
「モナリザタッチ®️で女性としての自信を取り戻しましょう」尿漏れや性交痛など女性器の不快な症状を緩和する痛みの少ないレーザー治療|聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田:八田 真理子 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー



モナリザタッチ®️とはどのような治療なのでしょうか?

腟に炭酸ガスフラクショナルレーザーを照射し、加齢に伴う不快な症状の改善を目指すエイジングケアです。
モナリザタッチ®️は、イタリアで開発された治療法です。顔のリフトアップやたるみ改善のためにレーザーを照射するリジュビネーションの技術を腟に応用し、腟と外陰部に炭酸ガスフラクショナルレーザーを照射することで、組織の損傷をできるだけ抑えながら、加齢に伴う女性器のさまざまな不快な症状を軽減します。
細胞に熱刺激が加わると血流が改善され、ヒートショック・プロテインと呼ばれるタンパク質が産生されます。さらに、ヒートショック・プロテインは、線維芽細胞にはたらきかけ、コラーゲンを産生します。
このような仕組みを応用することで、ハリを失って薄くペラペラになった女性器に若々しさやふっくらとした厚みを取り戻し、腟粘膜の活性化を目指すのがモナリザタッチ®️です。

モナリザタッチ®️によってどのような悩みの改善が期待できますか?

腟の乾燥・かゆみ・におい・頻尿・性交痛といった症状の改善が期待できます。
モナリザタッチ®️により、腟まわりの不快な症状・泌尿のトラブル・性交に関するトラブルの3つが相まって起こるさまざまな症状の改善が期待できます。
年を重ねるに従ってエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少すると、腟や外陰部の大陰唇が痩せて薄くなる腟萎縮や乾燥が起こります。すると、かゆみやにおいといった腟まわりの不快な症状、性交痛や性交時の出血といった性交に関するトラブルが生じます。
さらに閉経を迎えると、尿漏れや頻尿といった泌尿のトラブルも起こりやすくなります。これらの症状は、GMS(閉経後尿路性器症候群)と呼ばれます。モナリザタッチ®️は、このような不快な症状を和らげる作用が期待できます。

モナリザタッチ®️の適応となる年代について教えてください。

当院では、20代から90代の方まで、幅広い世代の方に治療をおこなっています。
モナリザタッチ®️は、元々は年齢に関係なく乳がん治療後の性交痛に悩まされる患者さんのために開発されたものです。
乳がんの治療ではエストロゲンのはたらきを阻害する薬を使用する場合があり、治療後に性交痛で悩まれる患者さんが多くいらっしゃいます。しかし、性交痛をやわらげる薬物療法のひとつであるエストロゲン補充療法は、乳がん治療後の患者さんには使用できません。そこで導入されたのが、炭酸ガスフラクショナルレーザーによる治療でした。
近年は、更年期の女性だけではなく、同じような症状に悩まされる若い女性の方にも適応範囲を広げています。無理なダイエットやストレスが原因で、月経が止まり、腟の不快な症状が現れることがあるためです。
また、不妊治療をおこなっている方のなかには、痛みが原因で性交が難しい方もいらっしゃいます。そのような方も、モナリザタッチ®️の適応です。さらに、90代で新たにパートナーができたことでモナリザタッチ®️を希望された方もいらっしゃいます。

施術時に痛みはありますか?

腟内はほとんど無感覚で、感覚のある外陰部には麻酔クリームを塗布します。
腟内のほとんどの部分は無感覚で、感覚があるのは入り口の部分のみです。入り口も少し熱さを感じる程度で、つらい痛みはありません。腟内だけであれば麻酔は本来不要ですが、当院では大陰唇にも照射するので、外陰部にはあらかじめ麻酔クリームを塗布してから施術をおこないます。
腟内に機器を挿入するときに、少し痛みを感じることや出血する場合があるほか、施術後、最初の排尿時には少し染みるような痛みがありますが、長期的なトラブルはなく、ダウンタイムもほぼありません。
施術後は、当日を入れて3日間、性交を控えていただくようお願いしています。また、当日は入浴は控え、シャワーで済ませていただきます。施術部位は、保冷剤で冷やしてください。

施術間隔はどれくらいの頻度で受けるのがおすすめですか?

1カ月に1回の頻度で2~3回施術をおこなった後、定期的なメンテナンスで維持していただくことをおすすめします。
海外では、1カ月から1カ月半くらいの間隔を開けて3回施術をおこなうことを推奨していますが、当院では、まずは2回の施術を推奨しています。その後、6~10カ月ほど、作用が持続すると考えています。
ただし、施術後、1年も経てば元の状態に戻ってしまいますので定期的にメンテナンスをおこなうことが大切です。顔のエイジングケアと同じで、気になってから施術をおこなうよりも、定期的なメンテナンスでよい状態を維持していただくことをおすすめします。

モナリザタッチ®️導入のきっかけを教えてください。

腟まわりの不快な症状で悩む患者さんの助けになりたいと思ったのが導入のきっかけです。
当院がモナリザタッチ®️を導入したのは、2016年1月のことです。今後は、予防医療に力を入れていきたいと考えたのがきっかけでした。
保険診療では、既に病気になった状態を治療することしかできません。病気になる前の段階から女性をきれいにするサポートがしたい、不快な症状を軽減してあげたいとの思いが強くなり、モナリザタッチ®️のレーザー機器を導入しました。
日本では施術の受けられる医療機関が少ない時期に導入したので、北海道や四国といった遠方からご来院される方もいらっしゃいました。多くの皆さんに喜んでいただいて、導入して本当によかったと思っています。

モナリザタッチ®️でどのような変化が期待できますか?

女性としての自信を取り戻し、パートナーとの仲が改善される方も多くいらっしゃいます。
日本では、30代や40代でセックスレスになられるご夫婦も多いのですが、モナリザタッチ®️がきっかけでパートナーとの仲が改善される方も多くいらっしゃいます。性交痛や不感がセックスレスの原因になっている方も多いためです。
出産を考えていなければ、セックスは必要ないものかもしれません。しかし、セックスによるスキンシップは精神的な癒しや喜びにつながるのではないでしょうか。
また、スキンシップで分泌されるオキシトシンは幸せホルモンのひとつです。オキシトシンは、不安や恐怖などを感じる情報に対してセロトニンの分泌を促し、うつ症状を緩和させるはたらきがあります。患者さんを見ていても、定期的にパートナーとの性交をもたれている方は、元気できれいだと感じます。
腟は、女性の体のなかでも、コアな起爆剤のような部分だと思います。モナリザタッチ®️を受けるまでは、巻き肩で姿勢が悪く自信がなさそうに見えた方が、腟や外陰部にふっくらとした厚みや潤いを取り戻すことで姿勢までよくなることも多いのです。
患者さんファーストで女性の人生に寄り添う診療を


産婦人科の医師を目指したきっかけについて教えてください。

小学生のときから父の跡を継いで産婦人科の医師になると決めていました。
幼い頃から父の産婦人科を継ぐ医師になると決めていて、小学校6年生のときの作文にもそう書いていました。父が夜中でもお産に取り組んでいる姿を見て育ち、長女の私が早くクリニックを継がなければいけないと思っていたのです。
医師になって8年経った頃、私は基幹病院の勤務を辞め、当院で働くようになりました。大学病院では、卵巣がんの患者さんを看取った直後にお産で赤ちゃんを取り上げることもあります。一夜のうちに生と死に立ち会うシビアな経験を8年も積めば、なんでもできるだろうと当時の私は考えていたのです。
ところが、大学病院と開業医では受診される患者さんが異なります。開業医になってみて、何もできない自分の非力さにあらためて気づかされました。医学書で学び試験を受けて医師になりましたが、診察室で実際に患者さんと接すると、書物から学ぶだけでは不十分だったと痛感します。
人間にはまだまだわからないことがたくさんあり、医師はたくさんのことを知っているようでいて知りません。生身の患者さんが私たちにさまざまなことを教えてくれるのです。

診療で大切にしていることは何でしょうか?

もっとも大切にしているのは、患者さんの立場になって治療方針を立てることです。
患者さんと医師ではなく、人と人として向き合って、その方が今後どうしたいかを伺い、その希望を実現するためにどうしたらよいかを一緒に模索していきます。
皆さんに共通する目標、「病気を治す」ことを目指すにあたって、できるだけ最短でスピーディーに、治療費のかからない方法を患者さんとともに模索していくのです。
治療方針を決めるにあたっては、長年の経験を活かしてその方にふさわしい治療方法をご提案することも可能ですし、これまでに培ってきたネットワークも活かして、ほかの医療機関へのご紹介もおこなっています。
ただし、あくまでも患者さんが主ですので、患者さんがどう思うか、どう感じるかを最優先に診療を進めていますね。もし私が患者さんの立場だったらどうしてほしいか、私の母だったらどうするだろうかと想像力をはたらかせながら、私ならこれを選ぶであろう最適な方法をご提案しています。

クリニックに通っている患者さんはどのような方が多いのでしょうか?

当院で生まれたお子さんやお孫さんとともに、3世代で通ってくださる方も多くいらっしゃいます。
当院は、2025年に開業から50年を迎えました。3世代で通院してくださる方もいらっしゃいます。地域の皆さんとともに年を重ねていると感じます。
お産で私が取り上げた赤ちゃんが今ではお母さんになり、かつて当院で出産されたお母さんが更年期世代になられました。そういった方々が今も通ってくださっているのです。
患者さんにさまざまなことを教えていただきながら、地域のかかりつけ医として患者さんとともに人生を歩んでいると感じますね。

クリニックのコンセプトを教えてください。

地域密着型隠れ家的クリニックとして、食事の提供やエクササイズの指導で皆さんの健康のお手伝いをしています。

当院は、団地のなかの緑に囲まれた小さなクリニックですが、なかに入るとワンダーランドです。キッチン ヴェスタを設け、近隣の農家さんと契約し、無農薬で体によい食事を患者さんに提供しています。この試みは4年前から始めました。医食同源と言われるように、健康な体をつくるために食事はとても大切なものです。口にしたもので人間の体はできています。
私は、更年期を迎えた頃に体調を崩したのですが、食事を見直し無農薬で質のよい調味料を使った食事に切り替えたところ、ガサガサだった肌も、お腹の調子もよくなりました。食事を変えただけで、体重も自然に5kg落ちたのです。食事だけでここまで変わるのだと驚き、患者さんにも食事の提供を始めました。
また、食事と同じく定期的な運動も健康を維持するために大切です。私は、運動に勝る薬はないと思い、22歳の頃からエアロビクスを続けています。当院では、メノポーズエクササイズを、スタッフが患者さんに指導しています。
メノポーズとは、更年期のことです。更年期を過ごしやすくするために、骨盤底筋の使い方や正しい姿勢、簡単な運動などをお伝えしています。婦人科の悩みに限らず、健康な生活を送るためのきっかけになれたらと思い、気づきにつながるさまざまなご提案をしています。

今後力を入れていきたいことについて教えてください。

健康寿命を延ばすことが大切で、そのお手伝いをしていきたいと思います。
今後、ますます高齢化社会が進み、がんや認知症の方が増えていくと思います。しかし、誰かに頼るのではなく、自分の体のことは自身で最期まで責任を持って生きていけるよう健康寿命を延ばしていくことが理想でしょう。
健康寿命を延ばすために大切なのは、体の声を聞き、自身を大切にすることです。女性の方は、自分よりご家族を優先してしまいがちですが、自身の声に従い、たまには自分を甘やかしリフレッシュすることも大切です。それがご家族の幸せにつながっていくと思います。
また、多くの病気は血流障害から起きています。血流をよくするためには体を動かすことが大切です。1回につき30分以上、汗をかく程度の運動を週に3回以上おこなう習慣を続けていただきたいと思います。体を冷やさないよう、温浴も大切です。
また、見た目をきれいにしようと気にかけることも重要で、見た目が若い人ほど寿命が長いとの報告もあります。見た目を若くきれいに維持しようと意識して生活することは、血管年齢や骨年齢の若さにもつながります。

受診を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

かかりつけ医として女性のヘルスケア全般を診療していますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
男性と異なり、月経やホルモンバランスの変動といったサイクルがあり、体調が変化しやすいのが女性の体です。かかりつけ医を持って、自身の体を大切にしていただきたいと思います。短いサイクルには月経に伴う生理痛やPMS(月経前症候群)があり、長いサイクルにはエストロゲンのゆらぎに伴いさまざまな不調が生じる更年期があります。
更年期には多彩な症状が表れますが、更年期の症状とよく似たほかの病気が隠れていることもあるので注意が必要です。更年期は人生の折り返し地点で、大きな病気が見つかりやすい時期でもあるので自己判断せず医師にご相談いただきたいと思います。
また、若い方で、PMSや重い生理痛に悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。症状を緩和するお薬がたくさんありますので、我慢しないで婦人科までご相談ください。
当院は、ちょっとした不調を気軽に相談できる窓口になりたいと考え、内科・精神科・皮膚科にまたがる**女性のヘルスケア全般を診療しています。**必要に応じて専門の医療機関へつなげますので、気になる症状があればまずはお気軽にご相談ください。