「歯のストレスは全身の不調を招く」歯周病・むし歯だけでなく、肩こりや頭痛・腰痛まで治るかみ合わせ治療とは|タカラデンタルクリニック 高良 巖 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
タカラデンタルクリニックでかみ合わせに重点をおいた治療を提供している理由を教えていただけますか?
かみ合わせが悪いと、口元が歪んで美しさに欠けるだけでなく、全身の健康状態の悪化にもつながるからです。
当院がかみ合わせ治療に力を入れているのは、むし歯や歯周病を治しても、更には矯正治療をしても正しい咬み合わせになっていなければ虫歯や歯周病の再発、顎関節症による全身症状の原因になるからです。
かみ合わせが悪い方の多くは、歯並びが悪く見た目が美しくないと悩んでいますが、それだけでなく、全身の不調を招いていることがあります。たとえば、首・肩こりや腰痛、頭痛・片頭痛、不眠、疲れなどが続いている方は、かみ合わせの悪さが原因の可能性があります。
かみ合わせが悪いとなぜ健康に悪影響が生じるのですか?
かみ合わせが悪いことで発生する頭位バランスの崩れを補おうとして、対側に過剰な負担がかかるからです。
私たちの顎は、頭蓋骨の耳周りにある側頭骨と下顎の骨が顎関節でつながっています。下顎の骨は、顎関節でぶら下がっている状態で、この関節を支点に動きます。
かみ合わせが悪いと、口を開け閉めする際に支障が出ます。たとえば、奥歯のかみ合わせが低い場合、下顎の骨が顎関節へ通常より深くくいこむように動きます。横から歯並び咬み合わせを見たとき下顎の骨が後ろへさがってかんでいます(前後のズレ)。それにより関節円板が前へ押し出され顎を動かすとカクカク音がしたり、顎ズレがおきます。よって、上の図左側の下顎頭が関節円板に負担をかけない奥歯の高さになっていることが重要です。
正常な歯並び・かみ合わせですと、正面から見たときに上顎の正中と下顎の正中が中央で揃います。ところが右の奥歯が低いと下顎の骨は右にズレ右の顎関節に負担がかかり、左の奥歯が低いと下顎の骨は左にズレ左の顎関節に負担がかかります。
すると咀嚼筋である咬筋など口周りの筋肉に過剰な負荷が生じ、首や肩の筋肉にも余計な負担がかかります。そして、下顎のゆがみが頸椎・胸椎・腰椎へと負担が波及し、頭痛や肩こり、腰痛などにつながってしまうのです。
また、歯並びが悪いと歯がうまく磨けず、磨き残しが増えてしまうため、むし歯や歯周病の原因になることもあります。
さらに、かみ合わせの悪さが顎関節症につながる場合も多くあります。大きく口を開けた際、下顎が「カクッ」「ジャリジャリ」と音が鳴ったり痛みが走ったりするのは顎関節症の症状です。また、下顎が左右どちらかに歪んで開く方や正面から見て顔の左右どちらかが歪んでいる方、上の前歯の歯肉と下の前歯の歯肉が前後的にずれている場合も要注意です。
かみ合わせが悪いことでほかにどのような悪影響がありますか?
歯ぎしりの際に、歯に大きな負荷がかかってしまいます。
かみ合わせが悪い状態で歯ぎしりをすると、一番負担のかかる歯が余計にすり減るだけでなく、朝起きた際に、顎がだるい・疲れが取れないと感じてしまいます。
実は、歯ぎしりは音がする方と音がしない方がいるものの、ほとんどの方が日常的におこなっている動作です。旅行やお酒を飲むなどの目が覚めている意識下でのストレス解消ではなく、人間が寝ているとき本能的に行うストレス解消行動で、私たちが生活する上で必要不可欠な行為だということがわかっています。そのため、顎に負担をかけない奥歯の高さと歯ぎしりをした時奥歯どうしがあたらない正常な歯並びとかみ合わせにすることで、歯や歯肉の負荷を減らしてあげることが大切です。
歯並びとかみ合わせは違うものなのですか?
歯並びは良くてもかみ合わせが悪いケースはよくあります。
一見、きれいに並んでいるように見える歯でも奥歯のかみ合わせが低く下顎頭により関節円板に負担がかかっていたり下顎を横に歯ぎしりした時に奥歯同士が当たって奥歯に負担がかかっていることはよくあります。
矯正の際に正中線が揃っているかを気にする方はとても多いのですが、それだけではなく、歯が隙間なくきれいに並んでいるかや、奥歯が顎関節に負担をかけない状態でしっかりと噛めているかなども重要です。
最近人気のマウスピース矯正では、マウスピースに押されて奥歯が低くなってしまうことがあります( 圧下)。その結果、せっかく歯並びをきれいにしたけれど、かみ合わせは悪くなってしまうことがあるので注意が必要です。当医院では圧下を防ぐ方法で行っています。
かみ合わせ治療の流れと効果
タカラデンタルクリニックでのかみ合わせ治療の流れを教えてください。
「頭蓋・下顎システム検査」をして、正常なかみ合わせになるよう治療計画を立てます。
むし歯や歯周病など一般歯科の治療目的で来院した方にもかみ合わせの重要性を説明して、希望があればかみ合わせの根本的な治療につなげています。
かみ合わせ治療の流れは、まず歯型を取り、三次元的にどのように歯が並んでいるかを診断します。口内を模型にすることで患者さんご自身が、自分の歯並びを目で確認できるのです。その後レントゲン・CT撮影をおこない、頭蓋や下顎、かみ合わせのバランスなども検査します。
この時、ガンマーシステムやオクルーザーなどを使い形態分析・顎運動検査・咬合力バランスを調べます。CTによる立体的考察や頚椎のユガミなども見ます。
その上で、正しいかみ合わせにするために、矯正治療、審美歯科治療、インプラント治療などを含めた総合的な治療をおこないます。ちなみに、当院でインプラント治療をおこなう際は、ただ歯が抜けた位置ではなく矯正治療で歯並び咬み合わせを正常な状態にして歯の欠損部分の正しい位置に埋入します。
上の図は矯正治療をして右下の第一小臼歯のスペースをつくり、同部位にインプラントを埋入しセラミック冠をセットし
ました。歯並び咬み合わせが正常で正しい位置にインプラントが埋入されています。
上顎と下顎がかんでいる面にフイルムを入れて思いっきり咬んでもらい、それをオクルーザーという機器で読み取り全体的なかむ力とバランスを調べます。この検査は実際にそのかみ合わせが正しくかめているか、かみ合わせの機能を調べる唯一の方法です。この検査は他の歯科医院ではほとんど行われていない当院の特徴です。この検査をしない限り具体的にかみ合わせがどうなっているかを知ることはできません。
上の図はオクルーザーで読み取った咬合力バランスを見ています。治療前はかみあわせの重心が右前方に偏っていましたが治療後はほぼ中心の位置でかんでいます。また、かむ力も治療前は98.6㎏から治療後は683.7㎏と約7倍も強くなっています。このようにオクルーザーで調べない限りかみ合わせの本当の機能は分かりません。歯並びが悪い人はもちろん矯正治療をして歯並びが良くなった方でもオクルーザーで調べない限り具体的なかみ合わせの機能は確認できないのです。
また、「頭蓋・下顎システム検査」ではチャートを用いて全身的・歯科的症状の確認、咀嚼筋などの圧痛、開口量・経路も調べます。
下の「CMS機能・筋肉チャート」では右側の治療前は
・アトピー性皮膚炎
・頭痛・偏頭痛がおきやすい。
・首・肩など、コリや痛みがよくある。
・聴力が落ちてきた。
といろいろな全身症状がありましたが、かみ合わせの治療後にはこれらの症状がなくなっています。この方はほんの一例ですが正常な歯並び咬み合わせになることで肌キレイになったり口周りのシワがとれたり、他にも様々な全身症状が消失・改善しています。
※1
でも治療費って高いですよね……。治療費はどれくらいになりますか?
百万円単位になることがありますが、歯は一生使うものだと考えると決して高くはない治療だと思います。
治療費は患者さんの口腔内の状態によって異なるため、一概にどれくらいが目安だとは言えません。かみ合わせ治療は歯並び顎ズレを治す矯正治療や低い奥歯の高さを高くするセラミック治療、歯の欠損がある場合はインプラント治療などを行うので、百万という単位になることはよくあります。
ただ、私たちの体のなかで、口や歯は使用頻度が高く使用期間も最長な器官です。食べ物を食べたり、発音したり、顎位で頭位のバランスや姿勢を維持したりと、絶えず何かの動作をしています。さらに、一生使うものなので、十分価値のある投資だと思います。仮に治療費が150万円だとして、あと50年生きるとしたら、1年あたり3万円で、1カ月あたり2500円です。美容外科と違い年間200万円までの医療費控除も使えるのでコストパフォーマンスはとても良いと思います。
当院では3年間金利負担なし最長84回の分割払いができるデンタルローンがあります。その他にも無理のない支払方法をご相談できます。
かみ合わせを治すメリットを教えていただけますか?
口元の見栄えが良くなるだけでなく、むし歯や歯周病にかかりにくくなります。また、あらゆる全身症状や精神疾患の予防改善になります。
多くの方が実感されるのは、口元の見栄えが良くなることです。自分の歯並びは特に悪いほうではないと感じていた方も、治療後、上下左右対称にきれいに並んだ歯を見ると、かなり違う印象になったと感じていただけるはずです。
白くてキレイな歯並びになるので自信をもって歯を見せて笑うことができます。しっかりかめると脳が活性し、うつ病や認知症などの精神疾患の予防改善になります。快適で楽しい人生を過ごせます。
また、食事の時に噛みにくい、顎に問題があり口がスムーズに開けにくいと感じていた方は、それらの解消によって毎日のわずらわしさから解放されます。また、先ほど説明した全身の不調がかみ合わせが原因だとしたら、かみ合わせが改善することによってそれらの解消も期待できます。
歯磨きがしやすくなるので、むし歯や歯周病のリスクも下がりますし、正しく歯ぎしりができるようになるので、ストレスが効率よく軽減しますよ。
美しい歯並びと機能的なかみ合わせを手に入れたい方はぜひ一度、ご相談にいらしてください。
(※1)30代女性「総合的なかみ合わせ治療」矯正治療とセラミック治療で総合的な治療をした症例
⚫︎相談内容:「左上6番の詰め物が取れた」「歯がしみる」とのことでご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果:ご相談にあった通り、左上6番の詰め物が取れており、その部分がしみている状態でした。
奥歯の詰め物が取れるということは、その部分に不必要な負荷がかかっている可能性が高く、虫歯にもなりやすい傾向があります。結果として奥歯の詰め物が取れてしまった可能性が考えられます。
⚫︎行ったご提案・治療内容:当院では患者様ご自身の歯型を用いて、噛み合わせとお口全体のバランスについて説明を致します。
今回は患者様より根本的なかみ合わせから見直す治療方針をご希望されました。そのため、取れてしまった詰め物の治療の他に、総合的なかみ合わせ治療を行いました。
⚫︎治療期間 矯正治療:約1年半
⚫︎セラミック:約半年
⚫︎おおよその費用:矯正治療約100万円(調整料等含む)
⚫︎セラミック:約60万円(前歯部)
⚫︎術後の経過・現在の様子:上顎と下顎の正中と下顎の正中が一致してかみ合わせも整い、見た目もきれいになったので大変ご満足いただけました。またこの患者様は当院での治療後にご結婚が決まり、私達も大変うれしい思いでした。ご満足いただける結果となり、何よりです。
⚫︎治療のリスク:セラミックは欠ける・割れの可能性
矯正治療は後戻りを起こす可能性