
「お子さんの歯並びが気になるなら、5歳までに一度ご相談ください」将来の抜歯のリスクを減らす小児矯正治療とは|Be smile歯科・矯正歯科:井田 旭洋 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー



Be smile歯科・矯正歯科のコンセプトを教えてください。

“Be smile”がコンセプトで、患者さんを笑顔にし、それを維持することを大切にしています。
当院のコンセプトは、名前のとおり“Be smile= 笑顔になる”です。“smile”だけではなく、あえて、Be動詞の“Be”を付けているのがポイントです。
“Be smile”には、当院とふれ合うことで、お子さんからご年配の方まで、皆さんに笑顔になっていただきたいとの思いが込められています。
そして、“Be”には笑顔の状態を維持していただきたいとの思いも込めました。笑顔になったあとは、それが当たり前になるように、患者さんの笑顔の維持を大切に、サポートを続けてまいります。

東近江市に開業した理由について教えてください。

都市部で当たり前のように受けられる治療を、地元の東近江市で提供したいと思い、この地で開業しました。
私は東近江市の出身ですが、福岡県立九州歯科大学を卒業したあと、地元には帰らずに九州・関西・関東などさまざまな地域で歯科診療に従事してきました。
その後、大阪府と滋賀県で勤務し、都市部と地方都市の医療格差を実感するようになったのです。現代は、医療技術の進歩がめざましく、治療の選択肢が増えることにつながっています。技術の進歩は患者さんにとってメリットしかありません。
たとえば、かつては抜かなければならなかった歯も、今では抜歯せずに治療することも可能になりました。しかし、地方に住んでいる方は都市部まで出て行かなければその技術の恩恵を受けられません。
都市部では、今や当たり前のように受けられる進んだ治療を、私の生まれ育った地元でも提供したいと思い、東近江市での開業を決めました。

クリニックの強みやこだわりについて教えてください。

患者さんにとってメリットがあるデジタルツールは積極的に導入しています。
治療計画や治療内容について、口頭で説明しても伝わりにくい部分は、アニメーションを使って説明しています。
また、診療時間外に何かあったときもご相談しやすいように、患者さんとクリニックの間で、LINEを使ったメッセージのやり取りもおこなっています。
患者さんとのコミュニケーションに役立つことであれば、積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めているのです。その点は、当院の強みであり特徴だと思います。
顎の骨の成長を利用し、将来の抜歯のリスクを減らす小児矯正治療


小児矯正治療は大人の矯正治療と比べ、どのような違いがありますか?

顎の骨の成長を利用しながら治療できる点が、大人の矯正治療との違いです。
乳歯から永久歯に生え変わる時期におこなう小児矯正治療と大人の矯正治療の一番の違いは、顎の骨が成長途上にある段階で治療する点だと考えます。大人になると顎の骨はもう成長しませんので、歯並びがあまりにも悪い場合は抜歯しなければなりません。
一方、お子さんの場合は、顎の成長を予測しながら、顎の骨格にアプローチする治療が可能です。お子さんのうちに矯正治療を始めておくことで、将来的に歯を抜くリスクを減らせるのが一番のメリットだと言えるでしょう。

小児矯正治療で多い相談を教えてください。

いつ何をしたらよいかわからないとのご相談が多いため、その点をはっきりお伝えしています。
小児矯正のご相談には、お子さんの顎が小さいことや、大人の歯が生え始めたものの歯並びが悪いことを心配して来られる親御さんが多くいらっしゃいます。
また、矯正治療にはさまざまな方法があるため、「いつ何をしたらよいかがわからない」とお悩みの親御さんも多いようです。そこで、当院では「何をいつするべきか」をはっきりとお伝えするように心がけています。


小児矯正にはどのような治療法がありますか?

ワイヤーやマウスピースを使う機械的矯正と、お子さん自身のトレーニングで改善を目指す機能的矯正があります。
小児矯正には、大きく分けて2つの治療方法があります。まず1つは、機械的矯正と呼ばれる、ワイヤーやマウスピースなどの矯正器具を使って歯を動かし、歯並びを整えていく治療方法です。
透明なマウスピースを使うインビザラインファーストは、この機械的矯正の1つです。顎の成長も促しながら、力をかけて歯を動かして整え、永久歯が適切な位置に生えてくるようスペースを作ります。
もう1つは、機能的矯正と呼ばれる治療方法で、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼすお子さんのくせを直し、成長とお子さん自身の力を利用し矯正していきます。機能的矯正で代表的な治療方法は、プレオルソです。取り外し可能なマウスピース型装置を使い、口の周りの筋肉を整えます。インビザラインファーストとの違いは、あくまでもプレオルソの機械は補助であり、お子さん自身のトレーニングでくせを直し機能を整えていく点です。
歯並びや顎の成長に影響するお子さんのくせにはさまざまなものがありますが、代表的なものは指しゃぶりと口を開けっぱなしにすることです。そのほか、うつぶせ寝・頬杖をつく・唇を噛む・よく泣くといったくせも悪い影響を与えます。
これらのくせを直すには、生活環境の改善も必要です。さらに、就寝時にプレオルソを装着すれば、指しゃぶりができない状態が作られるので、くせの改善が期待できます。

小児矯正のメリットとデメリットを教えてください。

メリットは抜歯を避けられる可能性が高まる点です。お子さんのやる気が必要なのはデメリットだと思います。
お子さんのうちに、顎の骨の大きさや咬み合わせが決まります。たとえば、受け口・しゃくれといった反対咬合は、お子さんの間であれば矯正治療で改善が期待できます。しかし、そのまま大人になってしまうと、矯正治療だけでは改善できません。抜歯や骨切りが必要になる可能性があります。
顎の成長をうまく利用する小児矯正治療に取り組んでおくことで、将来的に骨切りや抜歯などを回避できる可能性が高くなるのはメリットだと思います。
デメリットは、お子さん自身に頑張ってもらう必要があることです。親御さんは治療に対してやる気があっても、お子さん自身はあまり前向きではないケースがよく見られます。
実際に矯正治療に取り組むのは親御さんではなくお子さんです。治療の必要性についてしっかりと説明して、お子さんの治療へのやる気を引き出すことが、もっとも大事なことだと思います。

小児矯正治療を希望する場合、何歳頃までに相談すればよいでしょうか?

最初の永久歯が生え始める5歳までにご相談ください。
お子さんは、3歳頃までに乳歯が生えそろうと言われています。そこからは乳歯だけの状態で、初めて乳歯が抜け永久歯に生え変わるのは5~6歳頃です。
できれば5歳頃までに一度見せていただくと、そのお子さんにとって必要な治療のご提案が可能です。乳歯が完全に抜け始めてしまうと、永久歯がどこに生えてくるか予測がつきません。永久歯に生え変わり始める5歳までに受診していただくのがポイントです。
小児矯正治療は、最後の永久歯が生えてくる14歳頃まで継続するのが理想です。しかし、小さなお子さんの場合は長期間にわたって治療を継続するのが難しいため、基本的に治療自体は2年で終わらせることを目指しています。

小児矯正治療をしても、大人になってから矯正治療をおこなう必要があるのでしょうか?

はい。ただし、費用や期間が通常より短く済むケースも多く、小児矯正治療によるアドバンテージがあります。
小児矯正の1期治療は、乳歯と永久歯が混在した状態でおこなうため、すべて永久歯に生え変わるまではどのような状態に歯が並ぶかを完全に予測することはできません。大人の矯正治療とは異なり、予防的におこなうものだと捉えていただくとよいでしょう。
そのため、永久歯が生えそろってから2期治療を必要とする場合もあります。2年間の1期治療を終えたあとも、14歳までは継続して管理を続ける必要があると考えています。
「大人になってまた矯正治療が必要なら、永久歯が生えてからの治療で十分ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、1期治療だけですべて整えられるのが理想ではありますが、小児矯正で100点満点を目指すのは難しいと考えます。しかし、80点を目指すことは可能です。
そこまで進めておけば残すは20点分だけですので、大人になって矯正治療を始めた方に比べ費用も期間も抑えられることがあります。お子さんのうちに矯正治療をしておくことによるアドバンテージがありますので、親御さんにもそのメリットはよくお伝えするようにしています。
コミュニケーションを大切にする相談しやすいクリニック


大人の矯正治療で、インビザラインの治療が適しているのはどのような方でしょうか?

矯正装置が目立つのが気になる方や、治療のゴールを画像で確認しながら治療を進めたい方におすすめです。
インビザラインは、透明のマウスピース型矯正装置で、従来のワイヤー矯正と比べると目立たず、治療中だと気づかれにくいのが最大の特徴です。これまで、見た目の問題から矯正治療に踏み出せずにいた方にとって、この点は大きなメリットだと思います。また、ワイヤー矯正と比べるとインビザラインは痛みが少ないのも特徴です。
そのほかのメリットに、インビザラインは治療計画を視覚的にわかりやすく共有できる点があります。従来のワイヤー矯正では、治療のゴールは歯科医師の頭のなかにしかなく、患者さんにわかりやすく伝えるのは難しいことでした。
インビザラインは、3次元治療計画ソフトウェアによって治療の開始から完了までの歯の移動をシミュレーションし、画像や動画で患者さんに共有できます。治療のゴールをあらかじめ確認してから治療を受けたい方におすすめです。
私は、矯正治療に限らずどの治療でもビフォー・アフターについてしっかりと共有し、患者さんに確認していただいてから治療を進めることを大切にしています。インビザラインは、治療中も計画どおりに進んでいるかどうかを確認していただけますので、その点もおすすめポイントです。
ただし、マウスピースでしか治療できない症例もあればワイヤー矯正でしか動かせない症例もありますので、2つの方法を併用する場合もあります。


マウスピース矯正で先生がこだわっていることを教えてください。

患者さんとコミュニケーションを取りながら治療を進めていくことです。
マウスピース矯正は、患者さん自身の治療へのモチベーションが必要です。歯科医師はあくまでも補助的な立場で、毎日お手入れをして、マウスピースを装着するのは患者さん自身です。その点が、基本的に歯科医師に任せて治療を進めるワイヤー矯正との大きな違いだと思います。
私たち歯科医師が定期検診でおこなうことは、きちんとゴールに向かっているかどうかを確認し、サポートすることです。そのため、マウスピース矯正でもっとも大切なことは、患者さんとコミュニケーションを取ることだと考えています。
治療中の経過は毎回写真を撮影し、治療計画と違いがないかどうかを患者さんにもご確認いただきながら進めていきます。また、治療を進めるなかで、お悩みはないか伺い、もし困っていることがあれば一緒に解決策を考えます。

最後に、受診を検討している方に向けメッセージをお願いします。

患者さんと一緒に考えることを大切にしています。ちょっとしたことでもお気軽にご相談ください。
当院は小児矯正治療に力を入れていますが、そのほかにもインプラント・ホワイトニング・ボトックス注射・マイクロスコープを使った精密治療など幅広い治療に対応できます。
これは、都市部まで出向かずとも、お近くにある当院で新しい治療を受けていただけることが理想だと考えているためです。今後も、小児矯正治療を中心にそのほかの治療にも力を入れていきたいと思います。
当院では、患者さんと一緒に考えることを大切にしています。ちょっとしたお悩みでもかまいません。患者さんとともに、口腔の問題に取り組んでいければ嬉しく思いますので、ぜひお気軽にお越しください。