも、軽度であれば、なるべく電気メスを使わず圧迫止血を選択するようにしているのです。
目頭切開の施術後、後戻りする可能性はあるのでしょうか?また、後戻りのリスクを減らすために心がけているポイントがあれば教えてください。
後戻りのリスクは避けられませんが、リスクを減らすために靱帯を含む皮下組織の適切な処置を心がけています。
傷を縫い合わせると、縫われた皮膚はもとの場所に戻ろうとするため「後戻りはある程度あると思います」とカウンセリングの段階で伝えるようにしています。
ただし、できるだけ後戻りする可能性を減らすために、靱帯を含む皮下組織の適切な処置を心がけています。
靱帯の剥離が甘いほうが後戻りしやすく、できるだけ分けて組み直したほうが、縫合部が元に戻ろうとする力がかかりにくくなるのではないかと考えています。
「どうしたら後戻りが少なくなるか」ということを常に考え、ほかに方法はないかと試行錯誤しながら施術を行っていますね。
二重の手術で大切にしていることはカウンセリングによるイメージのすり合わせ
二重手術を希望される方へのカウンセリングについて、具体的にどのように行っているのか教えていただけますか?
ブジーという器具で二重のラインを擬似的に作りながら、どういったラインに仕上げるかを相談します。あまり広すぎないナチュラルな幅をおすすめしますが、広い幅を好まれる方もいらっしゃるので、こちらのおすすめと患者さんのご希望の間ですり合わせをしていくのです。
ブジーという棒状の器具を使って、実際に擬似的な二重のラインを作りながら、どういった仕上がりにするかを患者さんとすり合わせていきます。
二重の幅は、広ければ広いほど不自然になると私は考えているので、気付かれにくいナチュラルな幅をおすすめしています。ただ、患者さんから見ると、無難なラインで物足りないと思われることも多いようです。
男性は奥二重や末広型のシンプルな幅の二重を好まれる方が多いのですが、女性は幅の広い二重をご希望される方も多いですね。そこで、カウンセリングでこちらのおすすめする仕上がりと患者さんのご希望とをすり合わせていくのです。
ブジーを使えば、自分の目で実際の仕上がりが確認できるのですか?
すべてのケースをシミュレーションできるわけではありません。お見せできない場合は、シミュレーションできない幅であることをご説明し、それでも希望される場合は元に戻せる埋没法で施術します。
すべてブジーでシミュレーションできればよいのですが、ご希望される場所によっては擬似的なラインを作れないこともあるんです。
その場合は、手術では作れるラインでもシミュレーションで作れないラインだということをご説明します。「それならやめておきます」という患者さんの方が多数ですが、シミュレーションを確認できなくても「それでお願いします」とおっしゃる方も、たまにいらっしゃいますね。
その場合は、施術した後のことを考えて、二重埋没法でしか行いません。二重全切開法ではイメージと違った場合、元に戻すことができないためです。
実は、前の勤務先では、二重の幅のすり合わせで、手術を行うまでに4回カウンセリングを行ったこともありました。
患者さんのご希望が不自然な幅だと思ったので、「もう少しナチュラルな幅を」と、提案していたのですがご納得いただけず、4回目に「絶対に後悔しませんから」と言われ、ご希望の通りに手術を行ったのです。
結果的に、その仕上がりを気に入ってくださったようでリピーターになってくださいました。ただ毎回そのように気に入ってくださるとは限りません。やはり、すり合わせは大切だと考えています。
一重まぶたと蒙古ひだのお悩みを二重埋没法と目頭切開Z法で改善した症例
次に、具体的な症例について解説をお願いします。この症例の方はどのようなご希望でご来院されたのでしょうか?
この方は、手術を受けること自体が初めてだった方です。最初は、二重埋没法をご希望してご来院されました。
この方は、これまで手術をまったくしたことがない方で、二重埋没法を希望してご来院されました。「目頭切開は必要であればしてもよいです」というご希望でした。
また、蒙古ひだの形もできれば解消したいと考えていらっしゃいました。
二重埋没法に加え目頭切開Z法をご提案されたのはなぜでしょうか?
カウンセリングで二重の幅についてすり合わせていく中で、ご希望の形にするため目頭切開のZ法を追加することも提案しました。蒙古ひだの解消にもZ法がよいのではないかと考えたのです。
カウンセリングでは、ブジーを使い二重の幅をすり合わせていきました。すると、目頭側の方では、皮膚がかぶって二重のラインが見えづらくなる部分があったのです。二重幅をもう少し広くすれば、目頭の方の二重のラインも見えるようにできたのですが、あまり広い幅はこの方のお好みではありませんでした。
また、蒙古ひだの形もできれば解消したいとご希望だったため、埋没法と目頭切開のZ法をご提案したのです。Z法であれば、目と目の距離も寄りすぎた感じにならないのではないかと考えました。
「平行型のパッチリとした幅の広い二重になりたいです」というご希望でしたら、やはり目頭切開をおすすめしています。ただ、蒙古ひだがあるからといって必ずしも目頭切開が必要というわけではありません。目頭切開まで必要かどうかは、その方がどういう目になりたいかで決まります。
この方にも、「まず二重埋没法の手術をしてみて、それでも蒙古ひだのところが気になるなら後で目頭切開をするという形でもよいのではないですか?」と2回に分けての手術を提案をしました。
ただ、この方の場合は、二重埋没法と目頭切開Z法を1回で手術されることを希望されたので同時に行ったのです。
この症例のダウンタイムについて教えてください。
1か月後にご来院いただいた段階で、二重埋没法はほぼ完成していました。目頭切開の赤みはありましたが、メイクをすれば気にならない状態とのことでした。
この方の場合は、1か月後にご来院いただいた段階で二重埋没法はほぼこの幅で完成していました。
むくみもほとんど出ていませんでしたね。赤みはありましたが、「メイクすれば気になりません」とおっしゃっていました。メイクを落とすときに強くこすると赤みがでやすいことをお伝えし、その後、3か月経過したのがこの写真です。
最後に、お悩みがあるもののご来院をためらっている皆さんにメッセージがあればお願いします。
カウンセリングもアフターフォローも、患者さんに寄り添って行っています。カウンセリングではリスクもきちんと伝え、不必要な施術はすすめませんので、まずは気軽にカウンセリングにいらしてください。
カウンセリングでは、患者さんが希望しても必要ないと思うものは必要がないと伝えますし、リスクもきちんと伝えます。さらに、できないものはできないと正直にお伝えしています。私は、嘘をついてまで契約を取れない性格なんです。
カウンセリングからアフターフォローまで、誠実に、患者さんに寄り添った美容医療を提供しているという自負はあります。
このようなスタンスで診療を行っているので、当院を選んでくれた方は幸せになれるのではないかと思っています。その点に関しては自信がありますね。
手術をするかしないかを選ぶのは患者さんです。カウンセリングの後、すぐに手術を受けるように無理強いすることはありません。むしろ、カウンセリングの後はいったん持ち帰って考えてもらうことをすすめていますので、まずは気軽にカウンセリングにいらしていただければと思います。