痛みが少なく治りが早い抜歯術。外科出身の歯科医師がおこなうプロの手技とは|千賀デンタルクリニック 田端院 吉野 文貴 院長
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
千賀デンタルクリニック田端院のコンセプトを教えてください。
歯科治療が苦手な患者様でも安心して治療に向き合えるよう、気持ちに寄り添い、痛みに配慮した治療をコンセプトにしています。
歯科治療が苦手な理由の多くは、治療時に何をされるかわからない恐怖が原因かと思います。そのため、当院では口腔内カメラやレントゲンを活用して説明し、治療前に口の中の状態をしっかり把握していただいた上で、患者様それぞれにあった最良の治療方法をご提案させていただきます。また、痛みが不安な方のために、麻酔時の痛みの軽減から術後の痛みを最小限にすることを心掛けています。
そして、安心して治療を受けていただくためには、丁寧なカウンセリングも重要だと考えています。カウンセリングでは現状のむし歯の本数や治療内容、治療期間を具体的に説明し、ご納得いただいた上で治療を進めるようにします。患者様が質問しやすい環境を整え、安心して治療に臨んでいただけるような配慮もさせていただいております。
このように、治療前に今後の治療計画を十分に説明することで、治療への不安を取り除くようにしています。また、インプラントや親知らずの抜歯に関しては専門のドクターが在籍していますので安心かつ安全な治療を提供させていただきます。
外科出身の医師によるプロの手技で抜歯の痛みを軽減
親知らずは抜いた方が良いものなのでしょうか。
歯茎から親知らずがでている場合は、歯茎の炎症や手前の歯のむし歯の原因になるので抜歯をおすすめします。
歯茎から一部見えている親知らずは歯磨きが難しいため、歯茎の炎症を引き起こしやすかったり、隣接する手前の歯のむし歯の原因になったりします。
一方、完全に埋まっていて歯茎の炎症もない場合は、無理に抜かずに様子を見る選択肢も考えられます。
親知らずは一番奥にある歯なので歯ブラシが届きにくく、磨き残しが生じやすいです。そのため、口臭や歯周病、むし歯のリスクが高まります。抜歯をすることでリスクを軽減し、口の中を清潔な状態に維持することができます。
親知らずの治療では、腫れや痛みを感じて来院される方もいますが、当院では別の歯科治療中に親知らずを見つけ、抜歯をおすすめすることも多いですね。
外科出身の医師が抜歯をすることのメリットをお聞かせください。
歯茎の傷が最小限で済むため、術後の痛みが少なく治りが早いです。また、神経麻痺のリスクを減らせます。
外科出身の歯科医師は、歯茎の切開や骨の切削などの抜歯に関する高い技術がありますので最小限の傷で済みます。そのため、術後の痛みが少なく傷の治りも早いです。
また、下に生える親知らずの抜歯は神経麻痺のリスクがありますが、外科医の技術力によってリスクを大幅に軽減することが可能です。
なお、当院ではCTを用いて神経と歯の距離を正確に把握します。その上で、力のかけ方や骨の削り方にもこだわり、神経に負担をかけないように抜歯を行いますので安心安全な抜歯が可能となっています。
親知らずの抜歯をする際の治療の流れを教えてください。
まずは口の中の検査を行い、感染予防のためクリーニングをした上での抜歯をおすすめしています。歯茎を切開・縫合した場合は1週間後に抜糸をします。縫合しなかった場合でも1週間後に消毒に来ていただいています。
最初に口腔内の検査を行い、細菌感染のリスク予防のためにクリーニングをおこなってからの抜歯をおすすめしています。抜歯は外科出身の歯科医師のいる日に予約をしていただきます。
予約状況次第では初診から約1週間後になることもあります。ただし、忙しくて何度も来院できない患者様もいらっしゃると思います。当日抜歯を受けたい方は、外科の先生の出勤日にあわせてご来院いただければ対応可能ですので、お問い合わせください。
抜歯は30分程度で終わりますが、当日抜歯ご希望の場合は検査やリスク説明と同意書の取得を合わせて約1時間程必要です。
抜歯の際に切開が必要かどうかについては、親知らずの生え方によります。たとえば、横向きに生えている場合や骨に埋まっている場合などは、歯茎の切開が必要です。また、切開後は縫合をおこないますので、1週間後に抜糸が必要になります。縫わなかった場合でも傷の確認と消毒のために来ていただいております。
抜歯の際に、痛みを和らげるための工夫を教えてください。
表面麻酔を用いて局所麻酔の注射の痛みを和らげた後、ゆっくりと麻酔液を注入することで麻酔の痛みを軽減しています。また、抜歯について熟知している外科出身の歯科医師が抜歯をおこなうことで傷を最小限にできるため術後の痛みを少なくできます。
最初に表面麻酔を塗り、その後の局所麻酔の注射の痛みを和らげます。局所麻酔をおこなう際は、麻酔液をゆっくりと注入することで痛みを軽減する工夫をしています。痛みに敏感な患者様には麻酔液が入る速度を一定に保つ電動麻酔を用いることもあります。
しっかりと麻酔が効いているかを確認してから抜歯しますので痛みに弱い患者様も安心してお任せください。
外科出身の歯科医師が抜歯をおこなうことで傷を最小限にできるため術後の痛みが少なく、傷も早く治ります。
自由診療により、むし歯をまとめて治療できる時代へ
短期のむし歯治療は、一般的な保険治療と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
1回の治療に時間をかけ、複数のむし歯を同時に治療できます。
一般的なむし歯治療は1回30分程度でおこなうため、通院回数が必要です。一方で短期のむし歯治療の場合、長めに時間をとり複数本のむし歯を一度にまとめて治療します。
当院ではむし歯の多い方は1回60分〜120分程かけてまとめて治療することが可能です。軽度のむし歯であれば30分で複数本のむし歯を治療することもあります。
むし歯の大きさによっては1回で終わらないこともありますので進行状態によっては1回の予約で長い時間を取らせていただき一気に治療を進めることもできます。
むし歯治療をおこなう際、削る範囲を最小限に抑えるために工夫されていることはありますか?
う蝕検知液を使用し、本当に削る必要があるむし歯だけを削るようにしています。
当院ではう蝕検知液というむし歯を青く染める液体を使用しながらむし歯を削ります。削っては染めてを繰り返し、染まらなくなるまで削っていくことでむし歯を確実に除去しながらも削りすぎないようにしています。
削った後の詰め物に関しては小さいむし歯の場合、光で固まるプラスチック素材のコンポジットレジンを使用します。大きいむし歯の場合には保険診療では銀歯になりますが、自由診療ではセラミックや金歯、セラミックに一部プラスチック素材が混ざったハイブリッドもご用意しています。
銀歯は保険適用なので安く治療できますが、隙間が空きやすくむし歯になりやすいデメリットがあります。一方で自由診療のセラミックや金歯、ハイブリッドは費用がかかりますが、隙間ができにくくプラークが付着しにくいためむし歯になりにくいです。
また、自由診療では、あまり保険診療では用いられない高価な型取り材や接着剤などを使用しています。
このように各種のメリットデメリットを説明した上で、最終的に患者様に選択していただきます。当院では、自由診療の詰め物を選択される方がやや多い傾向にあります。
むし歯を予防するために大切なことはどんなことだと思いますか?
最も大切なことは、高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使用して歯磨きをすることです。さらにフロスや歯間ブラシの使用もおすすめします。
むし歯予防には歯磨きが最も大切だと考えます。フッ素濃度1450ppmの歯磨き粉を使い、1日最低でも朝夜2回のブラッシングをしてください。
ただし、歯ブラシだけでは全体の汚れの約60%ほどしか取れていないといわれているため、夜だけでも良いのでフロスや歯間ブラシを併用することをおすすめします。併用することで約80%から90%の汚れを除去できるといわれています。
また、歯の表面に付着したプラークを100%除去することは難しいです。磨き残したプラークは唾液の作用で歯石となります。歯石になると歯ブラシでは落ちないため、定期的に歯科クリニックで歯石除去をおこなうことも大切です。
1つ1つの治療を丁寧に。意思疎通しながら安心できる治療を提供
患者様と向き合う上で大切にしていることを教えてください。
患者様の隣に座って、目を見て話すことを心がけています。
普段の診療では、患者様の隣に座りしっかりと目を見て話すことを大切にしています。表情の変化や理解度など些細なことにも気を配り、安心していただけるようなお声がけを心がけています。
患者様のお話に耳を傾けることを意識して、しっかり理解していただいているか確認しながら話を進めるように心がけています。また、歯学部で学んだ医学的根拠にもとづいた治療を今でも大切にしています。
歯学部卒業後は大学院に進み、保存修復学という分野について4年間学び博士号を取得しました。保存修復学とはむし歯や外傷などによって一部失われた歯をプラスチック素材や金属、セラミックなどで修復し、歯が本来持つ役割や機能の復元を目的とした学問です。
その後、都内の開業医院で経験を積み、現在は当院で院長を勤めながら、これまで勉強してきた保存修復に加えて歯内療法にも力を入れています。
これから来院される方へのメッセージをお願いします。
当院は丁寧なカウンセリングと痛みに最大限配慮した治療を心がけています。歯科治療が苦手な方でもぜひ、ご相談に来ていただけたら嬉しいです。
今後は、根管治療や詰め物の治療に用いられているラバーダム防湿法(※)を積極的に活用し、質の高い治療を提供していきたいと考えています。※口にゴムのカバーを張り、治療する歯のみを隔離することで唾液の侵入を防ぎ治療中の歯に細菌が付着しないようにする手法
また、歯科治療が苦手な患者様にも安心していただけるように引き続き丁寧なカウンセリングと痛みに配慮した治療を心がけていきます。歯科治療に不安がある方も、まずはお気軽にご相談に来てください。