「異常なし」と診断されるも症状が治まらない。そんな患者さんを助けます! 目黒静脈瘤外科心臓内科血圧クリニック:池生京子先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
最初に、クリニックの特徴や強みを教えてください。
総合病院の専門性とクリニックの利便性をあわせもっているのが強みです。
当院は下肢静脈瘤の治療を中心に、美容皮膚科や漢方内科など患者さんのご要望に応えて幅広く治療を提供しています。最大の特徴は、総合病院の専門性とクリニックの利便性をあわせもっていることです。
一般的な総合病院では、臨床検査技師がエコーを動画や映像で撮影して、あとから医師が見ますが、医師が望む角度で見れないことがあります。ですが当院では医師である私自身が診察と検査を同時に行っているので、気になった部位はすぐに確認できますし、患者さんにその場でご説明できます。診察・検査・診断を一度で行うことで、来院回数や待ち時間が少なくなり、気軽に受診していただいています。
患者さんとのコミュニケーションで大事にしていることはありますか?
他院で原因がわからなかった方も、不調の原因を見つけて必ず結論を出すよう心掛けています。
当院の患者さんには、他院で異常なしと診断されたけれど、不調が治まらないと言って来院される方も多くいらっしゃいます。ですから自分の専門の科だけで見て、「当科で取り扱う疾患ではありません」と放り出したりせず、 患者さんの全身の状態を診察して、不調の原因を突き止め、治療を提供するよう心がけています。
たとえば下肢静脈瘤に似た症状を持つ方の中には、脊椎の疾患を抱えている方も多くいらっしゃいます。下肢静脈瘤ではない可能性があればMRIを紹介し、MRIの結果から脊椎の疾患であることがはっきりした場合には、整形外科を紹介します。このように、当院での治療が難しい場合には、積極的に他院への紹介を行っていますよ。
当院に来てくださったからには、原因が分からないまま見放すといったことはせず、診断をつけ治療につなげることを使命としています。痛みの原因を見つけて、当院で治療できるものは治療し、専門的な治療が必要な場合は専門医を紹介しますよ。
痛みはほぼなく、5~10分ほどで終わる下肢静脈瘤手術
貴院では、下肢静脈瘤の手術を中心に行われているんですよね。下肢静脈瘤の手術について詳しく教えてください。
痛みはほとんどなく、手術時間は10分程度。術後もすぐに歩いて帰れます。
手術時間は大変短く、大伏在静脈という太ももの血管の手術は約8分で、ふくらはぎの後ろ側の血管である小伏在静脈の手術は約4分で終了します。
手術は短時間ですが、静脈周囲を保護する液を注入する時や、血管内に管を挿入する時に痛みが生じるので、局所麻酔や静脈麻酔(眠っている間に治療する)を使用して痛みを抑えています。傷跡はほとんどなく、カテーテルを入れるための挿入口が2mmできる程度です。
手術後、コブは少しずつ消えていきますが、すぐに消失させたい場合は、コブの部分を少し切り、コブを引っ張り出す処置も可能です。そうすれば翌日にはコブがなくなりますが、引っ張り出した箇所に傷がついてしまいます。
そのため、多くの方が自然にコブが消えるのを待つ選択をします。手術によって血液の逆流を止めれば、コブはだんだん小さくなりますので、わざわざ傷をつけて引っ張り出す必要はありません。術後は安静にする必要は全くなく、すぐに歩くことが可能で特に制限もありませんよ。
すごく安全な手術ですね!どのような症状の場合、手術をしたほうがよいのでしょうか?
皮膚炎や色素沈着、潰瘍などが見られれば、手術をおすすめします。でも、無理強いはしません。
皮膚炎や色素沈着、潰瘍などができている場合、手術をおすすめします。ただ、治療しないからといって命にかかわる疾患ではないので、手術をしたくない方には医療用弾性ストッキングでむくみを軽減し、生活習慣を改善して様子を見るのが一般的です。
ですが、コブができてしまったら、手術以外では物理的に治す方法はないので手術をご検討いただきます。
その他に手術をした方がいい場合はありますか?
あとは足がむくんで辛い・だるい・足がつって困るなど症状がつらく手術を希望され、ガイドライン上も手術適応に合致した場合です。
下肢静脈瘤はコブができる前にも、だるさが辛い、足がつる、夕方に足がむくむなどの症状でご相談に来る方が多くいらっしゃいます。診察をして下肢静脈瘤が疑われる場合には下肢エコーを行いますよ。
下肢静脈瘤の手術は、事前に患者さんが持つ基礎疾患や病変などのリスクを把握し、手術時間をできるだけ短くしつつも、満足のいく治療効果を得られるよう心掛けています。患者さんの費用やお仕事の都合なども考え、下肢静脈瘤の手術は基本的に日帰りです。
1回で楽になる肩こり注射も
美容皮膚科のメニューについて教えてください。
ビタミン剤の点滴や肩こり注射も自費診療で行っていますが、1番人気の施術はピーリングです。
ピーリングに興味がある患者さんが多く、待ち時間もなく15分程度で簡単に受けられるので、気軽に受けていただいているようです。
ピーリングは1か月に1回の施術を、3か月ほど続けると効果が出てくるといわれているので、定期的に来られる方が多いです。メニューは、ピーリングのみのコースとフルコースがあります。フルコースでは、ピーリングの後、吸収が良くなった肌にビタミンC、トラネキサム酸、アスタキサンチンを浸透させ、最後に日焼け止めを塗ります。
肩こり注射はどのようなものでしょうか?
筋膜をリリースして肩こりを楽にする注射です。「ものすごく楽になった」といった声が多いですね。
肩こり注射はハイドロリリース(筋膜リリース)注射といい、エコーガイドで筋膜を確認しながら、生理食塩水を注入する施術です。 施術方法が下肢静脈瘤の手術に似ており、肩こりに悩む患者さんがとても多いので取り入れました。
「すぐに肩こりがとても楽になった」「いつもマッサージに行っていたけれど、肩こり注射のおかげでマッサージに行かなくなった」というお声をよくいただきます。ですが、効果の持続期間は人によって異なるので、短いスパンで繰り返し来る方もいれば、1回の注射で満足する方もいらっしゃいます。
自費診療ですがマッサージに1回行くのとそれほど費用が変わらず、予約も不要なので人気な施術です。
漢方内科ではどのような治療をしているのでしょうか?
症状に合わせて薬をお出ししています。他の薬をたくさん飲んでいて西洋医学の薬では併用できないといった場合なども漢方を使います。
当院は下肢静脈瘤以外にも循環器内科や内科など、広く対応しています。たとえば漢方内科では、下肢静脈瘤で足がつる場合、芍薬甘草湯という漢方薬を出します。
基本的には西洋医学の薬を出していますが、なかには西洋医学の薬で対応できない場合や、すでに他の薬を多く服用していて併用できない場合などは漢方薬を使用します。
患者さんが抱えている様々なお悩みを聞いて、症状に合う漢方薬をいくつもお話します。その中で患者さんご自身に1番合いそうな薬を選んでいただき、納得された上で処方します。選択肢を広げることにより、患者さんに最適な薬を処方することができますよ。
患者さんに合わせて対応範囲を広げる
最後にこれから来る方にメッセージをお願いします。
いろいろな症状でお困りの患者さんのお力になれるよう、下肢静脈瘤の治療の他に、美容皮膚科、メディカルダイエット外来も行っておりますので、どうぞご相談ください。
患者さんが通院を続けるうちに、だんだんと関係が深くなり、様々な話をしていただけるようになりました。最初は私の専門分野の話だけを話していた方も、次第にそれ以外の悩みも話してくださるようになります。そのため、患者さんの悩みに応えたいという思いから、提供する施術の範囲を広げてきました。
現在も自分の専門分野にこだわり過ぎず、患者さんのお悩みに応じて提供できる範囲を広げていきたいと考えています。
総合病院のような専門性とクリニックならではの利便性で、できるだけ多くの患者さんのお力になれるよう頑張りたいと思っていますので、皆様には気軽にご相談していただけると嬉しいですね。