「患者さんに合った治療を1対1で提供したい」肌や身体に過度な負担をかけない再生治療・糸リフトとは? You's clinic Aoyama:長谷川 悠先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
“you's clinic”というクリニック名が印象的ですね。クリニック名に込められたコンセプトを教えてください。
当クリニックのコンセプトは、完全なプライベート空間で、患者さん一人ひとりに合わせた診療を行うことです。
当クリニックは、一人ひとりに合った診療の提供をコンセプトにしており、完全プライベート空間でカウンセリングと施術を行います。理想の仕上がりやダウンタイムの取り方など、ご希望は一人ひとり異なるので、診療時間は1人1時間程度と長めにとっています。
私は開業する前に、規模の大きなクリニックに勤務していましたが、そこでは一人ひとりの患者さんをゆっくりと診療できませんでした。そこで「最初から最後まで自分で患者さんを診て、その方に合った施術を安心して受けていただきたい」と思ったのが開業のきっかけです。
細胞の数を増やすことで肌の若返りを図る“真皮線維芽細胞移植”
年齢を重ねた方の小じわやほうれい線におすすめの施術を教えてください。
第2種再生医療である真皮線維芽細胞移植が肌の若返りには適しています。
真皮線維芽細胞療法は、耳の後ろから採取した皮膚組織から真皮線維芽細胞を培養して、首のしわや目の下のこじわなど気になる箇所に注入することでしわを改善する施術です。年齢を重ねるにつれて減少する細胞を増やし、肌の若返りを図ります。耳の後ろから採取した細胞なら、増殖能力が高く、皮膚への定着力も高いことが知られています。さらに、顔の近くでありながら紫外線の影響を受けにくいので、耳の後ろの皮膚を使用しています。
肌の若返りの施術としてダーマペンやポテンツァなどが人気ですが、これらの美容機器による治療は、人によって細胞の数や働きが違うので、効果に個人差があります。しかし、真皮線維芽細胞療法は細胞の数を増やし、それらの細胞がコラーゲンやヒアルロン酸を作って肌を若返らせる仕組みです。そのため、大きな変化を感じる方が多くいらっしゃいます。ダーマペンやポテンツァなどの機械治療も、真皮線維芽細胞療法を受けた後に行うと、さらに大きな効果を感じられるでしょう。
細胞を移植して、副反応は起こらないのでしょうか?
患者さんご自身の細胞を移植するので、副反応が起きる可能性は低いです。
遺伝子上他人の細胞は入れられずに自分の細胞を入れるので、基本的には低リスクです。細胞は若いほうがよいので、若いうちに自分の細胞を保管しておいて、しわが気になった時に入れることもできます。
ただし、施術後に細胞をいれることで、炎症が起きて最初の一週間は若干の赤みや腫れは出るでしょう。
糸は全種類を用意、一人ひとりに合わせた糸リフト
you's clinic aoyamaでの糸リフトの特徴を教えてください。
ただ引き上げるだけではなく、患者さんがナチュラルに綺麗に見えるように施術しています。
当クリニックのコンセプトは“一人ひとりに合わせた治療”がコンセプトです。そのため、糸リフトにおいても、ただリフトアップするだけではなく、お顔の左右のバランスも調整しながら自然に見えるように仕上げます。 また、当クリニックでは額、頭皮、首のリフトアップも施術可能です。
どのようなケースでも施術ができるように、糸の種類はPCL、PDO、PLAと一般的に使用されるすべての素材があります。太くてしっかりと上がる糸や、腫れや痛みが和らぐ細い糸、コラーゲンができやすい糸など、糸の特徴を考慮しながら、患者さんにふさわしいものを選択します。カウンセリングの際に、一つひとつ糸の特徴を説明するので疑問点があれば何でもお尋ねくださいね。
先生が特に糸リフトをおすすめしている理由を教えてください。
年齢を重ねた方でも効果的ですし、たくさん糸を入れていると肌に透明感が出るからです。
高密度の超音波を皮膚の内側に照射することでリフトアップするハイフは、脂肪細胞を減らす治療なのでコケにつながり、年齢を重ねた方にはおすすめできません。また、口周りには照射できないこともマイナスポイントです。
それに対して糸リフトはこけにくく、口周りでも施術できます。さらに、糸を入れることで細胞が活性化するので、コラーゲンやヒアルロン酸が作られ、美肌効果も見込めます。定期的に糸リフトをすれば、自然に若々しく見えるようになるでしょう。
当クリニックでは、時間が経つと吸収される糸を使用することにこだわっています。糸が2~3年残るとしこりができる可能性や、感染のリスクがあります。また、施術後年月が経つと顔の形が変わるので、糸が歪み、糸が透けて見える場合や皮膚の外へ出てくる場合があります。そのため、定期的に糸リフトを受けることは手間に思われるかもしれませんが、時間が経つと吸収される糸での施術がおすすめです。
フェイスラインの脂肪量によって異なる施術を提供
あまり脂肪がついていないものの、フェイスラインのもたつきが気になる場合、どのような施術がよいでしょうか?
短い糸によるリフトアップの後にボトックスを入れる施術がおすすめです。
脂肪の量が少ない方は、皮膚を引き締めるべきなので、短い糸によるショ―トスレッドリフトとボトックス注射がおすすめです。
首の筋肉が発達するとフェイスラインがもたつく傾向にあるので、首の筋肉にボトックスを打ちます。これは首の筋肉を抑えることで、フェイスラインをくっきりさせ、バランスを整える施術です。
ボトックスの効果は3~4ヶ月程度で、効果を維持するためには定期的な注射が必要です。ボトックスを継続することで筋肉の癖は取れていき、徐々に戻りにくくなるでしょう。
皮下脂肪が多い場合は違う施術をするのでしょうか?
皮下脂肪が多いケースでは、事前にハイフや脂肪溶解注射を行ってボリュームを減らします。
皮膚のたるみや筋肉によるもたつきなど、患者さんによってたるみの原因が異なります。そのため、患者さん一人ひとりの原因にあわせてアプローチすることが大切です。
皮下脂肪が多い方の場合、糸リフトとボトックスの施術をいきなり行っても効果は期待できません。そのため、たとえばはじめにハイフや脂肪溶解注射を行い、皮下脂肪のボリュームを減らすなど、患者さんごとに施術のタイミングや個人差の見極めが肝心です。
糸リフトとボトックスは、それぞれどれくらい持続しますか?
糸リフトは施術後から半年間で徐々にリフトアップしますが、ボトックスで効果を感じるのは3~4ヶ月程度です。
糸リフトは1ヶ月、2ヶ月と、時間が経つにつれて徐々にリフトアップの効果が高まり、満足度が高い施術です。半年~1年ほど経つと、物足りないと感じて追加で施術を受ける患者さんもいます。
一方で、ボトックスや美容機器を用いた施術ではだいたい3~4ヶ月程度で効果が薄れていきます。効果の継続期間で選ぶなら糸リフトのほうがおすすめです。
ヒアルロン酸は複数の製剤から、患者さんに適したものを選択
ヒアルロン酸の施術でこだわっているポイントを教えてください。
当クリニックでは、硬さ、持続時間など特徴が異なる複数のヒアルロン酸の製剤を用意して、患者さんに適したものを使用しています。
実はヒアルロン酸の製剤は、複数のメーカーが製造しており、種類が豊富です。当クリニックでも、硬さ、柔らかさ、弾力性、持続時間、費用などが異なる複数の製剤を用意しています。患者さんに適した製剤を提案し、自然に仕上がるように努めています。
たとえばほうれい線の場合、重さのある製剤をしわの浅いところに注入すると口角が下がります。そのため、シワの浅い部分だけをターゲットにするのではなく、基盤となるところには深いところの注入で全体を持ち上げる施術も行います。そうすると、口角を下げることなくほうれい線を目立ちにくくさせられます。
唇をきれいに仕上げるのは難しいように感じます。ヒアルロン酸を唇にいれる際は、どのようにデザインしているのでしょうか?
ただ唇を厚くすると不自然になってしまうこともあるので、患者さんのご希望を伺った上で、左右のバランスを整えるように心がけています。
以前はふっくらとした唇が人気で、たらこのような唇の症例が非常に多かったです。しかし、それはただヒアルロン酸を大量に注入するだけの施術で、仕上がりは不自然でした。
そのため当クリニックでは、鼻の下を短くする、口角を上げる、左右のバランスを整えるというように、患者さんに合わせて自然で美しいデザインを心がけています。
初めて施術される方には、仕上がりのイメージ写真を持参していただきます。それが元々の唇の形とは大きく違う場合や患者さんのお顔立ちには適さない場合は、より患者さんに似合うデザインを提案させていただくこともあります。その他に、綺麗系、可愛い系といったご要望も伺いますので、細かなご要望もご相談くださいね。
ヒアルロン酸により、皮膚の壊死・失明のリスクがあるという話もあります……。リスクを回避するために注意していることを教えてください。
大切な血管を損なわないように、ゆっくりとヒアルロン酸を注入します。また、血管にヒアルロン酸が入れば痛みを感じるので、その際はヒアルロン酸を溶かす製剤をすぐに使用します。
ヒアルロン酸を注入する際、血管に入ってしまうと、血管の壊死や失明などのリスクがあります。そのため、どの部分に血管が通っているのかを把握したうえでの施術が必要です。
施術時は、ヒアルロン酸が血管に入っていないかを確かめながら、力を入れずゆっくりと注入します。もし、ヒアルロン酸が血管に入れば、患者さんは痛みを感じ、私から見ても皮膚の色の変化が分かるので、気付けます。万が一、血管に入った場合は、ヒアルロン酸を溶かす製剤を使用して迅速に処置しますよ。
肌と身体に負担をかけない、毎日の生活とバランスがとれる美容医療
先生が目指す、肌と身体に負担をかけない美容医療とは、どのようなものなのでしょうか?
肌に過度な負担をかけず、その方の再生力に合わせた、無理のないバランスのよい美容医療です。
私は複数の美容クリニックで勤務医をしてきました。勤務医の場合は、そのクリニックで提供している施術しか担当できません。しかし、私は患者さんに合ったものを一対一で提供したいと思い、開院しました。
たとえば、ハイフが流行した際は、1ヶ月おきにハイフを受ける方もいました。あまりに高頻度で受けると、皮膚が十分に再生する前に再び皮膚を火傷させることになるので、皮膚への負担が非常に大きいです。そのため、当クリニックでは、患者さんの皮膚の再生力に合わせた施術を提供しています。
また、「施術を受けなきゃ」と、患者さんが精神的に追い込まれるような施術は避けたいと思っています。美容医療だけではなく、日常生活も大切にしていただくため、他のことにもお金を使えるようにバランスを取ることを心がけています。さらに精神的にもサポートするため、アフターフォローを手厚く行っており、気になることがあればいつでもLINEできる制度を整えています。
一人ひとりに合わせた施術をするために、必要なことを教えてください。
これまでの経験を活かしながら、患者さんと一対一で向き合い、ゆっくり時間をとるようにもしています。
現在、患者さん一人ひとりに合わせた施術ができているのは、勤務医時代に多くの患者さんを診察する機会があったからです。施術の効果を目の当たりにし、患者さんの要望や感想を直接聞いた経験が活きています。また、形成外科医として大学病院での勤務や大学院で学位取得の経験も大きいと思います。
そうした経験を経て、患者さんにあった施術を提供できる空間を作りたいと思いました。開院後は1日でたくさんの患者さんは診療できませんが、その分1人の患者さんにしっかり時間をかけて診療しています。
You's clinic Aoyamaは2021年開院で、現在は4年目ですね。今後の展望を教えてください。
今の患者さんと末長くお付き合いしながら、新たな患者さんにも出会いたいと思います。
現在通ってくださっている患者さんとは、これからも末永くお付き合いできるように努めて参ります。また、このクリニックをご存知ない方にも新たに出会えるようにしたいです。
また、一対一だからこそ患者さんとの相性は重要だと思うので、患者さんに緊張感を与えないように、診察や手術中にも患者さんの家族や仕事のことなどプライベートの話をします。そのため、「いい意味で先生っぽくないね」とよく言われるのがとても嬉しいです。気になることは何でも気兼ねなくご相談くださいね。