Miho歯科医院は一言でいうとどんなクリニックですか?
「歯科医の仕事は、削って抜くだけじゃないんです。」女性医師が語る患者さんファーストの治療方針とは|Miho歯科医院 前原美保 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
患者さんとのコミュニケーションを大切にしているクリニックです。
当院は、「カウンセリングで患者さんの要望をしっかりと伺って、私からも情報提供をして納得して選んでもらう」対話を中心としたカウンセリングを重視しています。プライバシーに配慮したカウンセリングルームを完備しており、安心してご相談していただける環境作りにこだわっています。
院内は患者さんがリラックスして治療を受けられるように、バリ島のリゾートホテルの空間をイメージして作っています。バリ島から取り寄せた雑貨や間接照明を使った落ち着いた空間がこだわりです。
治療方針は、長持ちする治療を提供することにこだわっており、セラミック治療にも力を入れています。他にも美容面を考慮した美腔ケアや和彩庵のメニューも好評ですね。
女性スタッフだけの構成にこだわった理由はありますか?
女性だからこそできる安心感と丁寧さを提供したいと思い今の構成で運営しています。
女性の患者さんのなかには、男性の歯科医は怖いと感じたり、口の中を見られるのに抵抗感を感じたりする方が少なからずいらっしゃいます。実際に当院に来院した患者さんからは「女医さんだから選びました」「女性スタッフの方が丁寧にやってくれそうだと思ったんです」といった意見をいただくことが多いですね。
質の高いコミュニケーションが取れれば、良いカウンセリングや治療につなるので、女性同士だからこその安心感は強みになると思っています。
患者さんとのコミュニケーションや関わり方について、大切にしている考え方を教えてください。
検査後にいきなり治療という流れでなく、しっかりと話して治療の方針を決めています。
治療の前に必ずカウンセリングを行い、必要な治療を精査しています。また、治療は医師が決めるのではなく、患者さんに選択肢を提示して一緒に決めてもらっています。
また、毎回同じ衛生士が受け持つことも特徴の1つです。これなら同じ質問をしてしまうことも防げますし、治療の履歴も把握しやすいですしね。スタッフとの会話が歯科医にまた行きたくなる理由にもなるかなと思っています。
自由診療に対し不安を感じる患者さんも多いかと思いますが、先生の考えを教えてください。
費用がかかってしまうけどメリットも伝えて納得した上で取り入れたいと考えています。
保険診療は、治療費を抑えた上でクオリティのバラツキが少ない治療を受けられる点ではいいものだと思います。ただし、治療法や材料の選択肢が多くないので限界があるのも事実です。例えば、耐久年数やクオリティの点では自由診療に比べて劣る点が多いですね。
自由診療は費用が高い印象が強いですが、高いなりの理由があります。きちんと理由を説明してメリットを理解してもらえるようなコミュニケーションを意識していますね。
実際に、保険診療から自由診療に変えたことで歯がきれいになり笑顔に自信を持てるようになったという声もいただいております。当院で治療したことで、性格や生き方まで明るくなったと言っていただけるのはうれしいですね。
拡大鏡はよく目にしますが、なぜマイクロスコープも導入されたのでしょうか?
よりしっかり観察することで、治療のやり残しが減って、結果的に患者さんへのメリットが多くなるので導入しました。
マイクロスコープは、導入している歯科医院が少ない医療機器ではありますが、再発の防止や治療期間の短縮、得られる情報量など患者さんへのメリットが多いと感じたので、導入しました。
マイクロスコープは、暗くて狭い口腔内をライトと拡大の機能でしっかりと観察できるので、歯根の中の汚れや歯の細かいひび割れ、歯茎の奥の歯石などを観察するのに有効です。拡大鏡も同様に大きく見えると細菌感染の箇所が特定しやすくなります。これらによって治療のやり残しが減り再発防止につながると考えています。
虫歯治療のセレックとはどんな治療なのでしょうか?
院内で詰め物や被せ物を作成する治療です。最短90分で作れるので、仮歯期間なしでセラミック治療が受けられますよ。
当院は、セラミックを削り出すミリングマシーンを用意しているので、院内で詰め物や被せ物を作成できます。虫歯治療といえば、1日目に歯を削って型取りをして、2日目に詰め物をはめるのが一般的ですが、当院なら削った30分後に詰め物を付けられます。
仮歯は、患者さんにとって不便が多いと思うんです。ミリングマシーンを導入している歯科医院は、全体の7%程度しかないそうなのですが、生活の不便さをなくした治療を提供したいと強く思い、早々にミリングマシーンの導入を決めました。
セラミックにはどのような種類がありますか?人気の素材などはあるのでしょうか?
今はガラスセラミックが人気ですね。最近はジルコニアも人気が出てきていますよ。
当院ではガラス系からジルコニア系までさまざまな種類のセラミックを採用しています。その中でもイーマックスというガラスセラミックの仕上がりがきれいなので患者さんにも人気です。
最近は、従来の素材より、自然な歯の色に近い透明感があるジルコニア素材の人気が出てきています。また、ジルコニアはブリッジといって歯を3〜4本つなげた形でも成形できるところもメリットですね。特に目立ちやすい前歯には効果的だと思います。
セラミックの素材を選ぶ際もカウンセリングをしっかり行って、素材の特徴や費用などの情報をわかりやすく説明します。私たちから一方的に勧めたと感じないように、患者さんと相談しながら素材選びも進めていきますよ。
歯科医院は定期的に通うことが大切と聞いたことがありますが、通いやすさのために心がけていることはありますか?
通いやすい立地であることと、気持ちのいいケアの提供を心がけています。
歯は削っていない状態が一番健康なんです。ごく初期の虫歯になりかけの状態であれば進行を抑えられるので、定期的に通ってもらいたいですね。生活習慣を変えるだけでも虫歯を予防できるので、そういった知識を共有して定期受診の大切さを知ってもらっています
また、悪くも痛くもない、歯に悩みがないと通院しない。そうならないために来てよかったなと思ってもらえる、気持ちの良いケアを提供することを心がけています。そのためにも私たちスタッフは講習や実習などに参加して技術を磨く努力をしていますね。
例えば、クリーニングでは超音波スケーラーという振動を活用した手法が一般的ですが、「しみる…」「音が怖い…」など患者さんの不安も多い手法んです。当院では、お湯と微細パウダーによる歯垢落としができる「エアフロー」を導入しているので、これらの不快感がありません。むしろ、やみつきになる歯のツルツル感を手に入れられるのでおすすめです。
また、開業の際は、通いやすい立地も意識しました。良いスタッフを集めるには通いやすい立地であること、そして、良いスタッフがいればファン化へつながるので患者さんのリピート率も上がってきます。
もちろん、良いスタッフがいれば、予防医療やエステなどのメニューも充実できます。自分ひとりではできないこともスタッフと一緒であれば実現できるので、患者さんと同じくスタッフも大切にしたいですね。
Miho歯科医院にはサロンのメニューがありますが美腔ケアとはどのようなメニューですか?
美腔ケアでは汚れを取るだけでなく口の中をほぐします。歯医者さんのイメージが変わるメニューですよ。
美腔ケアは、口の汚れを取り除くだけでなく、口の中をストレッチしてほぐすような施術も含まれます。唇や舌、飲みこむ力などをケアし、トレーニングすることでお口の衰えを防ぐことが期待できます。歯だけではない、お口の悩みすべてに応える包括的なメニューですね。
「治療とは違い、歯や口を美しくするために受けるので怖くない」と好評です。他にも、「歯医者さんのイメージが行きたくない場所から、美しくなるために通う嬉しい場所へ変わった」と言っていただいています。
美腔ケアとは別に月に1回で開いている和彩庵というエステもあるそうですがこちらも詳しくお聞きしたいです。
和彩庵は、専門の歯科衛生士さんが行う表情筋や咀嚼筋にアプローチするエステですね。
和彩庵は、毎月第4日曜日に行っているエステサロンです。柔道整復師と歯科衛生士のダブルライセンスを持つ者や、日本抗加齢医学会認定指導士である歯科衛生士といった、専門性の高い歯科衛生士2名が施術をおこないます。普通のサロンではできない口腔内の施術や、低周波を使った施術で、お口の外と中の両方から表情筋や咀嚼筋にアプローチできるのが魅力です。
このエステメニューでは、食いしばりや歯ぎしりなどの原因となる緊張をほぐすことが期待できます。デコルテの上から目の付近までほぐせるので、疲労改善や調子を整えるのに特化したエステといえますね。低周波のびりびり感がとても気持ちいい施術ですよ。
先生が歯医者を目指したきっかけを教えてください。
進路に悩んでいたときに弟の歯列矯正の先生方にあこがれたからです。大学時代に学んだエナメル質は鎧という考え方は今にも通じるものがありますね。
進路で悩んでいた時に、弟が歯列矯正をすることになりました。通院に同行するうちに白衣で活躍している歯医者の女医さんたちがかっこいいなと思い、あこがれ始めたのがきっかけです。そこから、歯医者の道に進むことを決意しましたね。
また、大学で学んだ「エナメル質は鎧」という一言は印象に残っていて、今の削ったり、抜いたりするだけが歯医者の仕事ではないスタンスにも通じると思っています。
予防治療に力を入れたいのもこの経験の影響が強いですね。予防方法を知らないことは虫歯になる大きな原因の1つです。虫歯を防いで削らないための知識を多くの人に広めていきたいですね。
歯科院の中でも、女性特化の歯科医院にしたいと思ったきっかけを教えてください。
小児歯科時代に治療したお母さんの笑顔を見て、女性の笑顔を引き出せる場所にしたいと思ったんです。
私はMiho歯科医院を開業する前に小児歯科で働いていました。そこでは子どもと一緒にお母さんも治療をしていたんです。お母さんからは銀歯が嫌で白い歯にできるセラミックにしたいっていう意見が多くて、実際にセラミック治療にするとすごく喜んでもらえました。
そういった経緯からお母さんの笑顔のためにもっと頑張ろうと思いました。喜んでもらえるとやりがいを感じ、やっていくうちにどんどん楽しくなったんです。そういった女性の笑顔を引き出せることをしたいと考えたのが女性特化にしたきっかけですね。
最後に、Miho歯科医院の今後の展望について教えてください。
今後は栄養面を考慮した新しいメニューを導入してより多くの人の笑顔を増やしたいです。
今後の展望としては、栄養面についてのメニューを考えています。栄養状態がよくないと歯周病の治りが悪いとされていますし、甘いものは歯に悪いですよね。そういった口腔内環境の改善ついて栄養療法や食事指導で補えたらいいなと考えています。
また、高濃度ビタミンC点滴を取り入れられないか検討していて、実際に採血の実習を受けてきました。高濃度ビタミンC点滴は、歯周病だけでなく、副次的に医療美容面でも効果が期待できるので女性からのニーズはあるはずです。さらに幅広いメニュー展開で、美しく奇麗な歯で健康に過ごせる医療の提供を心がけていきたいなと思っています。