ニキビ痕の改善に!針を使わず真皮まで薬剤を浸透させるCUREjet(キュアジェット)とは|つさかこどもおとな皮膚科・泌尿器科:津坂 聡子 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
クリニックを開院した経緯について教えてください。
経験を積み、自分なりに提供したい医療の方向性が固まったのをきっかけに開院を決めました。
私は臨床研修後、東京女子医大病院の皮膚科に入局しました。アトピー性皮膚炎やニキビで全国的に著名な先生方がいらしたので、患者さんは全国からいらしており、難治なニキビから稀な疾患、重症な疾患まで、幅広く経験を積むことができました。
その後、総合病院や美容クリニックなどに勤務し幅広い世代の患者さんの皮膚科診療にあたりました。そして、皮膚科医として経験を積むにしたがって、自分なりに提供したい医療の方向性も固まっていきました。
皮膚科医としてのキャリアが充実してきたタイミングで、利便性のよいこの場所と出会い、自分のやりたい医療を実現させる機会だと思い開業を決めたのです。
当院は、西武有楽町線の新桜台駅から近く、無料の駐車場・駐輪場もあるので、お子さんからご年配の方まで幅広い世代の方が通いやすいと思います。
この場所で、保険診療を提供し、足りない部分は自由診療で補うハイブリッドな医療を提案していきたいと考えました。
クリニックのコンセプトを教えてください。
皮膚科と泌尿器科のことなら年齢を問わず相談できる、信頼できる医療の提供が当院のコンセプトです。
つさかこどもおとな皮膚科・泌尿器科の名前のとおり、お子さんからご年配の方まで幅広い年代の方を対象に診療しています。
年齢を問わず、皮膚科と泌尿器科についてのお悩みを相談していただけるような、信頼できる医療の提供が開院以来のコンセプトです。
また、保険診療だけではなく皮膚科は自由診療も提供していますので、患者さんのご希望やご予算に合わせた幅広いご提案ができるのが特徴です。また、泌尿器科でも尿漏れや骨盤臓器脱に関しての自費診療の導入を検討しています。
難治性のニキビには自由診療の選択肢もご提案
ニキビができる原因と、先生が治療で大切にしていることを教えてください。
皮脂の分泌過多やストレス、合わない化粧品など多様な原因が考えられるので、問診を大切にしています。
若い方の場合は、ホルモンの関係で分泌される皮脂が多く、ニキビの原因となります。また、ご自身の肌質に合っていない化粧品を使用することで、ニキビを悪化させている方も多くいらっしゃいます。
当院では、日常でどのような洗顔や保湿をしているのかをヒアリングし、肌質に合うスキンケアをアドバイスします。それだけで改善に向かう方も中にはいらっしゃいます。
また、乱れた食生活やストレスもニキビの原因となります。睡眠を十分に取って、刺激のある食べ物を避けていただくことで、ニキビの悪化予防につながります。
基本的には、日本皮膚科学会の定める診療のガイドラインに沿って、保険適用となる標準治療から始めます。多くの方は、標準治療を適切に実施することで改善が期待できます。
保険診療だけで改善が難しいニキビはどのように治療するのですか?
患者さんのご要望に寄り添い、自由診療をご希望であればご提案します。
保険診療でも改善が難しいのは、ホルモンの乱れが強い方、ケロイドになりやすい体質の方、大人のニキビに悩まれる方です。
顎や口の周りにできる大人のニキビは、睡眠不足やストレス、暴飲暴食などが原因のことが多く、皮膚の深い部分にニキビが発生して、ニキビ痕が残りやすいのが特徴です。
女性ですと難治なにきびの背景に、多嚢胞性卵巣症候群など、婦人科疾患が隠れていることもあり、問診の上必要な方は婦人科受診を勧めることもあります。ケロイド体質の方はにきびの痕が瘢痕になりやすいので、ケロイド治療を並行することもあります。
また、自由診療を利用して早く治したい方もいらっしゃれば、できるだけ治療費の負担を抑えたい方もいらっしゃいます。そのため当院では、患者さんのご希望に寄り添った治療をご提案したいと考えています。
自由診療で受けられるニキビの治療について教えてください。
内服薬のほかピーリングやレーザー治療をご提案しています。
イソトレチノインはビタミンAの一種で、強力に皮脂分泌を抑制し、毛穴詰まりの改善や抗炎症効果などの効果があります。
ただし、内服薬であり、肝機能やコレステロールなどに影響を及ぼすこともあるため、血液検査で確認しながら投与します。
内服薬を避けたい方は、殺菌作用と創傷治癒促進効果のあるヒーライトや、ニキビ痕の赤み改善や皮脂腺の減少効果もあるフラクショナルレーザーなどをご案内しています。
また、肌質的に敏感で、かゆみや刺激が出やすいなどの理由で保険診療の外用のピーリング剤が使えない方も一定数いらっしゃいます。
そういった方には、月に1回のサリチル酸ピーリングやミラノリピールなどを勧めています。
月1回、自費のピーリング施術でしっかりと角質除去をして、ご自宅では保湿など刺激のないケアにとどめていただくことでニキビが改善する方も多いです。
クレーター状のニキビ痕やたるみ毛穴にCUREjet(キュアジェット)
ニキビ痕が残ってしまった場合、どのような治療を提供していますか?
CUREjetを使った治療をご提案しています。
クレーターのようなニキビ痕は、繊維化してコラーゲンが固まってしまったもので、レーザーを照射する治療では改善が難しいタイプです。
CUREjetは針を使わず、高圧ジェットを噴射することで固まった繊維を断ち切り、肌のリモデリングによるコラーゲン等の増生でふっくらとさせ、肌の深層まで薬剤を届ける機器です。
CUREjetで浸透させる薬剤は、ヒアルロン酸とアミノ酸やポリ乳酸などの、いわゆる肌育と呼ばれる製剤になります。コラーゲンやエラスチンの産生を促し、肌質改善も期待できます。
CUREjetは、針を刺すことなく薬剤を浸透させられます。注射ほどの痛みがなく施術できるのも、この機器の利点だと思います。
CUREjetはどのような方におすすめですか?
クレーターのようなニキビ痕やたるみ毛穴、手や首のシワにお悩みの方におすすめです。
従来のレーザーやピーリング等の治療でも改善が難しかったクレーターなどのニキビ跡や、毛穴の開きにお悩みの方におすすめです。
ニキビ治療をしていく中で「ニキビはできなくなったけれど、クレーターなど痕が気になる」というお声が多く、そのようなお悩みに応えるべくCUREjetを導入しました。
そのほか、CUREjetによるジェット刺激のリモデリング効果により真皮が厚くなり、また注入するコラーゲンブースター製剤による肌育効果という、ダブルで肌にハリをもたらし、ふっくらさせる効果が期待できる施術でもあるので、年齢を重ねることで生じたたるみ毛穴や肌のシワにお悩みの方にもご提案したい治療法です。手や首のシワをふっくらさせる作用も期待できます。
CUREjetは何回ほど継続して受ける必要がありますか?
1カ月に1回の頻度で、3回ほど受けていただくことをおすすめしています。
CUREjetを用いてニキビ跡のクレーターなどの治療をする際は、ニキビ跡の深さ等によってレニスナやジュベルック等のコラーゲンブースター製剤を用います。
剥離したニキビ跡の皮下に注入し、製剤は徐々に1年半ほどで吸収され、その間は皮膚の浅い層や真皮のコラーゲン生成を促進する作用が期待できます。
3回ほど受けていただくとニキビ痕の改善を実感していただけることが多いです。
3回の施術後は重症度に応じて、適宜追加していただくのが良いでしょう。
CUREjetによる痛みやダウンタイムについて教えてください。
針を刺す治療ほど痛くありませんが、麻酔クリームの使用をおすすめします。ダウンタイムは約1週間です。
CUREjetによる施術は、針を刺す施術ほどは痛くありません。しかし、脂肪の少ない部位は痛みを感じやすいので、基本的に麻酔クリームの使用をおすすめしています。
高圧ジェットで肌に穴を開け薬剤を注入するため、当日は蕁麻疹(じんましん)のような赤い腫れが生じますが、1週間ほどでかさぶたになって剥がれ落ちます。
ニキビも美容医療も早めの治療が大切、気軽にご相談を
患者さんとのコミュニケーションで気を付けているポイントを教えてください。
患者さんが本音で相談しやすいよう、診察の前にスタッフがヒアリングしています。
患者さんは、医師よりも看護師のほうが話しやすいと感じられる傾向がありますので、診察前にスタッフによるヒアリングを実施しています。これは、患者さんが悩んでいることや改善したいこと、ご予算などを本音で話していただくためです。
当院のスタッフは全員が女性です。患者さんとは同じ目線でフレンドリーに接し、会話しやすい雰囲気を作るよう指導しています。もし、医師に言いにくいと感じることがあれば、スタッフにお声がけいただければと思います。
クリニックの強みを教えてください。
泌尿器科と皮膚科にまたがって診療しているのは強みの1つだと思います。
当院が診療している泌尿器科と皮膚科は、患部がかぶることも多い診療科です。デリケートゾーンは、皮膚科の病気も発症しやすい部分なのです。
しかし、診察を受けることに抵抗感を覚える方も多く、重くなってから受診される方もいらっしゃいます。当院はその点、両方の科を診療しているため、デリケートゾーンのお悩みも相談しやすいのではないでしょうか。
デリケートゾーンのことはすべて泌尿器科、それ以外の皮膚のトラブルはすべて皮膚科と捉えられがちですが、実は逆のケースもあります。
以前、おへその感染症を繰り返すためにずっと皮膚科に通っている患者さんがご来院されました。エコー検査をしてみると、尿膜管遺残症で手術が必要な泌尿器科の病気だとわかりました。
患者さん自身が気付いていなくても、皮膚科と泌尿器科の医師で連携し、こういったケースも発見できるのは当院の強みだと思います。
また、皮膚科では保険診療に加え、自由診療の治療もご提案できます。患者さんのご予算やご都合に合わせて、さまざまな選択肢をご提案できるのも当院の強みの1つです。
受診を検討している方にメッセージをお願いします。
皮膚の悩みも泌尿器の悩みもお気軽にご相談ください。
ニキビは初期治療がとても大切です。重症化を防ぎニキビ痕を残さないためにも、ニキビができたら早めに、軽いうちにご相談ください。
その他の皮膚疾患も美容皮膚科の治療も、できるだけ早めに始めておくことが大切です。些細なお悩みでも気軽にいらしていただきたいと思います。
ニキビ痕の治療に関しては、今後、CUREjetのほかにもピンポイントでニキビ痕を治療するTCAクロスや機器を増やしていく予定です。さらに重症のニキビ痕にも対応できるように充実させていきたいと考えています。
泌尿器科で扱うのは男性の病気といったイメージをお持ちの方も多いかもしれません。当院は、女性泌尿器科の診療にも力を入れ、女性が来院しやすい泌尿器科を目指しています。泌尿器科には、男性医師と女性医師が在籍していますので、男性の方も女性の方も受診しやすいと思います。
年齢を重ねると、泌尿器のトラブルが生じることが多いので、尿漏れなど気になることがあればお気軽にご来院ください。