「高度な医療を町のクリニックでも提供したい」失明原因第一位の緑内障を進行させないためのレーザー治療とは?|いわみ眼科:岩見 久司 先生
今回取材させていただいた先生
岩見先生のご経歴を教えてください。
大学病院で難治性疾患を数多く担当してきました。専門は網膜疾患です。
開業するまでは、大学病院などで難治性疾患を数多く担当してきました。専門は網膜疾患で、加齢黄斑変性についてはドイツのリューベック大学付属医用光学研究所に従事して、博士号を取得しています。
今も兵庫医大病院で非常勤講師として教育にも携わるかたわら、講演や研究発表をしています。
最近では、加齢黄斑変性や緑内障でセカンドオピニオンを探して当院に辿り着いて来院されるケースも多く、大阪方面から通院されたり、九州の方の電話相談を受けたりすることもあります。
いわみ眼科はどのような眼科ですか?
大学病院の専門性の高い治療を、そのまま受けられる一般医療機関です。
大学病院で診療していると、網膜疾患でお困りなのに、ご自宅から距離があったり待ち時間が長かったりすることで通院の継続が困難な患者様が多くいらっしゃいました。
そんな患者様を見て、専門性があり質の高い医療をできるだけ短い時間で提供したいと考え当院を開院。今もモットーは変わらず、高度医療を身近に感じていただけるよう、診療にあたっています。
多くの眼科では大学病院に紹介する加齢黄斑変性はもちろん、子どもの近視治療、緑内障治療の3つは、患者様が多く、とくに力を入れています。
子どもの近視矯正、オルソケラトロジー治療とは
近視になる原因を教えてください。
遺伝と環境です。近年、近くを見る機会が多いことから近視発症の低年齢化が加速しています。
近視の原因は、遺伝と環境であることがわかっています。近視は眼球が変形する病気で、眼軸の前後が伸びると近視になります。伸びやすい形かどうかは遺伝で決まりますが、近年は環境による近視が増加中です。
環境による近視は、近くを見すぎること、遠くを見ないこと、日光に当たらないことが原因です。
近くのものを見続けると目のピントを調節する筋肉が緊張したままになり、調節緊張と呼ばれる状態になります。目の調節緊張が続くと、それが刺激になり眼軸が伸びて近視になります。
もともと近視は増加傾向にありましたが、タブレットを使った授業やスマートフォン、ゲームと手元を見る機会が圧倒的に増えたことで、近視の低年齢化も進んでいます。
近視が進むと緑内障などの目の疾患にかかわるリスクが上がることからも、当院では近視の進行を遅らせるために、緊張を緩める目薬やオルソケラトロジー治療を提供しています。
小児の近視治療オルソケラトロジーとは、どのような治療ですか?
就寝中にコンタクトレンズを着用して、近視の進行を抑制する治療です。
オルソケラトロジー治療とは、就寝時に特殊なハードレンズのコンタクトを装着して近視を矯正する治療です。特殊なコンタクトを装着して、角膜の形状が平らになるようくせをつけることで、ピントが調節されて近視が進みにくくなります。
治療の流れは、最初に視力、目の形、目の状態に問題がないか診察します。コンタクトレンズは、カーブの度合いや度数がそれぞれ違いますので、テストレンズで最適なカーブの形を見つけたのちに、患者様に合わせたオーダーレンズを製作します。
年齢によってはコンタクトの装着に不安があるかもしれませんが、理解してもらいながら練習もしますのでご安心ください。治療では裸眼で視力1.0になることを目指します。
オルソケラトロジー治療では、誰でも視力の回復は見込めるのですか?
診療の段階で治る見込みがあると診断した患者様は、ほぼ回復しています。
近視の状態によっては、治療適用外のこともあります。ほかにも近視や乱視が強過ぎる場合や、目のカーブが非常に平らな場合は、結果が望めませんのでおすすめしていません。診察の段階で処方できると判断した患者様は、現時点では全員結果が出ています。
オルソケラトロジー治療は、日中のコンタクトよりも親が管理しやすく、昼間は裸眼で過ごせるなどメリットは多いのですが、現段階では保険適用外の自由診療になります。
レーザー専門医による緑内障治療
緑内障とは、どのような疾患ですか?
眼圧の影響で薄くなった視神経の箇所の視野が欠ける疾患で、最終的には視野がなくなります。
緑内障とは、目の奥の視神経が眼圧の影響で障害され、その箇所の視野が欠ける疾患です。日本人は眼圧に対して視神経が弱いため、緑内障になりやすい目をしています。眼圧が極端に低い場合は、眼圧以外の様々な原因が関係することがあります。
視神経が薄くなった箇所は視野が欠け、最終的には視野のすべてがなくなります。しかし視野が欠け始めても左右両方の目で見ているため気づきにくく、自覚症状を感じるときには、すでに多くの視神経を失っていることもあるのです。
薄くなった視神経を強くすることはできないのでしょうか?
減ってしまった視神経は元には戻りません。これ以上減らさないための治療になります。
いったん減ってしまった視神経が再生することはないので、残った神経をそれ以上減らないようにすることが治療の目的になります。緑内障は早期治療が重要ですが、残念ながら多くの患者様が後手に回っているのが現状です。
日本眼科医会でも、40歳を過ぎた人には年に一度の眼圧検査を呼びかけています。とくに近視がある場合や、親御さんが緑内障の場合はよりリスクが上がりますので、積極的に検査を受けるようにしてほしいと思います。
緑内障にはどのような治療方法があるのですか?
点眼治療、レーザー治療、手術の3つがあります。治療成績が良いのはレーザー治療です。
手術は、点眼やレーザー治療で治らない場合にご案内します。当院では緑内障と診断された方に、第一選択としてレーザー治療をお勧めしています。
レーザー治療は保険適用です。治療効果が続く3年程度は、眼圧・視野検査以外のメンテナンスはなく、いろいろな意味で患者様にとってかなり負担が少ない治療だと思います。
点眼治療の方が手軽ではないでしょうか?
点眼は毎日なので意外と手間がかかり、副作用でお悩みの患者様もいます。点眼のわずらわしさから解放できるのがレーザー治療です。
目薬は何年間にもわたり、毎日朝晩使い続けなければいけません。目薬が2,3種類出ている場合は、間隔をあけて使う必要があるので、思いのほか時間も取られます。また、使い続けるとまぶたがくぼんでしまったり、まぶたが下がって目が開けにくくなったりするなど副作用もあります。
そんな目薬のわずらわしさから解放できるのがレーザー治療です。私はレーザー治療の素晴らしさに惹かれ、眼科医では5人しか取得していない日本レーザー医学会の専門医を取得しました。しっかり学んだ上でレーザー治療を提供しています。
最後まで目が見えるために、眼科医ができること
診療で大切にしていることは何でしょうか?
最後まで目が見えるまま過ごせるよう、疾患の早期発見、効果的な治療に尽力しています。
失明原因の1位は緑内障ですが、その次に網膜色素変性、糖尿病網膜症、黄斑変性と続きます。反対に言えば、これらの疾患を治療することで失明に至る患者さんを大きく減らすことができます。私はそのような疾患をお持ちの患者様たちに、最後まで目が見える状態で過ごしていただけるよう、日々診療にあたっています。
とにかくきちんと患者様のお話を伺い、患者様の年齢や疾患、治療自体の負担も踏まえた上で、患者様が今後の人生をしあわせに過ごせるための治療方法を提案しています。
来院をお考えの患者様にメッセージをお願いします。
ここに来れば間違いがないという眼科を目指しています。眼科に関する治療は一通りできますので、なんでもご相談ください。
当院では、軽症から重症まで幅広い目の疾患に対応しています。納得いただける説明と治療を提供していますので、待ち時間は少々長くなりますが、治療面でも設備面でも大学病院と同等の対応ができる施設だと自負しています。
他院にかかって困っている患者様もご相談ください。ここに通っていれば安心できると言っていただけるよう、尽力し続けます。