「生涯の充実は予防歯科から始まります」世界基準の予防歯科システム&小児予防矯正マイオブレースとは?|Well-being Dental Clinic:園延 妙子 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
クリニックのコンセプトを教えてください。
患者さんの生涯にわたるウェルビーイングを提供することです。
当院は予防歯科に重点を置いた歯科医院です。病気を未然に防ぐことで、患者さんの心身の健康と社会的な活動をサポートし、生涯にわたりウェルビーイング(心身だけでなく社会的にも良い状態であること)を提供したいと考えています。
当院では、世界基準の予防歯科システムであるメディカルトリートメントモデル(MTM)を採用しています。メディカルトリートメントモデルは、病気のリスクを評価し、一人ひとりに合わせた予防プログラムの作成から治療までをおこなうシステムです。
病気のリスク評価では、14枚のレントゲン撮影や口内の撮影、歯周病検査、唾液検査などの精密検査を実施します。歯科版の人間ドックのようなイメージです。
歯科治療の一環として精密検査を受けるメリットを教えてください。
歯周病などの隠れた異常を早期に発見・治療できる点です。
たとえば唾液検査を実施することで、むし歯になるリスクがわかるため、適切な予防と治療に役立てられます。また歯周病検査を受けることで、歯周病の進行前に治療を開始できる可能性が高まります。
とくに若い方は、ご自身の健康に関心が低い場合が多く、気づかないうちに手遅れになってしまうケースも見受けられます。メディカルトリートメントモデルは、隠れた異常を早期発見し、適切な治療を受けるきっかけとなりますよ。
治療の経過とゴールが見えるマウスピース矯正
マウスピース矯正のメリットを教えてください。
抜歯となるリスクが低く、目立たない、痛みが少ない点がメリットです。
当院のマウスピース矯正では、重なってしまっている歯を部分的に削るIPRを併用することで、抜歯なしでの矯正を目指します。そのため、抜歯のリスクを抑えた治療が可能です。またマウスピースは、ワイヤー矯正の矯正器具と比べて目立ちにくく、痛みも少ないので、治療期間中も快適にお過ごしいただけます。
ただ1日あたりの装着時間を一定以上確保する必要があるため、人前で話すことの多い職業の方などは、治療が難しい場合があります。そのため十分な装着時間を確保でき、装着時間を自分で管理できる方におすすめしています。
治療の流れを教えてください。
3Dスキャンや写真をもとに治療計画を立て、1〜2カ月に一度の定期検診で様子を診ながら治療を進めていきます。
無料の初回診療時に、マウスピース矯正の適応確認や3Dスキャンを実施し、簡易的な治療のビフォーアフターをお見せします。その後再来院時に、レントゲン、口腔内写真、顔の写真などを撮影し、治療計画を立てていきます。
2〜3週間後にシミュレーション動画が完成するので、動画を見せながら治療計画を説明します。シミュレーション動画を見ていただければ、経過や治療のゴールがわかるので、安心して治療を開始できますよ。治療に同意いただければ、2週間後に最初のマウスピースのお渡しが可能です。
治療開始後は1〜2カ月に一度定期検診を実施し、調整が必要か確認していきます。定期検診が、患者さんの「マウスピースをちゃんと着けよう」というモチベーションにつながっていると感じています。
また矯正終了後も、歯並びを維持するために、リテーナー(保定装置)の装着が大切です。治療期間中よりも必要な装着時間は短くなるので、継続していただければと思います。
抜歯したスペースを生かして重なりを解消【症例解説】
この方はどのようなお悩みで受診されたのでしょうか?
歯の重なりを解消して、きれいな歯並びになりたいというご相談で来院されました。
この方は歯の重なりやがたつきに悩んでおり、きれいな歯並びになりたいとのご希望でした。診察すると、下の歯の重なりが強く、左下の小臼歯に問題があり、抜歯しなければならない状態でした。
そのため、下の歯は抜歯したスペースを利用し、上の歯はIPRを併用して歯列を矯正することになりました。治療期間は2年弱で、治療後は下の歯の重なりが解消され、ご希望されていたきれいな歯並びが実現できましたね。
アーチを縮小して前に出た歯列を改善【症例解説】
この方はどのようなお悩みで受診されたのでしょうか?
歯列が前に出ているのが気になるので、抜歯せずに治したいとのことで来院されました。
この方は歯並びは問題ありませんが、歯が前に出ていることにお悩みでした。また治療に関しては、抜歯したくないとのご希望でした。そのため、全体的にIPRを実施し、歯列のアーチを縮めて歯の角度を変える計画を打診しました。
治療時のポイントは、上下の歯列がぶつからないように、上下どちらもアーチを縮めた点です。マウスピースをしっかりと装着していただいたので、半年の治療期間で前に出ていた歯列が大きく改善されました。
子どもだからこそできる根本治療。小児予防矯正マイオブレース
小児予防矯正マイオブレースとはどのような治療でしょうか?
特殊なマウスピースの使用やアクティビティをとおして、子どもの口腔機能の発達を促す矯正治療です。
小児予防矯正マイオブレースは、特殊なマウスピースを使用し、子どもの口腔機能の発達を促す矯正治療です。また月に一度ほどの頻度で来院いただき、定期的に舌や口周りの筋肉の正常な発達をサポートするアクティビティを実施しています。
アクティビティでは、上顎に舌をしっかりつける練習などをします。大人でも舌が上顎についていない方も多いため、子どものうちから正しい舌の位置を練習するのが大切です。
小児予防矯正マイオブレースを受けるメリットを教えてください。
将来的な健康問題のリスクを下げられる点です。
小児予防矯正マイオブレースを受けるメリットは、将来的な健康問題を、原因となる習慣から予防できる点です。たとえば口呼吸を放置していると、風邪を引きやすくなったり、歯並びに問題が現れたりする可能性があります。
子どものうちから正しい呼吸方法を身につけ、口腔機能の発達を促すことで、口腔内だけでなく生涯にわたる全身の健康をサポートできます。また費用面でも、大人になってから歯並びを治す場合に比べて、抑えられると思いますよ。
小児予防矯正マイオブレースをおすすめしたいのは、いつも口を開けていて、口呼吸になっているお子さんです。治療の開始は早いほうが効果が出やすいため、7〜8歳ごろをおすすめしています。
子どもでも問題なくマウスピースを装着できるのでしょうか?
装着時間が短く、多くのお子さんがすぐに慣れるので大きな問題にはなりません。
基本的にマウスピースの装着は、日中1時間と就寝時のみです。子どもは治療に慣れるのも早いので大きな問題にはなりません。
また、自宅でも口腔機能を鍛えるトレーニングをしていただきます。トレーニングは14種類あり、お子さんの習得具合に合わせて段階的に進めていき、2〜3年ほどかけて治療を進めていきます。
小児予防矯正マイオブレースでは、お子さんがマウスピースを着用しているかの確認や、自宅でのトレーニングのサポートなど、ご両親の協力体制が必要です。大変ですが、お子さんの一生の健康リスクを根本から下げられるので、メリットは大きいと思います。
より多くの方々に予防歯科を知ってもらいたい
先生のご経歴を教えてください。
摂食機能保存学を学び、歯科医院で経験を積んだあとクリニックを開院しました。
長崎大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学で口腔機能の回復と保全を扱う摂食機能保存学講座を専攻しました。その後、神奈川県内の歯科医院での勤務を経て、歯科医師の夫とともに2006年にオーラルビューティークリニック白金院を、2009年には白金こどものはいしゃさんを開院し、白金高輪エリアで2医院を運営してきました。
2023年に家族で通える歯科医院にしたいと考え、オーラルビューティークリニック白金院と白金こどものはいしゃさんを統合する形で当院を開院し、今に至ります。
患者さんとのコミュニケーションで意識していることを教えてください。
丁寧なカウンセリングと、一人ひとりに合わせた治療の提案です。
カウンセリングでは患者さんが緊張しないよう、アットホームな雰囲気でお迎えするようにしています。また歯科医師としての専門的な話をするだけでなく、患者さんの希望や要望を時間をかけてお聞きします。患者さんが安心して治療を受けられるように、丁寧なカウンセリングと一人ひとりに合わせた治療を提供していますよ。
当院は総合歯科なので、矯正治療だけでなく必要に応じてむし歯治療もするなど、総合的な診療が可能です。患者さんに合わせて適切な検査をおこなってから治療に入るため、安心感につながっているのではないかと思います。
今後力を入れていきたいことを教えてください。
より多くの方々に予防歯科を広めていきたいです。
治療を通じて、予防のために歯科医院に通う習慣をより多くの方々に広めていきたいです。口内の健康は全身の健康に深くかかわっています。まずは一度、検査と適切な治療を受けていただき、定期検診に通っていただければと思います。歯科検診はあと回しになりがちですが、病気の早期発見・治療のために、ぜひ一度ご来院くださいね。