
「歯を削らずに美しい口元を目指します」韓国発のセラミック治療・ブラックフィルムとは?|名古屋ルミナス歯科・矯正歯科:小池 陵馬 先生・鶴田 剛士 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー



ブラックフィルムとはどのような治療方法なのでしょうか?

削らずに極薄のラミネートベニアで歯の色や形を整える韓国発のセラミック治療です。
ブラックフィルムとは、歯を白く、美しく見せるセラミック治療のひとつで、新しいラミネートベニアであるウルトラシンラミネートベニア(極薄のラミネートベニア)を使った治療法です。
ブラックフィルムの厚さは、わずか0.1mmです。コンタクトレンズやコピー用紙とほぼ同じくらいの厚みしかありません。
このとても薄いセラミックを、上顎のみの場合には6~8本、上下ともに治療する場合には16~20本ほどまとめて装着します。従来のラミネートベニアは歯の表面を削ってから装着しますが、ブラックフィルムは歯にダメージを与えず歯の表面に装着することで色や形を整えます。
そのため、歯の美容整形とも表現される韓国発の新しいセラミック治療です。

クラウン(被せもの)を使ったセラミック治療とブラックフィルムの違いを教えてください。

セラミックのクラウンを装着するためには歯を大きく削る必要があり健康な歯には推奨されません。ブラックフィルムなら健康な歯にも施術可能です。
歯はエナメル質・象牙質・神経の3層で構成されています。一番外側にあるエナメル質は、とても硬い組織で、歯を守るバリアのような存在です。その内側にある象牙質は柔らかく、エナメル質を支えながら、内部の神経を守るクッションのような役割も果たしています。
セラミッククラウンやジルコニアクラウンなどクラウンを使う治療は、歯の外側のエナメル質と中側の象牙質を削り、エナメル質を人工材料に置き換える治療方法です。
外側の硬いエナメル質がなく柔らかいクッションのエナメル質だけになると、歯は非常に折れやすくなります。また、治療に使う接着剤は永久ではなく時間が経つとともに劣化します。すき間を完全に密閉することは難しく、細菌が感染してむし歯になる可能性があります。
セラミックやジルコニアはとても硬い素材ですが、素材の硬さは関係ありません。どれほど硬い素材のクラウンであっても、歯を削ることでクラウンの内側にある本来の歯は弱くなります。クラウンと歯のすき間から細菌が感染し、むし歯になったり歯が折れたりするリスクがあるのです。
エナメル質に既にダメージが生じているむし歯の治療であればよいのですが、歯を美しく見せる目的で健康な歯に対してジルコニアセラミッククラウンやジルコニアクラウンを選択することは歯のダメージが大きすぎるため推奨されません。
その点、ブラックフィルムなら歯を削らないので、健康な歯にも施術できる点がメリットです。

ラミネートベニアとブラックフィルムの違いを教えてください。

ラミネートベニアが歯を削るのに対し、ブラックフィルムは歯を削らない治療である点が大きな違いです。

ラミネートベニアとは、歯の表面を少し削り、セラミックの薄いシェル(板)を被せる治療法です。それに対して、削らずに治療をおこなえるのがブラックフィルムです。
むし歯がある場合には、ラミネートベニアは有用な治療方法だと思います。しかし、むし歯がない方の場合には、クラウンと同じく、健康な歯を損なってしまうデメリットがあります。
クラウンと比較すると、ラミネートベニアは削る量が少なく、長持ちが期待できる治療法だと言われていますが、長く維持するためには歯科医師の高い技術が必要です。
また、クラウンと同じく、接着剤の劣化からトラブルが起こり始めると考えられます。しかし、問題が生じたとしても、ラミネートベニアの場合は歯を削っていますので何度も治療はできず、元の状態には戻せません。
ブラックフィルムは、むし歯などのトラブルがない方にも適応可能です。削らずに治療をおこなえるのでダメージが少なく、ほとんどの場合、元の状態に戻せます。20~30代に施術した方が、50~60代になってから気になる部分を再施術することも可能です。

ダイレクトボンディングとブラックフィルムの違いを教えてください。

基本的に歯を削らず治療できる点は同じです。ダイレクトボンディングは安価ですが、寿命が短く変色しやすいのがデメリットです。

ダイレクトボンディングとは、コンポジットレジンを直接接着し、歯の形や色を整える治療方法です。歯を自然な色や明るさに近づけようとする場合には削る場合がありますが、基本的に歯を削らずに治療ができます。
コンポジットレジンは、プラスチックを主成分とするため、セラミックのブラックフィルムと比較すると安価で治療ができるのが特徴です。また、トラブルが出ても修正しやすく、ペースト状のコンポジットレジンを直接盛り付けて硬化させるため、形を自由に作れることが多いのもメリットです。
ただし、セラミックと比較すると耐久性は劣り、時間の経過とともに摩耗が進みます。また、変色もしやすいため、素材としての寿命はそれほど長くありません。
さらに、歯科医師の技術によって仕上がりが大きく左右されます。とくに歯の明るさはコントロールが難しいものです。診療室で色や明るさを調整すると、外では色が不自然に見えるといったトラブルが出る場合があります。
天然の歯の微妙な色合いを再現することは非常に難しいだけではなく、明るさをコントロールする場合には、歯を削る必要があります。高価ではありますが、ブラックフィルムのほうが、施術後の歯の色の自然さや明るさにおいて優れ、長期にわたって安定が期待できます。

ブラックフィルムはどのような方におすすめの治療法でしょうか?

歯を大切にしながらできるだけ歯を削らず、自然で美しい歯を目指したい方におすすめです。
歯を大切にしながら、セラミックで美しいスマイルを作りたい方におすすめしたい施術です。ブラックフィルムは歯を削りませんので、健康な歯を削りたくないとの理由から、これまでセラミックによる美しい歯をあきらめていた方にもおすすめできます。
少しの歯並びの修正であればブラックフィルムでも可能です。しかし、ブラックフィルムは歯並びがきれいであればあるほど、より美しく、ダメージの少ない治療が成立しますので、矯正治療にプラスして、より美しい歯を目指したい方にふさわしい治療だと思います。

「ご自身の歯を大切にしてほしい」との思いがブラックフィルム導入の決め手


ブラックフィルムを導入した理由について教えてください。

従来のセラミック治療に限界を感じていたなか、歯を削らず美しさを表現できるブラックフィルムの考え方に強く感銘をうけて導入を決めました。
これまで、矯正治療後の見た目の改善にセラミック治療やホワイトニング、ダイレクトボンディングなどをおこなっていましたが限界を感じていました。
ホワイトニングは時間がたつにつれて、色が元の状態に戻ってしまいます。コンポジットレジンを使ったダイレクトボンディングは、削らないため侵襲は少ないですが、セラミックよりも強度が弱く、変色などのトラブルが出る可能性があります。
セラミックはホワイトニングやダイレクトボンディングより安定した美しさを目指せます。しかし、セラミックを使い安定した美しさを追及すると、どうしても歯にダメージが出てしまい、削った歯とセラミックのすき間に使う接着剤には劣化が生じます。
つまり、従来の治療はどこかしらに欠点を持っているのです。そのようななか、ブラックフィルムの開発者であるキム・ヒョンモ先生と出会い、歯を削らず美しさを表現できるブラックフィルムの考え方に強く感銘をうけました。歯を大切にしてほしいという私たちの強い思いと、キム先生の考えが完全に合致したため、導入を決めたのです。

ブラックフィルムの治療で気をつけているポイントは何でしょうか?

感染を防ぐクリーンな環境で施術すること、すき間がないように細心の注意を払いながらセットすることです。
クリーンな環境で施術しないと、施術後に歯がしみる、セラミックが取れる、感染でむし歯になるといったトラブルの原因になります。それを防ぐために細心の注意を払っています。
ブラックフィルムを長持ちさせるために我々が開発したのが、ブラックフィルム専用の“完全防湿”です。これは、薄いラミネートベニアに特化した非常にクリーンな環境で、感染を起こさないようにするまったく新しい考え方で、セラミックの汚染を防ぎます。
また、ブラックフィルムの施術は歯を削らないため、通常のラミネートベニアよりもさらにセットが難しくなります。歯と歯が接するところ(コンタクト)が広くなるので、この隙間をぴったり詰めながら、操作をし、調整するように注意しています。

ブラックフィルムの治療をおこなうにあたってカウンセリングで気をつけている点はありますか?

患者さんのお悩みやご要望を踏まえて治療方針を決定し、ていねいな説明をおこないご納得いただいてから治療を進めていきます。
当院はカウンセリングを大切にし、初診では患者さんの悩みや希望をしっかりと伺うように心がけています。
精密検査をおこなった後、その結果と患者さんのご要望をふまえて治療方針をご提案いたします。メリットやデメリットも含めて説明し、患者さんとともに治療のゴールを決め、ご納得いただいてから治療を進めます。

ブラックフィルムの治療を検討している患者さんに向けてメッセージをお願いします。

歯を大切にしながら美しさの実現を目指すために、歯にダメージを与えないブラックフィルムをおすすめします。
私たちは、患者さんが生涯にわたってご自身の歯を大切にしながら、美しく健やかな口元を楽しんでいただきたいと願っています。そのため、歯へのダメージをできるかぎり抑えつつ、自然な口元の美しさを目指せるブラックフィルムをおすすめしたいと考えています。
まずはお気軽にご相談ください。カウンセリングは、無料です。メールでもご相談を承っています。