「いつまでもおいしく食べるために」健康な歯を残すむし歯治療・歯磨き指導とは?|まつむら歯科クリニック:松村 賢 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
クリニックのコンセプトを教えてください。
コンセプトは、「いつまでもおいしく食べる」です。
コンセプトは「いつまでもおいしく食べる」です。過去に勤務していたクリニックの患者さんの多くが、噛むことについてあまり関心がありませんでした。
「見栄えがよければよいので前歯だけきれいにしたいです。奥歯は治療しなくてよいです。」と言われたこともあります。そのような方にはいつも「前歯だけで食べられますか」と問いかけていました。
このように「いつまでもおいしく食べたい」ということが治療のキーワードになることが多かったため、クリニックのコンセプトとして掲げることにしました。
歯科治療を提供することで、この地域に一生健康な歯を保てる方が増えていくと嬉しいですね。
先生が得意としている治療を教えていただけますか?
被せ物や入れ歯をする補てつ治療を得意としています。
奥羽大学歯学部を卒業し、1年間研修をしました。その後、東北大学大学院歯学研究科で被せ物や入れ歯をする補てつ治療を専門とした科に進学し、4年間過ごしました。研究と臨床の毎日のなかで、噛むことについて深く学びました。
そのため、むし歯治療や審美歯科など、被せ物や入れ物をおこなう治療が得意です。また、歯磨き指導にも力を入れています。
現在、治療では、人によって噛み方が異なるため、どう噛ませるかを意識しながらその方にあった被せ物・入れ歯などをつくるようにしています。
また、当院には技工士が2名おり、技工士が患者さんに直接ヒアリングをおこなうので、精度の高い補てつ物の作成が可能です。
1人ひとりに合わせた徹底的な治療。口内トラブルを根本から解決
むし歯治療でのこだわりを教えてください。
痛みを抑えること、なるべく削らないこと、できるだけ抜かないことの3点です。
むし歯治療では、痛みを少なくするために、局所麻酔を使用し、痛みをしっかりと軽減させたうえで治療をおこなうことを徹底しています。
また、健康な歯をなるべく削らないために活用しているのが、むし歯部分を染めるう蝕検知液です。これにより、むし歯になっている部分を明確に確認できるため、健全な歯質を残せます。
できるだけ歯を抜かないためにおこなっているのが検査の徹底です。歯を抜く際には、はっきりとした根拠がなければいけないと考えています。
そのため、レントゲン検査などで抜歯が本当に必要か判断し、「この数値が悪いから抜歯が必要です」と患者さんに根拠を説明をしたうえで抜歯をおこないます。
また、治療時にはマイクロスコープで十分な視界を確保し、見落としが無いよう注意しています。
歯周病治療どのようにおこなっていますか?
歯周病学会のガイドラインに沿った治療と歯磨き指導を提供しています。
当院では、歯周病学会の歯周病治療のガイドラインに沿った治療を提供しています。検査をおこない、検査結果とガイドラインをもとに、患者さんと話し合いながら治療方針を決めていきますよ。
また、治療以外に重視しているのが日々のセルフケアです。どれだけよい治療を受けても、歯を磨かなければ再び汚れて炎症が起こってしまいます。
そのため、当院では歯科衛生士を中心に歯磨き指導をおこなっています。歯磨き指導では、磨き残しの部分が染まる歯垢染色液で汚れをチェックし、その方が苦手としている歯磨きのポイントを指導しますよ。
歯磨き指導について詳しく教えていただけますでしょうか?
歯磨き後に残った汚れが20パーセント以下になるまで繰り返し指導をおこないます。
歯磨き後の汚れを20パーセント以下まで減らすことで、歯周病やむし歯のリスクを大きく下げられます。
日本人の約7割が歯磨きを1日2回しているといわれており、歯磨きの回数に問題がある方はあまりいません。
ですが、歯磨きをしていても汚れを取りきれていない方が多く、検査をおこなうと汚れの数値が高いことがほとんどです。
そのため当院では、大きなディスプレイで患者さん自身に口内の磨き残しを見てもらいながら歯磨き指導をおこないます。
「こんなに磨けてなかったの」とびっくりされる方が多くいらっしゃいますよ。また、歯列には個人差があるので、その方に合った歯磨きの仕方を指導することもポイントです。
審美歯科ではどのような治療を提供しているのでしょうか?
使用する部位によって材質を使い分けています。
審美歯科では、ジルコニア、e-max、ガラス系のセラミックを扱っており、いずれも白いセラミックの素材です。ジルコニアは硬い素材のため、臼歯部と呼ばれる奥歯に使用します。
e-maxとガラス系のセラミックは見た目がよいので、前歯への使用が多いです。
部位に適した素材を使うことで、セラミックの持続力が高まり、色味が理想に近づくので、患者さんにより満足していただけます。
初診では一笑いしてもらうことが目標
患者さんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
初診では、くすっと一笑いしてもらうことを目標にしています。
心がけているのは、なにに不満や不安を感じているのかを聞くことです。そうすることで、診断がしやすく、正しい治療方針を立てることができますし、患者さんも安心して治療を受けられます。
むし歯や歯周病の根本原因を解決したいと考えているので、治療期間が長くなることもありますが、その分患者さんについて深く知りたいと思っています。
また、むし歯や歯周病は、生活習慣が原因で発生することがあるので、スタッフも含め、患者さんと世間話をするようにしています。現在の症状だけでなく生活全体についてコミュニケーションを取るようにしていますよ。
初診の方を診察する際には、緊張をほぐしてもらえるように、くすっと一笑してもらうことを目標にしています。たとえ笑っていただくことは難しくても、「だからこうなったんだな」と患者さんに納得してもらうことで、緊張がほぐれ、さまざまなことを話していただけます。
また、私自身、クリニックのある宮城県大崎市出身なので、方言なども含め話しやすい環境をつくれていると思いますよ。
今後の展望について教えていただけますか?
いつまでも美味しく食べるために嚥下(えんげ)分野の治療にも力を入れていきたいです。
今後は、噛むことだけでなく、飲み込むことである嚥下への支援をしていきたいです。現在は補てつ治療を通して、噛むことへの手助けをしています。ですが、いつまでも美味しく食べるためには、正常に嚥下ができることも重要なポイントになります。
嚥下機能は50代からすでに衰え始めると言われており、口腔機能低下症を発症し、進行すると嚥下困難になることもあります。
当院では嚥下機能を取り戻す治療を提供するために、言語聴覚士や内科医などと協力しながら、嚥下分野にも力を入れていきたいです。
ご来院される方には、「なにに困っているのか」をお伝えいただきたいです。最適な治療を提供いたしますので、まずはご気軽にご相談いただければと思います。