
「とにかく症状をためずに来てください。」内科出身の医師だからこそできる皮膚科の保険診療とは|たかはし皮膚科クリニック:髙橋 謙 院長
インタビュアー



たかはし皮膚科クリニックの特徴をお聞かせください。
保険診療の皮膚科では珍しく、初診から内服薬と外用薬を併用した治療をご提案します。
一般的な保険診療の皮膚科では、初診は塗り薬で経過をみることが多いのですが、当院は初診から塗り薬と内服薬を併用した治療をご提案しています。
理由は、症状にもよりますが長期的な治療が必要な場合やかゆみが強い場合では、内服薬が効果を発揮するためです。内側から痒み・アレルギー症状・炎症などへアプローチすることで、早期改善を目指しています。
元々内科出身ということもあり、症状がある箇所だけではなく、全身を包括的に診断するため、内服薬を取り入れた治療に自信があります。

内科出身の先生が皮膚科クリニックを開院した経緯を教えてください。
実家の皮膚科を継ぐことがきっかけで皮膚科へ学びを広げました。その後数々の病院で経験を積んだのち、たかはし皮膚科クリニックの開院に至りました。
私が循環器内科を専門としていたころ、母は皮膚科を経営していました。ですが、母は慢性関節リウマチを患っており、診療を長期間お休みすることが増えていました。
そんな実家の状況を知って、内科皮膚科としてクリニックを継ぐことを決めました。その際に全体的な疾患が診れるようになりたいと思い、京大病院総合診療科へ入局。
その後、関西電力病院総合内科を経て大阪市立総合医療センターで皮膚科実践を踏まえたトレーニングをして皮膚科医としての経験の第1歩を踏み出し、それから実家の皮膚科クリニックで十分に経験を積みました。
そうして実家の皮膚科を継ぐも紆余曲折あり、往診専門クリニックで高齢者を診ることとなりました。高齢の方は皮膚に対する悩みが多いと感じていたところ、研修時代の先輩から開業のお声かけをいただき、たかはし皮膚科クリニックを開院しました。

保険診療にご来院される患者様の年齢層とよく見られるお悩みはなんですか?
当院は比較的若い世代の患者様がご来院されます。また、多いお悩みは世代に関わらず皮膚のかゆみです。
当院へご来院される方は、比較的若い世代の患者様が多い印象です。ご高齢の方は他院の内科を受診の際にまとめてお薬を出してもらうそうで、それでも症状が良くならなかった方は当院に来院されます。またご相談が多いお悩みは、世代に関わらず皮膚のかゆみです。
かゆみの症状の1つに皮脂欠乏性湿疹があります。これはご高齢の方に多く、年齢を重ねるにつれて皮脂の量が減り、乾燥からかゆみを引き起こすものです。内服薬と保湿剤をベースに、皮膚炎があればステロイド系の塗り薬を使って経過を観察します。
その他には、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される、成人型アトピー性皮膚炎の方も多く見られます。他院で診断がつかないまま、時折症状が出る程度なのでそのままにしていたという方が多くいらっしゃいます。
かゆみ治療の場合、内服薬はじんま疹など急な発症をしたものには比較的効きやすいですが、徐々に出てきた痒みに対しては即効性というより、飲み続けることで痒みを引き起こしにくくなるという効き方をすることのほうが多いです。
そのため、当院でも予防的な位置付けを念頭に処方します。即効性を感じる方も稀にいますが、臨床上では10人〜20人に1人の割合ですね。

問診の際のこだわりを教えてください。
できる限り患者さんの話を伺い、問診でおおよその診断をつけることです。
問診の際にはできる限り時間をかけてお話を伺い、7割方診断をつけています。たとえば、どういう痛みなのか、どれだけの期間続いているのかなど、できるだけ細かい質問をすることで、診断の特定がしやすくなります。
とくに、なかなか皮膚病が治らない方や感染症が疑われる方などは、問診で15分から20分程度かけることもあります。
ただ、1日で平均100人前後の患者様を診察しているので、全員に同じ問診時間はかけられないのが現状です。そのためすぐにわかることは短い問診時間で済ませるなど、症状によって強弱をつけて待ち時間も少なく済むように考慮しています。
地域の患者様に寄り添って自由診療をはじめる


保険診療をメインとしながら、自由診療を導入した理由を教えてください。
患者様のご要望にお答えしたいと思ったからです。
当初は医師として病気を治すことにこだわっており、自由診療は病気の治療ではないため、提供しないという考えがありました。しかし、患者様からのご要望が多く、それにお答えしたいと思ったので自由診療を始めることにしました。
今後も保険診療がメインであることに変わりはありませんが、自由診療も補助的に取り入れていきたいと思います。
当院で自由診療を受けられる方の、ほとんどが女性です。医療脱毛は若い方に人気の施術で、シミ取りは40代〜50後半の方に人気です。

自由診療の提供は、脱毛から始められたそうですが、なぜ最初に脱毛を選ばれたのでしょうか?
患者様からのニーズがあったことと、自ら試して魅力を感じる医療脱毛機器と出会えたからです。
当院を開院して落ち着いてきた頃、医療脱毛機器のディーラーさんと出会い、自ら試してみたところ魅力を感じて導入しました。
当院で扱っている脱毛機器は、Line Scan clear(ラインスキャンクリア)といい、一般的な医療用脱毛レーザーに比べ、痛みが少なく短い時間で施術が終わる特徴があります。
脱毛では、毎回の施術でカルテをきちんと作ることを心がけています。詳細に書いて、次回の施術前に患者様の状態をカルテで確認し、毛の太さや濃さに合った適切な施術ができるようにしています。
実際の照射は看護師が慎重に施術をします。Line Scan clearは黒いものに反応して毛を焼く仕組みのため、色素沈着やほくろがある部分にレーザーを反応させないよう、白いマーカーで保護しています。

シミ治療にフォトブライトを導入されたのには、どういった理由がありますか?
術後は保湿や紫外線対策のケアをするだけなので、手軽にできる治療だと考えたからです。
シミ治療も患者様からニーズが高く、導入したものです。フォトブライト治療とは、光治療器(ハンドピース)を用いたIPL治療です。日本人向けに開発された機器で、シミやそばかすなどに高い効果が期待できます。
光を照射し、皮膚のターンオーバーを促進することで、シミにアプローチします。術後には、十分な保湿と紫外線対策をしていただくだけなので、面倒なケアもなく手軽にできることがメリットです。
また、シミの状態にもよりますが、基本的には6〜8週間隔で3〜5回程度の施術をおすすめしています。
シミ治療に関しても基本は看護師が施術をします。そのため、施術の前には、前回の施術内容をカルテで確認してから照射をするよう徹底しています。カルテには光の強さ、施術時間、直後の反応、痛みについて詳しく記載しています。
施術の流れは、医師による問診と注意事項の説明をします。その後、看護師が施術をしてカルテを作り、最終的に医師がカルテをチェックして終了です。
問診時間を大切にしつつ待ち時間も少なくしたい


これから、たかはし皮膚科クリニックに来院される方へメッセージをお願いします。
症状をためてからだと、完治に時間がかかることが多いので、症状が軽いうちに早めにご来院いただきたいと思います。
今後は、より待ち時間が少なくなるようにしたいと考えています。どうしても問診に時間をかけている分、当院では、待ち時間が長いことが課題です。
現在はインターネットからの予約と待ち時間の確認ができるような仕組み作りもしていますが、患者様が快適に診療を受けられるよう、さらに待ち時間を少なくできるような工夫をしていきたいと思います。
これからご来院を検討されている方には「とにかく症状をためずに来てください。」とお伝えしたいです。
多くの患者さんが3〜4つ症状をためてから皮膚科を受診されます。ですが、早めにご相談いただくほうが治りが早く、リスクも下がります。
たとえば、かゆみの時に使うステロイドは、症状が軽ければ軽いステロイドで済むので副作用のリスクも下がります。極力強い薬を避けるためにも、症状をためずにご来院いただきたいです。