「歯科から全身の健康を取り戻す」なかなか治らない症状を治す慢性病巣・金属アレルギー・噛み合わせ治療とは|吉川歯科医院:吉川 涼一 院長
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
吉川歯科医院の治療の特徴を教えてください。
目の前の歯科治療だけでなく、体全体の健康を考えた治療を提供しています。
当院では「歯科から全身の健康を取り戻そう」をコンセプトに、虫歯や歯周病など目の前の症状だけでなく、体全体を考えた診療を行っています。
当院の特徴的な治療として、病巣感染を改善する慢性病巣治療、歯科金属アレルギー治療、噛み合わせ治療があります。この3つは自費診療になりますが、患者様の症状にもっとも良いと思う治療方針を提案しています。
お口の病巣感染とは何でしょうか?
歯周病、虫歯、智歯周囲炎(親知らず)などができることで、細菌が血流に乗って全身に回り、病気につながることです。
病巣感染とは、体のなかに「慢性病巣」ができてしまい、病巣とは離れた場所に病気が現れることです。
口の中の慢性病巣には、歯周病、虫歯、親知らず、歯性上顎洞炎、根尖病巣(歯の根っこの先にできる病巣)の5つがあります。
慢性病巣の細菌が血流に乗って全身に回ることで、糖尿病や骨粗鬆症などが悪化したり、なかなか治らない病気・症状の原因となります。
慢性病巣治療はどのように行うのですか?
治療には特殊な技術が必要。抜歯も改善に繋がります。
慢性病巣のなかでも症状が強いのが、歯の根の先に膿が溜まった状態である根尖病巣ですが、治療するのはかなり特殊な技術が必要です。
内容によっては根管治療専門医を紹介することもありますが、成功率は低いです。どうしても治らない場合は、抜歯を推奨することもあります。
銀歯や被せ物の芯から発症する「歯科金属アレルギー」の症状と治療
銀歯などが原因で起こる歯科金属アレルギーでは、どのような症状が現れますか?
口の中の金属によって、全身にさまざまな不調が起こることがあります。
銀歯やセラミックの中の金属芯などが原因で、全身にさまざまな不調を起こす歯科金属アレルギーがあります。
症状は人によってさまざまで、湿疹や肌荒れなどの皮膚炎、自律神経失調症、不眠、鬱、頭痛などが挙げられます。肛門周囲炎も代表的な症状ですが症状は多岐に渡ります。
例えば皮膚炎が起こったとしても、歯の金属が原因と考えて、歯科に行く人は少ないと思います。患者さんはどうやって歯科に辿り着くのでしょうか?
どこの病院に行っても治らなくて、ネットで色々調べて来られるケースがあります。
普通は皮膚炎と歯科はリンクしないので、みなさんまずは皮膚科に行きます。
しかし、どの病院に行っても症状が治らず、ネットで色々調べた結果、口の中の金属が原因かと思って歯科へ来られるケースが多いです。
金属アレルギーを疑われて来た方には、保険外にはなりますがアレルギーテスト(パッチテスト、血液検査)でアレルギーチェックを行います。また、CTを撮ることで根尖病巣等の慢性病巣があるかどうかも判断できますね。
歯科金属アレルギーの治療はどのように行うのですか?
前提として、口の中に金属を入れないことが一番。入っているなら取っていくしかないです。
まず大前提として、歯を健全に保ち、口の中に金属なんて入れないというのが一番です。しかし、既に金属を入れてしまっていてなんらかの症状が発症しているのなら、もう外すしかありません。
そして、金属アレルギーなどの問題を抱えている訳ですから、金属不使用のジルコニアを被せものに使うようにしています。
噛み合わせの悪さが首・肩こりから腰痛・膝痛まで引き起こす
噛み合わせ治療についてお伺いしたいのですが、歯並びと噛み合わせは違いますか?
歯並びが悪いこと、噛み合わせが悪いことは全く別の問題です。
歯並びが悪いというのは歯がでこぼこしていたり、出っ歯であったり受け口であったりすることです。
一方で、歯並びを矯正してもよく残ってしまうのが噛み合わせの問題で、噛み合わせが悪いというのは上下の歯が上手く噛み合っていない状態のことです。噛み合わせの悪さから頭と下顎の頭(下顎頭)をつなぐ顎関節がずれてしまい、左右で噛みやすさが変わったり、全身の不調に影響したりします。
噛み合わせが悪いと、どんな症状が現れますか?
顔の表情が明らかに左右非対称になったり、めまいや耳鳴り、首こり、肩こり、腰痛、膝痛などさまざまな不調が起こります。
噛み合わせが悪いと、人の身体は噛みやすい方に顎をずらして噛むようになります。その結果、顔の表情が明らかに左右非対称になったり、左がよく噛めるのに右はあまり噛めなかったりといった症状が現れます。
さらに、全身の状態にも影響します。まず、顎関節は耳の近くにあるので、めまい、耳鳴り、難聴など耳の症状は充分起こりうるでしょう。さらに、顔の筋肉は首から肩の筋肉にかけて繋がっているので首・肩こりが起きます。
そして、噛み合わせの悪さによって重たい頭が左右のどちらかに傾くことにより、バランスをとろうとすることで腰の位置もズレていきます。そこから腰痛が起こり、膝も曲がることから膝痛も起こります。
歯並びが悪いだけではここまで多くの症状は起こりませんが、噛み合わせの問題は全身に影響します。そのため、歯の治療をする際は、噛み合わせ治療、金属アレルギー治療、慢性病巣治療の3つをまとめて行わないと、全身の健康には繋がりません。
噛み合わせの治療はどのように行うのですか?
奥歯の噛み合わせを高くして、前歯や全体を調整していきます。
噛み合わせの治療は、ほとんどの場合「奥歯のかみ合わせ位置を高くする」という方法がとられます。
まずは正しい位置を見つけるために、薄いシートを左右の奥歯で噛んでもらい、シートを徐々に厚くしていきます。シートを厚くしていくと奥歯が高くなっていくので、前歯が当たらなくなってきます。奥歯を高くした状態でぎゅっと噛んだときに、上下の前歯が軽く当たる状態が正しい位置ということです。
位置を測ったら、一番奥の歯にレジンというプラスチックを少しずつ歯に足して高さを出していきます。そして高すぎたら少し削る…というのを繰り返します。一番奥の歯を足していったら、一本手前の歯も位置に合わせて被せ直していき、上下の奥歯がピタッと当たるようになったら、奥の歯を改めて削り直して被せものをします。
仕上げに、隙間ができているところを盛り足したり被せたりして、すべての歯が噛み合う状態にします。
なかなか治らない体のお悩みは、歯科治療で改善する可能性あり
先生とお話ししていると患者さんのお悩みに真摯に向き合っている印象があります。患者さんと接する際に、意識していることはありますか?
どんな悩みでも否定せず、相手の話をじっくり聞くように心がけています。
患者様のなかには、一般的に歯科医が対処できないような症状を相談される方もいます。しかし、どんな内容でもじっくりと聞くように心がけていますね。
例えば幻覚のような症状があると仰る方がいました。そのような場合でもただ「精神科に行ってください」と言うのではなく、まずはじっくりとお話を伺います。そして、患者様の気持ちは絶対に否定しません。こういった姿勢は、患者様から教わったことです。
最後に、歯や健康のお悩みがある方や、これから訪れる方に向けて一言お願いします。
なかなか治らない症状で困っている方は、慢性病巣治療、歯科金属アレルギー治療、噛み合わせ治療で改善する可能性があります。
どの病院に行ってもなかなか治らない病気や症状で困っている方は、慢性病巣治療、歯科金属アレルギー治療、噛み合わせ治療で改善する可能性があります。これをしたら絶対治るという保証はありませんが、この3つをセットで治療することで、さまざまな体の不調が改善される可能性があることを伝えたいです。
また、今回お話しした内容を詳しく解説している書籍を出版しております。もしご興味がありましたら著書の「その病気、「診方」を変えれば治ります」を、ご覧いただければと思います。