アットホームすぎる!「愚痴や悩みを気軽に聞ける存在でいたい」りかこレディースクリニック院長 内田里香子
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
まずはじめに、モナリザタッチとはどんな悩みを解消できる治療なのでしょうか?
尿漏れや性交渉時の痛み・ヒリヒリ・かゆみなどの改善が期待できる治療です。
モナリザタッチは、膣内や尿道の入り口付近・外陰部にレーザーを当てることで、うるおいやハリを加える治療です。ふっくらと厚みのある膣内に若返る効果が期待できるので、尿漏れや頻尿の改善を感じる人が多くいらっしゃいます。
更年期に起きる尿漏れの原因は、加齢により膣がペラペラになり、尿道の入口を引き締める力が弱くなるためです。
治療を受けられる患者さんは、50代前後の方が多く、治療後は尿道が引き締まり、突然ピッと漏れてしまう尿も減ったとの声をいただいています。
モナリザタッチは何回くらい受ければ効果を実感できますか?
3回当て終えた3ヶ月後には尿漏れを感じにくくなっているでしょう。
モナリザタッチは、1回受けただけでは効果を実感しにくいです。標準的なペースは1か月に1回当て、全部で3回当てていただければ効果を実感できるでしょう。また、その効果は8ヶ月〜10ヶ月は持続しますよ。
ただ、膣内全体的に垂れや伸びが起きている方だと、3回だけでは悩みが解決されない人もいますね。とはいえ、ピッと出るような尿漏れには治療薬がないので、悩まれている方はこのレーザーを使ってみることをおすすめしています。
デリケートな部分のレーザー治療となるとダウンタイムや痛みが気になります……。
大きなダウンタイムやリスクはありませんよ。痛みは、少しびっくりするくらいです。
モナリザタッチのダウンタイムはほとんどなく、治療後は当日だけお風呂に入るのをやめていただければ、あとは普通に生活できます。ただし、性行為は3〜4日はやめた方がいいですね。
また、火傷などトラブルも未だにありません。リスクがあるとすれば治療中の痛みくらいです。人によっては尿道の周りで痛みを感じたり、麻酔クリームを塗っても痛みを感じたりする人もいます。
レーザーを当てられる感覚は、小さな針でプチプチっと刺される感じで、個人的には腕の光脱毛より少し痛いくらいですね。そのため多少の痛みさえ我慢できれば、他に心配する必要はないですよ。
月経困難症・PMSに悩む人におすすめ!低容量ピル
ピルの処方に関しては、どのような悩みで来院される方が多いですか?
生理痛や生理不順に悩む20代の方が多くいらっしゃいます。
患者さんの主な悩みは生理痛や生理不順です。そもそも生理に関する悩みは、男性ホルモンと女性ホルモンのバランス変化によって生じます。ピルには男性ホルモンの量を調整する効果があるので、生理に関する様々な悩みの解消につながるんです。
たとえば、女性の体で男性ホルモンが多くなると、感情をコントロールできずイライラしてしまいます。こういう方には男性ホルモンを抑えるピルを。逆に落ち込みやすくなる人には男性ホルモンを増やすものをなど悩みに合わせてピルを処方しています。
また、生理前にニキビができる原因は、男性ホルモンが増え、皮脂の分泌が多くなるためです。この場合も、男性ホルモンを抑えるピルを処方しています。
女性にとってメリットが多いピルですが、未だ悪いイメージを持っている方も多いですよね。
そうですね。そういった方には一生懸命説明しますが、患者さん本人は服用を許諾してくれても、親御さんには反対されることも多くあります。
丁寧に説明しても「やっぱり生理は自然に起こるものじゃないですか」「生理周期をそんなに伸ばしたら生理不順じゃないですか」と言われることもあります。
しかし、今は保険診療内のピルが増えてきています。重い生理を1か月に1回から3ヶ月に1回に変えられますし、旅行や海の予定も立てやすいですし、素晴らしいと思っています。
ネガティブなイメージを持っている方には、「ピルは元々自費診療だったけれど、厚生労働省が認めて保険診療になったんだよ」と説明すると納得されることが多いですね。
それでも親御さんが反対される場合は、「ピルを飲んでる人の方が学業成績いいことや生涯年収高いデータがあるよ」と説明をしたら、喜んで受け入れてくれることが多いです。ピルで1か月に1回休んでしまう人と比べたら、ピルで体調をコントロールできてる人の方が成績はいいですよね。
どれだけ丁寧な説明を受けても、やっぱりはじめてピルを飲む人は不安があると思いますが、患者さんが安心してピルを飲んでもらうための取り組みなどはありますか?
服用中のフォローとしてLINEで相談できる体制を整えています。
副作用の説明だけでなく、何かあった際も気軽に聞けるようにLINEで相談できる体制を整えています。
よくある副作用としては吐き気ですが、使い続けることで解決することも多くあります。1〜3ヶ月ほど飲み続ければホルモンバランスが整ってくるので、一度副作用が出ただけで飲むのをやめず、継続していただきたいです。
副作用が出ても飲み続けることが大事なんですね。ピルといえば自由診療のイメージがありますが、保険診療と自費診療のそれぞれの適用範囲を教えていただけますか?
病気と診断されれば保険適用、ニキビの悩みのみなら自費になります。
保険適用になるのは、月経困難症・子宮内膜症と診断された方のみです。ただし、生理痛の悩みだけでも月経困難症と診断されることが多いので、当院は保険適用での処方がほとんどですね。
ただし、生理前のニキビの悩み単体に関しては、保険が適用されず自費診療の扱いになります。
最近はオンラインピルのサービスも話題ですが、クリニックでピルを処方してもらうメリットを教えてください。
クリニックなら対面で診察できるので、ちょっとした悩みも相談しやすい点はメリットだと思います。
当院には「オンラインサービスでピルを飲み始めたら不正出血があり、心配になったので相談しにクリニックに来ました」と言って来院される方が多くいらっしゃいます。
実際、当院でピルを処方する人の半分は、ピル目的で来院したわけではなく、生理不順などの相談を受けている中でピルが欲しくなった人たちです。
直に説明した方が細かいニュアンスが伝わると思っているため、少しでも不安がある人はクリニックで説明を聞いてから処方を受けることをおすすめします。飲みはじめて安定してきたらオンラインサービスに移ってもいいので、悩みを持ったらまず相談してもらいたいですね。
ピルを勧める際、具体的にはどのようなことを説明するのでしょうか?
悩みに応じて服用するピルの種類やリスクが異なることを説明します。
オンラインサービスでピルを服用している人は、「1シート飲んでいれば、この日に生理くるんでしょう」というように何も理屈を知らずにただ飲んでる人が多いと思います。
ただ、PMS・生理痛・生理不順・避妊など、悩みや目的によって必要なピルの種類が変わります。もし別の新しい悩みが出てきたり、悩みが緩和されればピルの種類を変える必要もありますね。
また、ピルの種類によってリスクも異なり、副作用リスクを十分理解しないまま服用してしまうと、知らぬ間に血栓症や発疹が起きてしまいます。そのため効果やメカニズム・リスクを理解してもらった上で服用するよう促したいですね。
ピル利用が初めての人には、クリニックでの処方の方が安心ですね。ちなみにピルの服用に年齢制限はありますか?
下は小学校高学年から、上は50歳まで飲めます。
オンラインサービスだと18歳未満は買えないことがありますが、当院では生理が3回以上来ていて、保護書の同意があれば何歳からでも処方できます。
受験勉強をしたいのに生理前で寝込んでしまう子や、中学受験の日と生理日を被せたくない方だと、小学校の高学年から服用されています。
また、上限については学会のガイドラインで50歳までと決められています。ただし、年齢が上がるにつれて血栓症のリスクがあるため、1年に1回の検診を必ず受けるようピル服用者全員に対してお願いしていますね。
どんなことも気軽に相談される存在になりたい
りかこレディースクリニックはどのようなきっかけで開業されたのですか?
お産の当直に行こうとした時、子どもに泣きつかれ、留守番させたくないと思ったことがきっかけで開業しました。
私の母は心臓が悪かったため、幼い頃から病院に行く機会が多くありました。当初は薬剤師になろうと思っていたのですが、友人に医者の道を勧められて、医者になりました。
そして大学卒業後に市中病院に就職し、産科の病院に入局しました。当時は子どもを4人育てていて、週に1回の当直に行こうとすると子供がもうボロボロと泣くんです。「いやや、行かんといてくれー!」って。
その涙を見て、「私は一体何やってんねん」と感じましたね。それから、4人の子供を留守番させる必要がなく、当直もない仕事といえば開業だと思い、自分でクリニックを開くことにしました。
毎週木曜日に夜診があると思いますが、どういった背景で始められたのでしょうか?
仕事帰りに薬をパッともらいに来れるように夜診を始めました。
最初にピルの処方を受ける場合は問診が必要ですが、2回目以降なら問診は不要で、産婦人科に来てもほとんど薬を受け取るだけになります。
しかし、産婦人科はいつも混み合っていて、薬を受け取るだけでも2,3時間待たなければいけないことも多々あります。私自身も薬を受け取るだけで数時間待たされた経験があるので、仕事や学校帰りに薬だけでも取りに来れる日があったらと思い、木曜の夜だけ20:30までの夜診をはじめました。
婦人科への恐怖を取り除き、ちょっとした悩みも聞ける医師でありたい
婦人科業界で先生が感じている課題はありますか?
はじめて婦人科にかかる方は、婦人科に対する漠然とした恐怖感があると思います。
よく考えると婦人科って、すごい格好で診察受けなければなりませんよね。はじめて婦人科にかかった人の声でよく聞くのは、「わけもわからずいつの間にか検査されて痛かった」という話です。
そのため当院では、「これからこういう検査をするけど、嫌やったら今日はやらなくていいから」と事前に説明し、不安を取り除いた上で診察しています。患者さんには「話を聞いて、やっぱり嫌だと思ったらその日は帰ってもらっても構いませんよ」とも伝えていますね。
また私自身、ピルやモナリザタッチ・脱毛・ピルの服用も一通り経験しました。施術内容に関する不安にも、患者さん目線で寄り添えると思います。
最後に、これから来院を考えている方にメッセージをお願いいたします。
愚痴りに来るくらいの感覚で、相談しに来ていただきたいです。
私には、どこかの教授や講師・部長といった立派な経歴は全然ありませんが、「こんなことを医者に相談していいのだろうか」といった小さな悩みも気軽に聞ける存在ではいたいと思っています。
実際、「生理痛がひどいけれど、こんなことで病院行っていいの?」と思ってる人がすごく多くいらっしゃいます。他の病院に行ったら、「それくらい我慢しな、と言われて...」と言いながら来てくれる人もいるんです。
当院は難病を診れるようなクリニックではありませんが、ちょっとした愚痴やわがままにも答えられるようにお待ちしています。看護師は普通のおばちゃんばかりで、トークが長すぎていつも怒られるくらい、アットホームな雰囲気のクリニックですよ。