患者さんを「リアルライフステージ」へ。根本から症状を解決するセラミック治療とボトックス治療とは|幸町歯科口腔外科医院:宮本 日出 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
幸町歯科口腔外科医院のコンセプトについて教えてください。
最適医療を通じて、患者さんを「リアルライフステージ」にお連れすることを目指しています。
当院のコンセプトに含まれる「リアルライフステージ」とは、幼少期から老年期まで心身ともに健康であり、各年代における人生のイベントを満喫できる状態を指す造語です。
歯の健康を守ることで全身の健康を守り、「リアルライフステージ」にお連れしたいと考えています。
リアルライフステージを実現してもらう手段として、私たちは患者さんに最も適した治療を施す「最適医療」を実施しています。
これは、現在の症状を改善するだけでなく、症状の原因を生活環境や年齢の観点からも調べ、その後の定期的なケアと予防までおこなう医療の在り方です。
歯の健康と全身の健康にはどのような関連があるのですか?
口腔内の菌は全身に回るため、全身の病気の発症原因になる可能性があります。
たとえば、細菌によって歯肉に炎症が起こる歯周病は、心臓病や糖尿病など100以上の病気の発症原因であると言われています。
歯周病の原因となる、細菌が集合して形成された「バイオフィルム」を除去するためにも、歯科の定期検診は非常に大切です。
また、食べる、呼吸する、話すなどの生活に欠かせない基本的な動作には、正常な口腔機能が不可欠です。これらを満足におこなえる状態こそ、健康体だと言えますよね。
そこで当院では、すべての初診・再初診の患者さんに口腔機能検査を提供し、食事や呼吸に必要な機能が十分に発達しているかをチェックしています。口腔機能を客観的に把握することは、自分の口を長く使い続けるための第一歩となります。
商標登録済のセラミック治療
セラミック治療とはどのような治療ですか?
セラミック素材の白い詰め物・被せ物で歯を治療することです。
むし歯や歯の欠損を、陶器やセラミック素材を用いて修復するのがセラミック治療です。仕上がりが美しいことで人気ですが、治療後のメンテナンスが簡単で、周囲の健康な歯を傷つける必要がないため体に優しいという利点もあります。
当院でとくに人気のあるセラミック治療は、ハリウッドスマイル®とブリリアント®という当院オリジナルの治療法です。
ハリウッドスマイル®とブリリアント®の特徴をそれぞれ教えてください。
ハリウッドスマイル®は審美性が高く、前歯に用いることが多い治療法です。ブリリアント®は丈夫な歯に仕上がるため、主に奥歯の治療に用います。
ハリウッドスマイル®は、主に前歯に用いる治療法です。アメリカで10年以上ハリウッドセレブなどを担当していた技工士が技工物をつくります。豊富な経験を基に、前から見ても横から見ても丸みを帯びた日本人好みの前歯を、フルオーダーメイドで作成しますよ。
また、使用するセラミックの色味にもこだわっています。白すぎる歯で不自然な印象にならないよう、透明感のある自然な白のセラミックを選び抜きました。ハリウッドスマイル®をされた患者さんは、若々しく生き生きとした口元になれますよ。
それに対して、ブリリアント®は主に奥歯に用いる治療法です。噛む際に強い力がかかる奥歯ですが、人工ダイヤモンドとして知られる「ジルコニア」を素材に使うため、余程のことがない限り、割れたり欠けたりしません。
金属ではなくセラミックで治療をするメリットは何ですか?
食事メニューの選択肢が限られることや、見た目のコンプレックスなどの、患者さんの悩みを改善できることです。
他の詰め物をしていた患者さんがブリリアント®を受けたところ、以前は歯が欠けるのが心配で好物を食べられなかったのが、治療後は自由に好きな食事を楽しめるようになり、非常に喜んでいました。
また、ある患者さんは、ハリウッドスマイル®で前歯の治療を受けた後、子どもの頃からの夢だった図書館の受付の仕事に挑戦できたとおっしゃっていました。
施術前は前歯がコンプレックスで人と接するのが億劫だったとのことですが、治療によって克服されたそうです。
施術を受けた患者さんの中には、施術後に鏡を見て感動で泣き出す方もいます。セラミック治療は歯の機能を改善するだけでなく、コンプレックスを抱く患者さんの心のひずみを和らげる効果もあるのでしょう。
治療期間はどのくらいかかるのですか?
最短期間は2週間で、長いと半年ほどかかります。患者さんが納得できるまで改善を続けますよ。
歯の型を取り、その型通りに差し歯をつくるだけであれば、最短2週間程度で終わります。
ですが、いきなり治療するのが不安な方は、仮歯を装着して新しい歯を体験することもできるため、その場合、完成までに半年ほどかかる方もいらっしゃいます。
他人の症例を見て歯を決めるのはなかなか難しいと思いますので、服を試着するように仮歯で試すところから始めることで、理想の歯を見つけていただきます。
仮歯を装着した患者さんには2週間に1回ほど来院していただき、感想や要望をお伺いしながら歯の形を修正します。
リクエストに応えていくと、最終的には最初に提案した歯の形に落ち着くことが多いですが、仮歯の装着期間は決して無駄ではありません。患者さんが納得してベストな形を選ぶためには、いろいろな歯の形を体験することが不可欠です。
セラミック治療には5年間のメンテナンス保証を付けているため、治療後も定期的にご来院いただきます。上質な素材を使用しているため、ケアするのはセラミックそのものよりも、根幹となる歯や歯茎が中心です。
ボトックスで顎関節症を改善
顎関節症とはどのような症状ですか?
口が開きづらかったり、口の開閉時に痛みがあったりする症状のことです。
顎関節症とは、あごの関節がカクカクと鳴ったり、口が開きづらかったりする症状の総称です。筋肉痛のような軽い症状から、あごの骨が変形するような重い症状まで幅広い症例があります。
顎関節症の原因はさまざまですが、主な原因は歯ぎしり、食いしばり、うつぶせ寝、頬杖などが挙げられます。実はスマホの長時間使用も、猫背で下を向く姿勢が続くため、顎に負担がかかります。
その結果、スマホの使用が増加したコロナ禍で、顎関節症の方が増えたというデータもあるんですよ。
固いものを食べると顎が痛くなる方や、口の開閉時に痛みが出る方には受診をおすすめします。私は、顎関節症の指導医・専門医であるため、安心して治療をお任せいただければと思います。
顎関節症はどのように改善するのですか?
症状によりアプローチは異なりますが、よくある原因の歯ぎしり・食いしばりへの対応にはボトックス治療がおすすめです。
歯ぎしり・食いしばりを続けるのは、顎の筋トレをずっと続けることと同じです。顎関節症になるだけでなく、咬筋(こうきん)が発達してエラも張ってしまいます。
歯ぎしり・食いしばりの負担を緩和する代表的な治療はマウスピースですが、これは歯ぎしり・食いしばり自体をなくす治療方法ではありません。そこで、当院はボトックス治療を導入しました。
ボトックスを打つと筋肉が弛緩するため、歯ぎしり・食いしばりの癖を改善できます。エラの発達を抑えることで、小顔効果も期待できるため、とくに女性に人気です。
患者さんが納得して治療を受けるための秘訣とは?
先生の経歴を教えてください。
大学を卒業して一度病院に就職した後、オーストラリアの大学に留学して顎関節の研究をおこないました。
大学卒業後、地元にある石川県立中央病院に就職しました。働くうちに口腔外科への研究意欲が高まり、就職した6年後にはオーストラリアのアデレード大学に留学しました。
アデレード大学では羊を使って顎の研究をしていました。留学中に合計100頭以上の羊を手術し、アデレード大学での研究は、日本顎関節学会で優秀賞をいただきました。
帰国後は明海大学歯学部口腔外科で教員を務め、2007年に幸町歯科口腔外科医院を開院して現在に至ります。近頃はよくメディア出演の依頼もいただくため、テレビで私の顔を見たことがある方もいるかもしれません。
診療において大切にしていることを教えてください。
患者さんに納得の上で治療に進んでいただくことです。地域の患者さんと信頼関係を築き、長いお付き合いができることを望んでいます。
患者さんをカウンセリングする際は、悩みを的確に理解できるまでお伺いします。その後、悩みに沿って治療に関する情報を提供し、治療方法を患者さんに選んでいただきます。
このような傾聴、情報提供、患者さんによる治療方法決定の3ステップは、心療内科でも多用されるカウンセリング方法です。最終的な決定を患者さんに委ねることで、治療内容への理解と納得感を深めていただけるため、途中で挫折する方が少なくなります。
診療の際は決して一方的にならず、患者さんに納得していただくことを重視しています。多くの方と長くお付き合いできることが当院の理想です。実際に、開院当初の17年前から現在まで同じ患者さんに寄り添っているスタッフもいますよ。
歯科医師会や大学歯学部の支部長を務めたり、メディアに露出したりと、全国民の健康を促進するための取り組みは今後も続けていきたいですが、やはり地域の患者さんがあってこその当院だと思っています。
今後も地域の方々に選び続けていただけるように、患者さんへのリスペクトを欠かさず、治療面にも設備面にもこだわり続けます。