
「1日の受け入れ人数を4人に制限しているんです。」自由診療を専門とする歯科医師が受け入れ人数を絞るたった1つの理由とは|赤坂さくら歯科クリニック 土黒 さくら先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー



赤坂さくら歯科クリニックの特徴を教えてください

再発を繰り返さない治療を患者さんに提案できるクリニックです
虫歯になった歯をただ治療するだけでは、虫歯や歯周病になった原因までは追求できません。なので、まずはヒアリングや審査・診断して原因を突き止め、患者様と信頼関係を築いた上で、一口腔単位で治療計画を提案していきます。
一口腔単位で全部治療が終わった後の定期検診は、歯のクリーニングというより、今ある状態が悪くならないように、異常を発見して、未病の段階で歯周病や虫歯の再発や悪化を食い止めていくことを目的に実施していきます。ですので、当院の定期検診は生涯にわたってということになりますね。

保険診療をメインとする歯科医院も多いかと思いますが、赤坂さくら歯科クリニックが自由診療専門にこだわる理由を教えてください

保険診療だと使える時間、機材、薬剤などに限界があるからです
保険診療だと保険のルールに則る必要があるので、時間・機材・薬剤などに限りがあります。患者さんにとって本当に必要な治療をしてあげたいのに、保険診療では実現できずにフラストレーションを感じることも多くて……。
保険診療の場合、処置に応じて点数が決まるため、しっかりとお話しする時間や検査する時間を十分に取れません。私は患者様のヒストリー・要望を全て聞くことや、しっかり検査することを大切にしたいので、治療に自由があり、患者さんと過ごす時間をしっかり取れる自由診療専門でやっていこうと決めました思いました。
自由診療専門なので、料金は全体的に他のクリニックより高いかもしれません。しかし、その分患者様も絶対に治したいという覚悟を持っていらっしゃる方がほとんどです。私たちもプロである以上、しっかり患者さんと向き合いたいので、1日に私が受け入れる患者さんの人数も4人までと制限させていただいています。
1人ひとりにじっくりと向き合うために、カウンセリングは1日4人までに制限


カウンセリングはどのように行うのですか?

口腔内の画像や動画を見せてわかりやすく説明し、患者さんの不安を取り除くようにしています
保険診療で時間が限られるクリニックでは、歯の状況や経過が不明のまま終了ということも多々あります。当院ではそういうことがないように治療前後のカウンセリングも大切にしています。
それから、当院ではマイクロスコープ(顕微鏡)を使っています。よくある拡大鏡は約2倍〜10倍ほどの度数ですが、マイクロスコープは6倍から40倍まで拡大できるのがメリットです。また、マイクロスコープは治療を録画ができるので、患者様に動画や画像を見せながら虫歯の状態や治療の詳細をお話しできるのも強みですね。
加えて、患者さんには安心して治療に望んでいただきたいので、完全個室のカウンセリングルームも用意しています。プライバシーも守れますし、相談しやすい環境なので、カウンセリングの合間に患者と世間話をすることもありますよ。

患者様のために日々取り組んでいることはありますか?

最新の情報や治療を取り入れ、確実に提供することです
患者様に最新の治療を提供するために、海外からの情報やトレンドをしっかりと得るようにしています。歯科治療の技術は10年前と比べても全然違いますしね。歯科治療の進化はとても早いので、キャッチアップし続けないと取り残されますし、他の医師とも差が生まれてしまいます。
また、今はインターネットを通じて知識を学んでから来院される患者さんもいらっしゃいますので、こちらの知識が不足していると患者様の希望が理解できなかったり、質問にも答えられなくなったりしてしまいます。当然のことですが、こちらはプロなので患者様の知識より何倍も上回っているべきですよね。

治療の痛みを抑えるための取り組みを教えてください

針を使用する麻酔の前に表面麻酔を使ったり、細い麻酔針を使用したりするなどの取り組みをしています
静脈麻酔や全身麻酔に関しては全て麻酔科医の先生が対応しています。麻酔を注入する痛みを抑えるために表面麻酔をしっかり置くようにしたり、とても怖がりな患者さんには静脈麻酔で、うとうと眠りながら受けられる治療も提供したりしています。起きたら治療が終わっているので快適ですよ。
また、当院では注射の痛みを抑えるために、35G(0.23mm)の細い針も使用しています。ただし、麻酔の針は細いほど痛みを抑えられる反面、麻酔の注入に時間がかかります。そのため当院では一番痛い最初だけ細い針を使って、その後に太い針に切り替えるようにしています。その分コストはかかりますけど、患者様は快適だと思います。
そのほかにも、歯の着色や柔らかい汚れを取る際に使うエアフローは、38度くらいのお湯を使用する最新のものを採用しているので、知覚過敏で歯がしみる人も安心して受けられますよ。
矯正から根管治療まで幅広い悩みに寄り添う


歯科矯正について教えてください

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2択で、マウスピース矯正は翌日にお渡しできるものもあります
の2種類のメニューを用意しています。ワイヤー矯正は抜歯したり、あごの位置を変えたりしながら行います。マウスピース矯正はインビザライン、キレイライン、ゼニュム、内製化しているサクライナーなど色々な種類を用意しています。サクライナーは私が治療計画を作成するので、緻密なものができますし、早ければ翌日にお渡しできますよ。
また、マウスピース矯正は透明かつ取り外し可能なので、金属のワイヤー矯正に比べて目立たない・歯磨きしやすい・痛みも少ないなどのメリットがあります。治療期間が長いイメージがありますが、今はほとんどワイヤー矯正と変わりません。
ただ、顎の骨切りが必要な方や、歪みが大きい方はマウスピース矯正では改善しない可能性もあります。なので、そういったケースの場合は、無理に当院で治療を進めるのではなく、まずは大学病院に紹介してオペの相談をしてもらった後に、当院で矯正治療を進めていいきます。

近年マウスピース矯正は、多くの歯医者さんで受けられる治療かと思いますが、歯科医師によって違いはあるのでしょうか?

患者さんが目指すゴールや担当医の治療計画によって全く異なります
インビザラインの治療計画は多種多様で、歯並びの目指すゴール、どの歯をどのぐらい動かすか、どの順番で動かすか、使用する器具など、先生によって全く違います。当院は矯正専門のドクターとできるだけ歯を削らない・抜かない方法を提案していて、ワイヤー矯正やセラミックとの混合治療も可能です。
また当院では、型取りを「iTero」という3Dスキャナーで採取しているので、これまでのようなネバネバで時間がかかる型取りで苦しい思いをすることなく、快適に歯型を取ることができますよ。
それから、シミュレーションでは上手く行っても無理にシミュレーション通りに進めた結果、患者様が辛い上に希望通りにならないこともあるでしょう。そのため、効果的な矯正治療を行うには、矯正に関するさまざまな知識や実務経験が必要不可欠なのです。

虫歯の根管治療で患者さんの負担を減らすための取り組みはありますか?

1〜2回の通院で終わらせることを目標にしていることです
根管治療では仮蓋(かりぶた)の時期があるのですが、この時期が長いと唾液から悪い菌が入るリスクが高くなります。なのでこの仮蓋の時間を短くするために、大体1〜2回の通院で終わらせることが目標ですね。
保険診療では1回の時間が長く取れないため、何回かに分けて通院で進めるのが一般的です。また麻酔は時間とコストがかかるため、使わないクリニックも多くあります。当院では1回の治療に時間をかけられるので、通院回数を減らしたり、麻酔を使用したりすることで、患者様の負担をかなり軽減しています。
自由診療は、その時は高く感じますが、抜歯してインプラントになると結果として料金も高くなりますので、はじめのうちにお金をかけておく方が、結果としてコスパはいいと思いますよ。

そのほか根管治療中のこだわりポイントはありますか?

治療中にラバーダムを取り入れ、患部に細菌を含んだ唾液が侵入するのを防いでいます
治療する歯以外を覆うラバーダム(ゴム製のシート)を使うと、口を開けた状態をキープする負担を抑えられるのと、喉にお水や薬液が流れないので、患者様にかかるストレスを抑えることができます。
さらに、細菌を含んだ唾液が患部に侵入しないため、治りもよくなります。薬液が喉に流れるのが防げていると、治療側としても強い薬剤を使いやすいですし、治療する範囲だけ集中できるので、お互いにメリットがありますね。
ただし、ラバーダムはコストがかかったり、慣れないと装着に5〜10分かかってしまい患者様が痛がられたりするので、敬遠される歯医者さんは多いですね。自由診療だからこそできる取り組みだと思います。

歯髄再生治療とはどんな治療ですか?

抜歯した親知らずや乳歯からとった神経を培養し、幹部に移植することで、歯の神経の感覚を取り戻す治療です
通常、虫歯になって神経を抜く場合、ゴムのような材料で詰めていくのですが、栄養が行き届かなくなるため、歯がもろくなってしまいます。
一方、歯髄再生治療なら、親知らずや乳歯など抜いた歯の神経の細胞を培養し、神経を取った部分に移植していくため、神経の感覚を取り戻せるのです。
歯髄再生治療で再生した部分には神経がありますので、歯の抵抗力が上がって長持ちしやすかったり、冷い熱いを感じられたりするなど、様々なメリットがあります。治療期間は大体3か月〜1年ぐらいです。
なお、治療される方は若いほど成功率が高く、結果が出ているのは69歳以下の方だけですね。ただし、若かったとしても虫歯が大きすぎたり、歯が割れてしまったりしていると再生できず、適用外になることもあります。また、移植する側の歯は、抜いた後すぐに培養する必要があるため、過去に抜いた歯は使えません。
親知らずを抜く際に、歯髄再生に関する案内があったら残しておこうと思われる方もいらっしゃると思いますし、子供の乳歯を自分に使えたりすることもあるので、今後こういった知識をどんどん広めていきたいですね。
患者様のお口の健康と美を生涯にわたって維持するために


YouTubeやSNSでの発信を始めた経緯を教えてださい

歯科医師として得てきたものを発信したいという気持ちからです
SNSやYouTubeを始めたきっかけは、自分の病院を知ってほしいという思いからでした。しかし、今でも継続できているのは、歯や口に関する知識をみなさんに発信したいという気持ちがあるからだと思います。
私のYouTubeを見ていただいた後に、近くに歯髄再生やマウススピース矯正をやっている歯医者がないからとおっしゃって、当院まで来てくださった方もいます。遠い方は岡山県から来てくださる方もいますね。
他にも当院で受けたいとおっしゃって海外から来てくださる方もいて。その分責任は感じますが、患者様からも生涯をともにするという思いを感じられるので嬉しいですよね。

赤坂さくら歯科クリニックの今後の展望を教えてください

同じ考えを持っているドクターを集めて近くの分院を展開していきたいです
今後の展望としては、より多くの患者さんに良い治療を提供したいので、診療ベッドや従業員を増やしたり、近くに分院を作ったりしていきたいです。
患者様は増えてきたので、同じような考え方を持っているドクターやスタッフを集めて分院展開していきたいなと思っています。