
漢方を飲んで半年間に10kg減!? 奈良時代の医学〈東洋医学〉で現代人のあらゆる悩みを和らげる|健友堂クリニック:菅原 健 先生
今回取材させていただいた先生



漢方内科とはどのような診療科ですか?

漢方を利用して体の不調を改善する内科のことです。
漢方内科とは、漢方を積極的に利用する診療科のことです。健友堂クリニックでは、漢方を用いた伝統的医学と現代医療を組み合わせて診療しています。
現代医学として浸透しており、皆さまが接する機会の多い医療は西洋医学です。西洋医学に基づいた診療では、診断した病名に応じて有効成分だけを抽出した薬を処方します。
一方で、漢方内科は東洋医学に分類されます。東洋医学に基づいた診療では、病名ではなく、患者さんの体質や症状に応じて最適な薬を決めます。
病名に応じる必要がないため、検査の結果には表れない症状にも対応できるのが東洋医学の特徴です。漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られており、ほぼすべての自覚症状にアプローチできますよ。

東洋医学の特徴を詳しく教えてください。

データを取らなくても患者さんの症状を診て病気にアプローチできます。私は脈を診るだけで病気を当てられますよ。
西洋医学は科学的なデータに基づいたアプローチが基本ですが、東洋医学では症状や経過を診て治療方針を判断します。
東洋医学の診断には、かなりの熟練度が必要です。ただ体の仕組みを理解するだけでなく、体の内部の状況を感覚的に理解できなければなりません。
そのため、教材を使った学習だけで習得するのは困難で、名医と呼ばれるような医師から直接学ぶ必要があります。
私は経験を積んで、脈を診るだけで体のどこに病気が潜んでいるか診断できるようになりました。元となる考え方は「六部定位脈診法」。手首の脈を上から寸・関・尺と左右の計6つに体を分けて、それぞれ部位の熱量を脈拍から測ることで病気を診断できます。

近頃は漢方が美容目的で使用されることもありますが、トレンドとともに東洋医学の性質も変化しているのでしょうか?

東洋医学の根本は起源から変わりません。現代人のさまざまな悩みにも対応できるのは、東洋医学のもつ万能さが理由です。
東洋医学は、奈良時代に中国から日本へ導入されました。人体の仕組みは解明されておらず、レントゲンのような便利な機械もない時代から、人々は東洋医学を用いてさまざまな症状を改善させてきました。
そこから約1500年が経過した現在も、東洋医学は当初の考え方に忠実です。万能な医学だからこそ、時代を超えて多くの人を助け、伝統を築き上げられたのでしょう。
今は漢方が美容目的に使われることも多いですが、古来からの効能が現代の美容ブームにマッチしただけで、東洋医学自体が変化した訳ではありません。
たとえば、現代では漢方の中の当帰という成分が美肌に効くと注目を集めています。昔の中国でも、美しくなって殿様に気に入られるために、宮中の女性が当帰を取り合っていたという言い伝えがあります。
このように、漢方は時代を超えて人々の悩みに柔軟に対応してきました。

薬局で購入した漢方を飲み始めても効果を実感できますか?

適切な薬でないと効果は出ませんよ。漢方医学は医師選びが重要です!
漢方医学では、体質や症状に応じて最適な薬を決める能力がとても重要です。薬が体に合っていなければ、いくら飲んでも効果は得られません。
そのため、漢方で症状を改善したいのであれば医師選びに力を入れましょう。症状と漢方をすぐに結びつけて判断できる医師は信頼できますよ。
私は日本東洋医学会山梨県部会会長を務めており、日本東洋医学会奨励賞を受けた経験もありますので、漢方のことなら安心してお任せください。
漢方によるむくみ取りで10kg減!?


漢方で痩せられると聞きましたが本当ですか?

むくみによる体重増加には、漢方が有効です。半年で10kg痩せた事例もあります。
むくみの症状は、体が太って見えることだけではありません。人によってはむくみに付随して息切れや吐き気なども起こるため、放っておくと日常生活に支障をきたします。
むくみに悩んでいる方には、体質とむくんでいる部位を診て漢方を処方します。継続して服用いただくとコンスタントに体重が落ちますよ。
当院の患者さんには、半年で10kg痩せた方や、腹囲が13cm小さくなった方がいます。

太っている原因が、むくみか脂肪かを見分ける方法はありますか?

いろいろな方向につまめるとむくみ太り、一方向にしかつまめないと脂肪太りです。
患者さんの中には、脂肪太りなのに、むくみ太りだと考えて来院される方もいます。そんな方々のために、脂肪太りとむくみ太りを簡単に見分ける方法を紹介します。
脂肪太りは、大きくなった脂肪細胞による硬い太り方です。細胞は硬くて形が変えられないため、太っている部位の肉は一方向にしかつまめません。
一方のむくみ太りは、体に水が溜まって膨張する柔らかい太り方です。水はいくらでも形が変えられるため、縦横さまざまな方向から太ってる部位の肉をつまめます。
お腹でいうと、横にしかつまめない場合は脂肪太りで、縦につまめる場合はむくみ太りの可能性が高いです。絶対に確実な判断方法とは言えませんが、ひとつの基準としてぜひ覚えておいてください。むくみ太りの場合には漢方が高い効果を発揮しますよ。

そもそも、むくみの原因は何ですか?

アレルギーを持つ方や冷え症の方はむくみやすいと言われていますが、メカニズム自体は解明されていません。
むくみの原因はさまざまありますが、一般的にアレルギー体質の方や花粉症の方、冷えやすい方はむくみやすい体質です。むくみを防ぐためには、体を冷やさないことが大切ですよ。
むくみは、体の機能の低下とともに余分な水分が溜まることで生じます。しかし、体の一部分にだけ水が溜まるメカニズムに関しては、実のところ現代医学でも解明されていません。
そのような未解明の症状こそ、東洋医学である漢方薬が得意とする領域です。病気そのものにアプローチする西洋医学だと、メカニズムを解明しなければ薬をつくれません。
しかし、症状にアプローチする東洋医学であれば、メカニズムが分からなくても症状を改善できるのです。

むくみに効く漢方を知りたいです。

水が溜まっている部位によって有効な漢方が異なります。
東洋医学では、病気を6つのステージに分けた「六病位」の考え方に基づいて症状を診ます。むくみの場合も同様に、「六病位」に基づいて水が溜まっている場所を判断し、それに適した薬を処方します。
たとえば皮膚の下に水が溜まっている場合は、その水分を汗として排出することで改善できるので、葛根湯や五苓散が有効です。汗をかくことが大切なので、サウナも効果的ですよ。
アンダーバスト周りがむくんでいる方は、肺に水が溜まっていると判断できるため、小青竜湯が効果を発揮します。この薬で肺の水分を減らすことで、アンダーバスト周りのむくみが取れますよ。
保険適用の漢方薬で体の内側から健康に


先生が東洋医学に興味を持たれた理由を教えてください。

患者さんの苦しみを根本から和らげる医療がしたいと考えたからです。
最初から漢方内科の道に進んだ訳ではなく、大学卒業後は麻酔科で働いていました。麻酔科はその場の痛みを止めるための仕事ですが、働くにつれて「患者さんの苦しみを根本的に和らげる医療がしたい」と考えるようになり、東洋医学の道に転向しました。
東洋医学を学ぶと決めたものの、初めは着いて行きたいと思える医師になかなか出会えず、先生を探すのに苦戦しました。しかし、あるとき、大分県に名医がいるとの情報を耳に入れて、講演を聞きに行ったのが転機になりました。
その講演は東洋医学の原典ともいえる2000年ほど前の書物を教科書にした内容でしたが、解説される理論のすべてが腑に落ちたんです。「師匠にするならこの人しかいない」と感じ、その日のうちに弟子にしてもらいました。
当時は現代のように便利な連絡手段がなかったので、毎日ファックスでやり取りしていました。もちろん直接聞かなければ分からないこともあるので、先生が学会などで近場に来られたタイミングで、脈の測り方などを教わっていました。
幸い、麻酔科医の経験から、脈をはかる技術を培っていたため、東洋医学の診察手法もスムーズに習得できました。麻酔科医時代に積み重ねた経験が糧になって今の自分がいると感じます。

漢方医学へ興味を持つ読者の方にメッセージをお願いします。

治らないと諦めている症状がある方は、漢方医学をお試しください。
東洋医学は、皆さまになじみの深い西洋医学とは異なる角度から症状に対応します。自覚症状はあるのに検査結果に異常が出ない方や、他の病院で治らないと診断された方は、ぜひ一度ご相談ください。
漢方薬は自費治療となる場合が一般的ですが、当院では、保険適用で漢方薬を処方できます。
昨今は美容目的の医療が流行っていますが、1番大切なのは健康です。当院は、冷え性、生理痛、月経不順、便秘などの、女性に多い悩みにも対応しています。イキイキとした健康的な美しさを手に入れるためにも、体の内側からきれいになりましょう。