プラス15分の説明がカギ。違和感を残さないむし歯治療とは?|N.S. デンタルクリニック:長里 康史 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
N.S.デンタルクリニックでは、どのようなむし歯治療をしているのでしょうか?
耐久性と適合性が高い詰め物を使い、今後むし歯にならないような治療を提供しています。
今後、むし歯にならないような治療するのが基本の考え方です。なぜなら、詰め物を入れる、かぶせる、治すといった施術は治療のゴールではなく、スタートだからです。そのため、詰め物やかぶせ物が壊れないようにつくりますし、患者さんにもそれらが壊れないように歯を使っていただくことが重要です。
詰め物には、ハイブリッド素材と呼ばれるCAD/CAM冠(キャドキャム冠)を使います。これは、セラミックとプラスチックをあわせて作られており、色が白く、金属よりも適合性が高い素材です。
保険診療での話になりますが、ハイブリッドは適合性が金属に比べて良く、強度は金属の方が硬いです。
但し、適応範囲が決まっているので、全てに対応が出来るわけではありません。
また、詰め物、被せもので、耐用年数、強度が良い材料となると自由診療のセラミックになります。型どりの材料も異なりますし、自分が詰め物を入れるとしたら保険診療の材料は選びません。セラミックであれば金属アレルギーとも無縁ですし、歯ぎしり、くいしばりがある方の場合は独自のマウスピースを使用して頂き破損から守ります。
施術中に意識していることはありますか?
詰め物を入れたあとの違和感がないような施術をすることです。
心がけているのは、治療後の違和感がないように施術をすることです。患者さんにお話を聞くと詰め物に違和感があると伝えても「使っているうちに慣れるから」などと言われることも多いそうです。しかし実際には、慣れるまで身体にはたくさん負担がかかっています。
負担がかかり続けると、いずれ身体か詰め物が壊れてしまうため、治療箇所にしっかりと合う精度の高い詰め物が必要です。当院では加工精度の高い機械を活用しながら、丁寧に施術しています。その結果、詰め物の処置が終わると「違和感が全然ないです」と言ってもらえますよ。
施術の痛みについてはどうでしょうか?
麻酔注射から施術まで、痛みが最小限になるように工夫しています。
局所麻酔をかけて処置をするので、施術中の痛みはほとんどありません。また、麻酔針を刺す時の痛みもかなり少ないです。これは、患者さんからフィードバックをもらいながら、4〜5年かけて痛みの少ない麻酔注射を習得しました。患者さんの中には、「最近は麻酔を注射しないんですね」とか、「麻酔っていつするんですか?」などと言われることもあります。
また、麻酔を追加すると効きが悪くなるため、レントゲンでむし歯の深さを確認して、はじめから十分な量の麻酔をかけます。麻酔注射から施術まで痛みがほとんどないので、施術中に寝てしまう方もいますよ。
治療で大切にしていることはありますか?
患者さんが納得して治療を受けられるようにすることです。
当院は、回転率重視のクリニックではなく、丁寧な説明や施術を重視しています。ある治療は、通常15分〜30分程度で終わるのですが、当院では丁寧に説明しているので、最短でも45分程度かかります。しかし、このプラスの15分で材料の耐用年数が変わってくるので、それが適切だと思っています。
歯周病についてはどのような治療を行なっているのでしょうか?
歯石の除去とマウスピースを使った予防を行います。
歯周病の原因は、歯を支えている歯槽骨に負荷がかかることで骨と歯茎が下がることだと考えられています。そこで、当院の歯周病治療では、歯石の除去とマウスピースを使った歯槽骨への負荷のコントロールをします。
歯茎を開かないといけないような深い位置にある歯石除去を行うと、歯質を傷つけてしまい、知覚過敏の原因となってしまう可能性があります。そのため、基本的には歯と歯茎の境の汚れが除去の対象です。また、歯槽骨が損傷し空洞がある場合には、歯茎を開いて洗浄し、人工骨を入れる治療をします。
マウスピースは、噛みあわせ治療でも使用されるものです。就寝時に装着してもらい、歯槽骨にかかる負担を減らすことで歯周病の進行を予防します。
噛みあわせが原因でむし歯ができやすくなる
噛みあわせが悪いとどのような症状が出るのでしょうか?
むし歯や歯茎の出血、知覚過敏などが起こります。
噛みあわせが悪いとむし歯や歯茎の出血、知覚過敏などが起こりやすくなります。また、肩こり、頭痛、寝つきの悪さ、睡眠の質の低下など、一見噛みあわせが原因とは思えないような症状が現れることもあります。
そのため、歯のクリーニングやむし歯の検診などで来院されて、噛みあわせの問題も見つかるケースが多いです。その場合には、マウスピースで歯にかかる力を減らして歯を守ってく治療をします。むし歯になりやすい体質だと思っている方はぜひ相談していただければと思います。
マウスピースはどれくらいの期間使用するのでしょうか?
歯を守るために使い続けていただくことをおすすめしています。
マウスピースは、使い続けてもらったほうが、歯を失う可能性を限りなく減らせます。使い心地がよく、「使わないと寝られない」といった方も多いです。去年の2月から1年間で160個ほどマウスピースをつくりましたが、痛みを感じた方はほとんどいらっしゃいませんでした。
また、マウスピースの作成時に歯を治療する必要がないため、歯の型を取って作成するだけですぐに装着できます。歯を削るような治療に比べて、マウスピースであれば、はめればバランスがよくなり、外せば元に戻るので安心です。
ソフトタイプのマウスピースに比べて大きさがコンパクトで異物感が少ないため、皆さんに使ってもらいやすいと思います。
信念は「やるからにはきちんと治す」こと
先生のご経歴について教えてください。
いくつかの個人医院に勤務したあと、売上よりも患者さんを大切にしたいと思い独立を決意しました。
大学卒業後、何軒かの個人医院に勤務し、それぞれのクリニックが得意とする施術を学び、技術を磨きました。
その後、患者さんと向き合う時間を持ちたいと思い、独立を決意しました。「やるからにはきちんと治す」という信念をもって治療に取り組んでいます。
クリニックのコンセプトについて教えてください。
コンセプトはむし歯を治すところではなく、健康な状態を維持する場所です。
病院というイメージを払拭し、美容室やサロンのようなイメージに近づけたいと思っています。
また、歯医者は痛くなってから行くイメージが一般的に強いですが、むし歯を治すだけではなく、むし歯や歯周病を予防して、健康な歯の状態を維持する場所になりたいですね。
そのため、クリーニングだけでなく、歯並びや骨格などを診ながら、むし歯になりやすい所を見つけるために検診を行なっています。検診の役割は、おいしいものを好きなように食べて生涯を全うするために、注意すべきポイントを見つけることだと考えています。
患者さんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
患者さんが求めていることを十分に理解し提供することです。
意識しているのは、患者さんが求めているものと私が理解したものを合致させることです。そこの温度差を限りなくなくすことが1番大切だと思っています。
言葉だけでは不十分なので、実際に鏡を使うなどして説明を行います。詰め物の材質についても、適合性のよさやその理由、保険適用と自費診療での違いなど、患者さんが納得できるような説明を意識しています。
今後についてはどのようにお考えでしょうか?
歯に関わるさまざまなことを来院いただく方以外にもお伝えしていきたいと思います。
歯科治療のあり方やお口の中のケアの仕方を周知していくような活動をしたいです。
歯の健康維持については、皆さんが知らないことがたくさんあります。たとえば、食事の時以外に歯と歯が接しているのは異常な状態です。上の歯と下の歯は、通常2mm〜3mm離れています。そのため、日常的に噛みしめていると、むし歯になってしまいます。
このような歯医者に来なければわからないようなことを、もっと多くの方に伝えていきたいと思っています。
最後にメッセージをお願いします。
今までの歯科治療で納得できていない方は、ぜひ一度ご相談いただけたらと思います。
今までの歯科治療で納得できていない方はご相談いただけたら嬉しいです。歯科治療では、「詰め物を入れたがうまく噛めない」など違和感が残ってしまう場合もあると思います。当院では、患者さんの求めるものを違和感なく提供できるよう、しっかりと説明しながら治療を進めていきますので、是非お任せいただければと思います。