独占取材

「オンラインクリニックで、短時間でも濃密な医療に挑みたい」ワンクリック恵比寿:木谷貴博先生

コロナ禍以降、通常の診療のかたわらオンライン診療をするクリニックが急増しています。 そんな中、兼業ではなく「オンラインクリニックのみ」という思い切ったやり方にチャレンジしているのがワンクリニック恵比寿の木谷貴博院長です。 患者さん一人ひとりに時間をかけた丁寧な医療は大事ですが、忙しい毎日を過ごしている人にとってはスピード感も欠かせません。 そこで、短時間でもゆっくり時間をかけた以上の充実感を患者さんが味わえるオンラインシステムを構築しました。 さらに「もっと新しいことにもチャレンジしたい」と、探究心が尽きない木谷先生に、ワンクリニックがめざす未来などについてお話いただきました。
取材先: ワンクリニック恵比寿(ONE CLINIC 恵比寿) 木谷 貴博 先生

今回取材させていただいた先生

ワンクリニック恵比寿 院長
木谷 貴博 先生
コロナ禍に生まれたクリニックとして、 新しいクリニックの形を追求しています。 オンライン診療や訪問型医療サービスに取り組んでいます。 コンプレックスを解消する医療、老いを巻き戻すアンチエイジング医療を提供する、次世代型マルチクリニックとして、患者様のニーズに合わせた丁寧な診療を行うクリニックです。 皆様と多くの医療体験を共有できることを願っております。

〈聞き手=ゆめみ大福🤍(キレイレポートアンバサダー)〉

負けず嫌いな性格だったからだと思います。

父をはじめとして親戚中、医者だらけという環境だったので、自分も同じ道に進むのかなと子どもの頃からなんとなく思ってはいました。

でも、医学部に進む!と、決心したのは長崎の青雲高等学校時代です。まわりは東大、京大、医学部をめざす秀才ばかりで、火が付きましたね。

そんなわけで、立派なこころざしがあったわけではないのですが、実際に長崎大学医学部で勉強を始めたら、すぐに夢中になりました

東京大学医学部附属病院で2年間、さまざまな科を回りながら初期研修を受けました。その後はどこかの科に入局するというルートが一般的なのですが、僕はそうしませんでした。

大学病院はたくさんの患者さんを高回転で診療していかなくてはならず、仕方のないことですが休憩室では愚痴が出ることもしばしば。そこにはサラリーマン的な光景があり、ここは自分がいたい環境と違うなと感じたんです。

「患者さんの心も体もケアしたい」そう考えるようにもなっていたので、産業医の資格を取得して、大学病院の外に出ることにしました。

産業医の仕事をする中で、会社ごとに社員の扱いが全然違うことを実感しましたね。「週に1回、1日3時間勤務でもいいから復帰して欲しい」というアットホームな企業もありますが、外資系はやっぱりシビアでしたね。

その後、都内の美容皮膚科で、ヒアルロン酸やボトックスなどの注入系、医療脱毛などの自由診療に関する経験もしっかり積んだ後に開業しました。

「新しい形のクリニック」を作りたかったからです。

勤務医だと決められたルールの中でしか動けないじゃないですか。起業すれば、好きにできて可能性が広がる一方、すべての責任は自分に跳ね返ってきます。

でも、それが面白いなと思ったんです。

医者の家系ではありますが、起業家は全然いなくて、親戚中でも異色の存在になっていますね(笑)。

はじめからオンライン診療をしたかったのですが、ちょうどコロナ禍の中での開業だったので、とりあえず東京都のPCR検査機関としてスタートしました。「待たされる」と不評だった海外渡航用の陰性証明も、当院では検査から会計までわずか5分で済むシステムを作ったんですよ。

コロナ沈静化が見えてきてからは、男性向けの医療脱毛なども始めました。悪徳脱毛サロンのニュースなどをみて、「嘘のないクリニックで、医療脱毛をリーズナブルに提供したい」と思ったからです。

なかなか好評でしたが、クリニックが手狭なので導入できる脱毛器にも限界がありました。

患者さんたちにより良い診療を提供するのは、どうしたらいいのか。

そう考えて、オンライン診療という初心にかえることにしたんです。

アメリカ、フランス、イギリスなどではオンライン診療普及率がすでに50%を越えています。

日本国内での物議はあるにせよ、今後、成長していくのは間違いありません。

何よりも、患者さんにとってネットショッピング感覚で薬を入手できるというのは便利ですよね。

僕自身、型通りじゃないことをしたい好奇心が強い性格ということもあって、ぜひチャレンジしてみようと思ったんです。

今のところダイエット、薄毛AGAの2つのコースを開設しています。いずれも、まずは患者さんにLINE登録していただくのがスタートです。

途中まではLINEの自動応答メッセージでのやり取りになり、患者さんご自身で薬に関する知識を深められるようになっています。

そして、いよいよ薬を購入したいとなったら、僕オンラインで診察をして、どの薬をどれだけどのような頻度で配送するのか決めていきます。単発ショットよりも定期便を希望する患者さんが多いですね。

患者さんの利便性を高めることですね。

まずLINEですべてが完結できるようにシステム面にはこだわりました。自動応答メッセージ部分は、患者さんができるだけスムーズに欲しい答えにたどりつけるように、何度もフローチャートを修正しましたね。完成まで2ヶ月かかりました。

これからもアップデートしてどんどんユーザビリティを高めていく予定です。でも、診療で忙しくなってきたのでプロのシステムエンジニアにお願いしようと思っています。

一貫してこだわっているのが「患者さんのメリットになるかどうか」です。

患者さんにとって何が最適解なのかを知るためには、とことん時間をかけて話を聞くという方法ももちろんあります。

しかし、忙しい毎日を過ごしている方はそんなことを望んでいない場合もあるでしょう。

そこで必要になってくるのが、短時間でも長時間を費やした以上のやりとりが可能なシステムを、しっかりと構築しておくことです。

これは、PCR検査でもオンライン診療でも変わらずに大事にしてきたことですし、これからも大切にしていきたいですね。

まず、自由診療の可能性を追求していけたらと思っています。

世界を見渡すといろいろな薬があり、論文でエビデンスが出ている治療法、検査法などが無数に存在しています。これらを自由診療で提供していきたいですね。美容はもちろん、エイジングケア、がん、認知症についても、まだまだできることはあると思っています。

また、日本の医療サービスを海外でも体験できるようにしていきたいです。こちらは具体的に動いていて、10月末から中国に医師を派遣することになっています。日本の国力を向上させるためも、医療は強いコンテンツになりうるのではないでしょうか。

いつかは優れた日本の医療システムを輸出したいという夢もあります。

アフリカやインドでは、まだまだ医療インフラが整備されていなくて、困っている人たちも少なくありません。

日本の医療技術をできるだけリーズナブルに、なおかつユーザビリティを下げずに、たくさんの人に提供できたらいいですね。

そのために、ひとつずつ新しいことに挑戦していきたいです。

最近はオンライン診療に加えてエイジングケアをメインとした訪問診療も始めました。こちらは基本的に紹介制なのですが、もし、キレイレポートを読んで興味を持った方は相談していただければと思います。