「お客様の9割がリピーターです」日本美容外科学会初の女性理事が目指す、真のかかりつけ医とは | あきこクリニック 田中 亜希子 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
クリニックのコンセプトを教えてください。
美容で困ったことがあればなんでも相談できる、美容のかかりつけ医です。
当院では開院当時から、“美容のかかりつけ医”をコンセプトに掲げてきました。内科のかかりつけ医のように、美容のことで何か困ったことがあればいつでも足を運んでもらえる場所でありたいと思っています。
かかりつけ医になるためには、お客様との信頼関係は欠かせません。そのためにも、初診のカウンセリングから医師が担当しています。お客様には施術のメリットだけでなくデメリットもきっちりお伝えしますし、価格についても包み隠さず説明します。事前に予算を聞くことも多く、予算の範囲内でベストだと思えることをご提案するように心がけています。
私ができることはもちろん誠心誠意対応しますし、もしも私が手掛けていない骨切りなどの施術が必要だと感じた場合は、私が信頼する骨切りの得意な医師を紹介します。このように、お客様がお困りのことには、あらゆる形ですべて応えるよう徹底しています。
ご来院されるのは、どのようなお客様が多いのでしょうか?
お客様のうち、9割がリピーターです。
当院に通ってくださっているお客様の年齢層の割合は、40~50代が5割、60代以上が3割です。これは、15年前の開院当時に30~40代だった方が今も通ってくださっているからで、現在は9割の方がリピーターです。
20代や30代の方もいらっしゃいますが、お母様やお友達からの紹介で来院される方が大半ですね。お客様に信頼していただき、紹介や私のブログを見ていらっしゃる方が圧倒的に多いといえます。
糸リフトは、たるみだけでなくニキビ肌にもおすすめ
人気施術の1つである、糸リフトはどのような施術なのでしょうか?
皮下に特殊な糸を入れ、持続的なリフトアップ効果をもたらす施術です。
糸リフト(スレッドリフト)は、特殊な吸収糸を皮下に入れることで皮膚や周辺組織を引き上げ、肌のハリや若返り効果を発揮するリフティング治療です。
持続的なリフトアップ効果とともに、肌を内側から引き締め、たるみの解消、小顔効果、ほうれい線の改善を促します。メスを使わず、ダウンタイムも少ないことで、定期的に受ける若返り治療として人気です。
糸リフトは、とくにたるみの改善に良いと言われていますが、実はニキビ肌でお悩みの方にもおすすめです。糸を挿入して引き上げるとともに、挿入した糸の周りでコラーゲン生成が促進されることで、肌の乾燥が解消し、弾力がアップします。潤いが戻ることで肌質が改善し、ニキビが軽減していくのです。
長年ニキビに悩まされていて、ありとあらゆる治療法を試しても改善しなかったお客様からも、糸リフトをしたらニキビができなくなったと喜びの声をいただきました。
使用する糸には、どのような種類がありますか?
当院では5種類の糸を用意し、目的や予算などに合わせて使い分けています。
当院でご用意している糸は、アルテミスリフト、ショッピングスレッド(ウルトラV-リフト)、Aリフト、Lリフト、テスリフトソフトの5種類です。どの糸も、たるみを引き上げてコラーゲン生成を促す効果は同じですが、骨格や気になる症状、目的や予算によって使い分けています。
このなかでも、とくにしっかりたるみを引き上げたい方には、アルテミスリフトがおすすめです。アルテミスリフトは、1~2年かけて完全に吸収されるPLLA(ポリ乳酸)や、PDO(ポリジオキサノン)を使用した糸リフトです。
糸の周辺にコグと呼ばれるトゲがついており、周りが網目状の3Dメッシュで覆われています。コグが皮下組織にしっかりと引っ掛かり、メッシュが組織に絡み一体化することで、引き上げを堅固にします。
アルテミスリフトは1つ1つのコグが独立した構造になっているため、途中で切ってもメッシュがほどけることがなく、使用量に合わせてカットできます。長い糸ではたるみを強く引き上げることが難しかったのですが、短い糸ならぐっと真上に引き上げることが可能です。
さらに、アルテミスリフトは折り返す必要がないことで、術後の違和感や皮膚の凹凸を作ってしまうリスクが軽減されました。挿入の際は、長さや素材の違う糸を組み合わせて立体構築するのですが、たくさんの本数が入るにもかかわらず、とても自然に仕上がります。使い勝手がよく今までできなかったことができるため、最もお客様の理想に近づける糸ではないでしょうか。
糸リフトでのこだわりを教えてください。
整形したとは思われない、自然な仕上がりにすることです。
ほかの施術でもいえることですが、整形したとは思われない、自然な仕上がりにすることを心がけています。糸リフトを施術すると、くぼんでいるところはよりくぼんでしまうため、入れるべき場所と入れてはいけない場所を見極め、立体的に構築しながら自然にたるみを引き上げることが大切です。
とはいえ、ビフォーアフターがわからなければ意味がありませんから、ナチュラルなだけでなく、しっかり引き上げることも大事にしています。
糸リフトの効果を確実に発揮させるには、正しいデザインと正しい入れ方、正しい糸選びが大切です。時々「糸リフトの効果を感じられない」との声を聞きますが、当院で受けたお客様にはしっかりと効果を実感していただいています。
また、新しい糸が入ってきたら、できる限り自分自身で試すようにしています。ほかの糸との違いを自分自身で感じることで、効果やダウンタイムについても実体験としてお客様にお伝えできます。お客様に安心して施術を受けていただきたいので、新しい製品やデバイスは今後も自分自身で試していくつもりです。
術中の痛みや、効果持続について教えてください。
術中の痛みは麻酔をするためほとんど気になりません。効果は2~3年程度です。
施術時には、まず挿入する入口に局所麻酔をし、糸の通り道には先端がとがっていない長いカニューレ針で麻酔をします。施術時に最も痛みを感じるのは、この麻酔の注射です。
当院では、ご希望の方には笑気麻酔をほどこします。笑気麻酔をすると軽く酔っているようなリラックス状態になるため、その間に麻酔をして、施術も完了させます。なかには静脈麻酔を希望される方もいらっしゃいますが、私の施術は10~15分程度で終わるため、終わったあと休む時間の方が長くなってしまいますし、麻酔料金もかかってしまいます。お客様にはそういった点もお伝えしたうえで、ご希望のやり方で施術に臨めるようにしています。
術後は、麻酔が切れてくるとじわじわと痛みが出てきますが、痛み止めで抑えられる程度です。安静にしていれば痛みはありませんが、口を開けるときは痛みが出て、違和感は1週間程度続きます。
持続効果は、どの糸でも2~3年程度です。私も45歳から2年おきに糸リフトを受けてきたのですが、新しい糸を試すために短いスパンで施術を受けるようにしたところ、少しずつ足すのがより効果的だと実感しました。術後1年くらいで、気になるところに少し足すような方法だと、よりご満足いただけるはずです。
幼い頃に受けた三度の手術が、現在の診療の心構えに繋がっています
診療にはどのようなこだわりがありますか?これまでの経験で、とくに活かされていることがあれば教えてください。
お客様目線の診療にこだわりがあります。幼い頃に受けた手術の経験が、現在の診療に活きています。
私は元々、先天性股関節脱臼という、股関節が外れてしまう病気を持って生まれてきました。幼い頃に二度手術したのですがうまくいかず、母が苦労して探してくれた病院で、4歳のときに三度目の手術を受けました。
手術が嫌だと泣き叫ぶ私を、あやしながら抱っこして手術室まで運んでくれた主治医の優しさを今でも覚えています。そこで気持ちが安らぎ、次に目を開けたときには手術が成功して歩けるようになっていました。あの感動は今でも忘れません。主治医として大切なのは、患者に寄り添う心であることを、その経験から学びました。
当時は、医師の回診中に患者が質問するのはとんでもないことという風潮がありました。ですが患者としては、医師にもっと話を聞きたいものです。私が元々手術を受ける側であり、心配する母を一番傍で見ていたので、今でも手術を受ける方々のお気持ちはよくわかっているつもりです。
こういった経験から、診療を受ける側の目線で物事を見ることを心掛けています。傾聴し、不安や恐怖を取り除く声かけや対応を、日頃から大事にしています。
先生は勉強会や講演会を積極的におこなっていますが、どのような思いがあるのでしょうか?
若手を育てたい、正しい美容医療を広めて1人でも不幸になる方を減らしたいという思いがあります。
美容外科医として研鑽を積み、40歳で当院を開業しました。しかし開業したことにより、そばに切磋琢磨する医師がいないことで、知識や技術が停滞どころか後退するような気がしていたのです。そこで常に進歩しなければいけないと思い、学会はもちろんのこと、勉強会もできる限り参加して、新しい技術や製品について学んできました。
そうした時代を経て、講演を依頼される側になりました。以前勤めていた美容外科でも先輩方に多くのことを学ばせていただいたので、今度は私が後輩達を育てる番だと思い、すすんでお引き受けするようにしてきました。また、正しい美容医療を広めることで1人でも不幸になる人を減らせるのではと思い、現在はSNSも活用して引き続き多くのことを発信しています。
こういった活動が奏功したのか、日本美容外科学会に理事として迎えていただき、2022年には日本美容外科学会会長を任せていただきました。また学会だけでなく、普段の診療で悩んでいることを気軽にディスカッションできる場があればと思い、月に1回、講演とディスカッションを兼ねた勉強会も主催しています。若手を指導しながら、医師同士で切磋琢磨しつつ、より美容医療を盛り上げていきたいと思っています。
ご来院を検討されている方に、メッセージをお願いします。
決して無理な施術はおすすめしません。まずは相談から、お気軽に足を運んでみてください。
美容外科にまだ行ったことのない方のなかには、怖くて高額なイメージを持っている方も多いかもしれません。しかしご安心ください。当院はカウンセリングの時間をたっぷり取ることで、わからないこともどんどん聞いていただける環境を整え、良心的な価格設定を徹底し、施術前に料金をしっかり提示しています。
初診の方には、ご希望があれば顔全体のたるみやしわの状況などをご説明し、どのような美容医療が最適かお伝えします。もちろん不要な方にはおこないませんし、どなたに対しても無理に施術をおすすめすることはありません。
わからないことがあれば、一から丁寧にご説明しますので、まずは安心して足を運んでいただけるとうれしいです。相談だけでも構いませんので、1人で悩んでいる方はぜひご相談ください。