虫歯再発リスク低!できるだけ健康的な歯を残す虫歯治療とは?みつおデンタルクリニック 高津 光雄先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
みつおデンタルクリニックを一言で表すとどのようなクリニックでしょうか?
CTやマイクロスコープを使い、徹底的な検査にこだわるクリニックです。
当院の特徴は、やはり検査に力を入れている点ですね。CTやマイクロスコープ・顕微鏡を使い、できるだけ歯を抜いたり神経を取ったりせず、歯を残す治療を提供しています。
一般的な検査は、再診料や初診料に含まれるものなので、力の入れようは病院によって異なります。しかし、当院では保険診療であっても、初診で来た患者さんには、全員無償でCTとマイクロスコープを使った検査を実施しています。
CTやマイクロスコープ・顕微鏡を使った検査では、どんなメリットがあるのでしょうか?
虫歯の有無や虫歯の大きさがとても分かりやすいです。
一般的な拡大鏡の限度が8〜10倍な一方で、当院で使うマイクロスコープは25倍まで拡大できます。口内の写真や映像を鮮明に撮れるため、患者さんに向けてしっかり治療の説明ができるのがメリットです。
もう1つは、口内や歯の断面を三次元的に見られるCTです。歯を削る前に歯の内部を確認できるため、「削ってみたら予想よりも虫歯が大きくて、神経を取ることに…」といった治療方針の変更が起きにくく、患者さんの安心感にも繋がりますね。
歯の健康寿命を伸ばす!虫歯治療のこだわりとは?
貴院で行われているできるだけ削らない虫歯治療とは、どのように行われるのでしょうか?
虫歯の特徴に合わせて削ります。虫歯の入り口は小さく削り、歯の中で広がる虫歯を削って、歯の形・輪郭を残すよう心がけています。
昔は、虫歯部分を大きく削って歯型を取り、模型を元に詰め物や被せ物を作って歯に付けるやり方が主流で、今も行われています。この方法だと、虫歯の削り残しは少ないものの、健康な歯まで削られてしまい、歯の寿命を短くしたり噛み合わせを悪くしたりします。
しかし、当院では虫歯の特徴に合わせて削ります。虫歯は歯に小さい穴を開けて侵入し、歯の中で大きく広がります。例えるならアリの巣です。よって、中で広がる虫歯はしっかりと削りますが、入り口は小さく削ります。そうすることで健康な歯を多く残せて寿命が伸ばせると考えています。
とくに、手前の方にある奥歯に虫歯ができている場合、横から削って樹脂を詰めることで噛み合わせを全く変えずに治療できます。難しい治療になりますが、術前後で噛み合わせが変わらないため、顎の調子が悪くなるリスクも避けられます。
虫歯再発は患者さんの避けたいところですよね。プラスチックの樹脂は虫歯ができやすいと聞いたのですが、実際はどうなのでしょうか?
樹脂の付け方によって虫歯再発の可能性は大きく変わります。
一般的にセラミックの方がプラスチックの樹脂よりも歯との段差ができにくく、掃除がしやすいので虫歯再発のリスクは低いです。ただ、セラミックは本来削る必要のない健康な歯まで削るため、歯に負担がかかるデメリットがあります。
なお、プラスチックの樹脂でも、丁寧に詰めることで段差を無くし、虫歯再発のリスクを下げられます。当院では歯の輪郭を残してプラスチックの樹脂を詰めるので、段差や隙間をできるだけ無くすことが可能になり、虫歯再発の可能性を減らしています。
歯と歯の間に虫歯ができたら、削った部分を段差なく詰めるのは大変ですよね。自然な歯の形に詰めるためにどのような工夫をされているのでしょうか?
輪郭を残す歯の削り方を採用しているため、あとは詰めるだけで自然な歯の形を再現できます。
先ほど話した削り方なら、段差や隙間を作らず自然な歯の形を再現できます。歯の輪郭が残っているので、歯の周りに器具を巻いてプラスチックの樹脂を詰めるだけで、自然な歯の形を作れますよ。
この輪郭を残す削り方とプラスチックの樹脂の詰め方は保険診療内でも提供できます。高価なセラミック等が不要なため、患者様は歯を削る量も費用も抑えられます。
正直な治療で最大限の結果を目指す
保険診療と自由診療の両方を扱う上でのこだわりはありますか?
良心に沿った治療をすることを常に心掛けています。
歯の神経や歯自体を抜かないといけないような大きな虫歯でも、正しく治療すればそのほとんどを残す事ができます。また、丁寧に検査すれば、着色汚れを虫歯と見間違えず治療をせずに済むことができます。
保険診療と自由診療には時間や材料の差はありますが、行うことはどちらも医療ですので、良心に従ってどちらも区別せずに全力で治療することにこだわっています。
患者さんは治療をしてくれる歯医者さんの言うことを信用しがちだと思いますが、歯医者さんによって治療内容は変わるのでしょうか?
そうですね。歯医者によって治療内容は大きく変わることがあります。
やはり1回通った病院を変えるのは大変なので、患者さんは先生の言うことを聞いておこうとなりがちだと思います。しかし、患者さんの歯と歯の神経を残すか・抜くかの判断は歯医者によって変わります。その歯医者の持つ技術、経験、得意とする治療によって、治療方針や結果は大きく変わるんです。
神経や歯はなくなってからでは取り戻せないものなので、歯医者は偏りのない正直な診断を行い、残せる神経と歯は努力して残すべきです。
正直に診断してもらえるのは、患者さんにとって嬉しい限りですね。ちなみに、先生は自由診療についてどうお考えですか?
自由診療はお金稼ぎと思われることもありますが、一番の違いは患者さん1人にかけられる時間なんです。
保険診療で歯医者に支払われる報酬は、治療にかける時間は関係ありません。
例えば、着色を虫歯と見間違えて削って3分で治療しても1本約3,500円ですし、大きな虫歯を1時間かけて慎重に治療しても同じ3,500円です。報酬が少ないため、治療に多くの時間をかけることができないために、治療の不備が起きやすく、それが虫歯の再発、治療のやり直しにつながりやすいのです。
自由診療と保険診療の1番の違いは時間です。1時間以上時間をかけて丁寧に虫歯を治療し、それを自由診療で費用をいただく先生も最近は増えてきていますが、それも正しいことだと思っています。
時間以外にも、保険診療には使える材料、器材に制限があります。そのために、使いたい材料、器材が使えず、患者さんの歯と神経を残せないことがあるのです。
このように、自由診療を行うのはお金ではなく、患者さんの歯を時間をかけてしっかりと治したいと思うからです。ですので、最適な治療を提供するために自由診療専門で行う先生も正しいと思っています。
治療時間というと、歯のメンテナンスにも比較的長い時間を取っていらっしゃるのはなぜでしょうか?
歯科衛生士さんが余裕を持って丁寧に働けるように長めの時間をとっています。
メンテナンスにかける時間は、30分が一般的です。しかし、勤務医時代に30分のメンテナンスで時間が足りず大変な思いをしている衛生士さんをたくさん見てきた経験があるため、当院では45分以上をとっています。
衛生士さんが余裕を持って働けないと、患者さんのメンテナンスもおろそかになってしまい、虫歯の再発に繋がってしまいます。衛生士さんには働きやすい環境を、患者さんには丁寧なメンテナンスを提供するために、45分以上かけるのがちょうどいいと考えています。
最後に今後の展望を教えていただきたいです。
安心して治療を任せられるような医療を提供できるよう努力していくので、ぜひいらしていただければと思います。
最近は来院を希望される患者様が増えて嬉しいのですが、予約に空きがなく多くの初診の方を断ってしまっている状況です。よって歯医者を増やすことも考えています。私自身も変わらず精進し、今後もたくさんの患者様に良い歯科医療を提供するのが今後の目標です。
安心できるような、ここに来てよかったと思ってもらえるような医療を提供できるように、これからも努力していくので、できるだけ歯を残したい人はぜひいらしていただきたいです。