「しつこいかもしれませんが…大事なことは3回言います!」スタッフ全員専門医のクリニック院長が語る患者さんとのコミュニケーション術 水谷皮フ科クリニック:水谷治子先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
Instagramでご紹介されていたIPLフォトブライトフェイシャルとはどのようなメニューでしょうか?
シミ、毛穴の開きといった症状に対して、患者さんの肌の特徴に合わせてアプローチできるマシーンを使った施術です。
当院のIPLフォトブライトフェイシャルは、光治療を行う機械の中でもBBLという機械を使った治療になります。
BBLは光を遮断するフィルターを何枚も備えていて、光の波長の幅や照射時間を施術者が自由に設定できるのが特徴です。そのため色白だったり色黒だったりといった患者さん一人一人の肌に合わせ、光の入り具合や波長を調整しながら照射できます。
肌の色だけでなく、シミの有無や毛穴の締まり具合にも応じて波長などを調整して照射するので使っている医師目線でも「患者さんの抱える悩みに対して効果的にアプローチしやすい」と実感しています。
先生は日本レーザー学会認定レーザー専門医の資格をお持ちなのですよね。フォトフェイシャルやレーザー治療の際に患者さんの肌のどのようなところに特に着目しているのですか?
施術前には毎回診察して、治療や生活習慣によって現れる肌の変化やトラブルをチェックした上で、より適したケアをお届けしています。
診察の際には、患者さんの肌の変化に注目しています。「前回施術を受けてから数日の間にトラブルがなかったか」「旅行などに行って前回よりも日焼けしていないかどうか」といったこともチェックして、肌のコンディションを確認しています。
レーザー治療は、施術を重ねるうちにシミが薄くなったり、毛穴の締まりを改善したりするなど、徐々に肌がきれいになってくる治療です。
きれいになった肌に対してはそれまでと同じ対応をするのでなく、その時の肌に合わせて光の入れ具合などを調整し、ベストな施術を届けることを心がけていますね。
レーザー治療では、ダウンタイムを気にされる方も多いかと思いますが、症状を抑える取り組みなどはありますか??
ダウンタイム中の肌への影響を小さくするために、レーザーの出力や波長を緻密に調整しています。
機械を使って施術をすると、ダウンタイムとして1週間ぐらい顔が真っ赤の状態が続くことがあります。いずれはきれいになって解消しますが、やっぱり生活に支障がでるほど赤くはれたり、激しくかさぶたができたりしてしまうと困りますよね。
そのため、ダウンタイムの短い施術を望む患者さんは多いです。特に、激しくかさぶたができている状態は、やけどと紙一重の状態でもあるので、最大限の効果を発揮しつつもやけどをしないように、毎回肌の色を確認して調整しながら照射しています。
全員が皮膚科専門医。スペシャリストの矜持が生み出す信頼と安心
水谷皮フ科のスタッフ構成の強みを教えてください。
スタッフは全員、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医となっています。
私自身、生活面でのアドバイスを積極的に行うなど、丁寧に患者さんに働き掛ける診療スタイルを大事にしています。
当院に在籍しているスタッフは、じっくりと患者さんに向き合う考えに賛同してくださって自然と集まったメンバーですが、結果として全員が日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医という構成となりました。
肌に関する一定以上の生理学的・専門的な知識を持つ先生が自然に集まってきたという感じですね。
みんな学会や美容皮膚科の勉強会に積極的に参加したりと向上心が高く、一人一人の患者さんに対する責任感も強いです。
ですので、クリニック全体として「薬を処方して終わり」でなく、生活面の指導をしたり美容に対する相談を受けたりといった姿勢を大切にしています。
保険適用の治療も積極的に提案しているそうですね?
保険適用の治療を最大限生かしつつ、より良い結果を出す際に自費診療のメニューをプラスするというスタイルです。
私自身が保険診療を行う皮膚科医として医師活動をスタートしたという経緯もあり、保険診療の重要性を実感しています。保険診療と自由診療の両輪で対応する方が、より早く効果に結び付きやすいんです。
特にニキビの治療に関しては、ケミカルピーリングやレーザー照射といった自費診療メニューだけでなく、保険診療で高い効果が期待できる薬を処方したり、スキンケアや生活面の指導をしたりといったことも大切にしています。
薬の処方や生活面の指導で力を入れている点は何ですか?
薬や治療の効果がきちんと発揮されるように、患者さんと丁寧にやり取りします。
診察の際には患者さんのライフスタイルやお仕事などについてきちんと聞き取るようにしています。そうすることで、施術の前に「ダウンタイムをどれぐらい受け入れられるか」といった点も理解しやすくなり、治療をスムーズに進める上で役立ちます。
生活の指導については私は大学病院勤務時代に教わった「塗り方を患者さんに3度伝える」ということを実践しています。
少ししつこいかもしれませんが、言い方を変えながら繰り返し患者さんに伝え、正しく使ってもらうように心掛けています。
ファミリー層が多い大島という土地柄、お子さんの患者さんも多いかと思いますが、小児皮膚科ではどのような治療をされるのですか?
お子様の肌に多い皮膚疾患に対し、薬の処方だけでなくスキンケアや生活面に立ち入った指導もしています。
小児皮膚科ではアトピー性皮膚炎や乳児湿疹など、お子様に多い皮膚疾患に対して、専門知識を持った医師が効果的に治療を進められるよう細かく対応しています。
例えば湿疹の薬に関しても「こういうタイミングで塗ってください」「このぐらいの症状ならこっちの薬を使って」といった風に具体的に説明しています。
また、快方に向かった後も、使うべき薬の種類や生活面の注意点をお伝えし、良くなるまで徹底して助言し続けるよう心がけていますね。
小児皮膚科の治療でカギとなるのはどんな点でしょうか?
症状がスムーズに快方に向かうように、家族ぐるみで取り組めるアドバイスをお伝えすることです。
小児皮膚科の治療では、日ごろのスキンケアのほか、肌に負担のかかりにくい衣服の選び方など、患者さんのご家族に対するアドバイスが重要となってきます。
赤ちゃんの場合、入浴時にどのような石鹸を使えば良いかや、どのように洗うべきかといったことも親御さんに詳しくお伝えしていますね。
また、ニキビ治療で通院する小中学生や高校生の患者さんも多いです。小さいころにご家族で来院された患者さんが数年ぶりに一人で来て成長ぶりに驚かされることもありますよ。
大島は若いご家族が多いエリアなので、ご家族の成長も一緒に見届けられることも、やりがいの1つになっていますね。
アトピー性皮膚炎を患った少女時代の体験が、アレルギー専門医や研究医の実績にも
先生は日本アレルギー学会認定アレルギー専門医でもありますよね。専門医の資格を取得されたきっかけはありますか?
アトピー性皮膚炎で苦しんだ子どものころの体験をきっかけに、アレルギーのメカニズムに関心を持ちました。
私自身、子どものころアトピー性皮膚炎で体じゅうに湿疹ができて、肌の不調の中身を「知りたい」という気持ちを抱いた経験があります。
実は、「この皮膚の下ってどうなっているんだろう?」と思って自分の皮を剥がしたこともあります。笑
そういった経験をもとに皮膚科医を目指すようになり、夢を実現してからも、かつての自分の肌の症状を引き出したメカニズムに関心を持ち続けました。そこでアレルギーの専門分野に足を踏み入れ、皮膚科医をしながら研究職として細胞培養の実験などにも携わったんです。
そこから美容皮膚科の領域まで対応されることになったのは、どういう背景があるのでしょうか?
研究医として肌の保湿について調べていったことが、美容医療につながりました。
研究医時代の課題が「皮膚の保湿作用」で、乾燥肌のメカニズムを調べるうちに化粧品についてもリサーチするようになり、美肌やシミ予防に関する論文などを読んだ経緯から、美容医療にも興味を持ちました。
振り返ってみると、当時の研究が診療に生かされている面もあります。例えば実験で細胞に微量な紫外線を当てたらストレス物質が出て、肌ダメージにつながるという結果が導かれ「日焼け止めは年中必要」と確証したことがあります。
このような経験のおかげで、現在も患者さんにスキンケアの助言をする際に、エビデンスに確信を持って説明できています。
患者さんとのコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
患者さんの「治したい」という思いに応えるべく熱意を持って指導し、治療方針も理解いただけるようにしっかりとお伝えします。
当院は2012年5月に当院を開業しましたが、それ以前は子育てをしながら複数の病院にパート勤務した時期もありました。パート勤務だと患者さん一人一人に対して全責任を持って対応できず、「いつか自分のクリニックを開きたい」と願っていました。
家族の協力もあり開業してからは、患者さんには治療方針はもちろん、スムーズに治療を進めるため通院スケジュールについてもとことん説明するスタンスで向き合っています。
話の随所に薬の塗り方を入れたり、次の来院のスケジュールを細かく決めたり、少ししつこく感じるかもしれませんが、最後まで責任を持って治療に当たりますので、江東区大島で肌でお悩みの方はぜひ、ご家族でご来院くださいね。