
「抜歯を避けたい方は当院にご相談ください」重度の歯周病から歯を救う治療とは?|サン歯科クリニック:林 鋼兵 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー



歯周病から歯を守るために必要なことを教えてください。

定期的な検査と早期発見、早期治療が大切です。
歯の健康は、普段の生活に大きな影響を与えます。歯が残っていれば、高齢になっても自分の歯で食事を楽しめますし、笑ったり話したりするときに、見た目を気にする必要がありません。
「この歳でこれだけ歯が残っている」と自慢できるような歯の健康維持が、生涯にわたる高い幸福度につながると言えます。
患者さんご自身の歯を健康に保っていただくために、当院では、歯周病の治療に力を入れています。歯周病は、症状が進行してしまうと、歯茎の腫れや出血、骨が溶けるなどの症状が現れ、最終的には歯が抜けてしまう、恐ろしい病気です。
そのため、歯周病から歯を守るためには、定期的な検査と早期発見、早期治療が大切です。
普段の歯磨きやデンタルフロスなどで、歯周病の1番の原因であるプラークを除去するプラークコントロールが、歯周病治療の第1歩と言えます。歯をきれいにするだけではなく、「プラークを取るために歯を磨く」という意識を持つことが、歯周病予防の大切なポイントとなります。

歯周病治療ではどのような治療をするのでしょうか?

プラークの残存率を検査した後、歯磨き指導や歯石・プラークの除去などをおこないます。
まず、プラークが付着している部分を染める液を使って検査をおこないます。そして、プラークの残存率を数値化し、患者さんに現状を説明します。その後は、プラーク残存率20%以下を目標に歯磨き指導をしていきます。
目に見える形で数値化することで、普段の歯磨きへのモチベーションにつながると考えています。検査後は、歯周病基本治療として、歯磨き指導、歯石・プラークの除去などをおこないます。
30分ほど時間を確保して、その方に合った歯磨きの仕方を指導し、歯周病治療のメリットや歯を残すことの大切さをお伝えしています。歯周病が進行しており、歯周基本治療で症状が改善しない場合は、歯周外科治療を打診します。

歯周外科治療ではどのような治療をするのでしょうか?

歯茎を切開し、歯石・プラークを除去したうえで、歯周組織を再生させる治療を提供します。
歯周外科治療では、歯茎を切開し、歯石・プラークなどの感染源を除去する、歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)をします。骨が部分的に無くなっている場合には歯を支える歯槽骨などを含む歯周組織の再生を促す作用のある薬剤を注入する歯周組織再生療法を行います。
治療をするときには、できるだけ歯を残すことを大切にしています。そのため、他院で「抜歯するしかない」と言われた症例でも、まずは歯周外科治療で改善を試みるようにしています。
治療後は、噛み合わせやプラークの残存率を管理し、半年後に再度、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺度などを計測する検査をおこないます。


抜歯となった場合にはどのような治療をするのでしょうか?

基本的に、リスクの低い入れ歯での治療をご提案しています。
抜歯の対象となるのは、「歯の根が縦に割れている」「歯のぐらつきが大きい」「歯周ポケットが10ミリ以上と深い」「歯槽骨が過度に減少している」といった方です。歯周ポケットの測定やレントゲンで、抜歯が必要かを判断します。
抜歯となった場合は、まずは一番リスクの低い保険診療内の入れ歯での治療をご提案します。そのほかに、ブリッジやインプラント治療、特殊な入れ歯(自由診療)も提供可能です。。
両隣の歯で歯がない部分を支えるブリッジでは、両隣の歯に大きな負担がかかります。ですので、支える歯の状態が非常に重要と考えています。
抜歯後にインプラントやブリッジを希望される患者さんには希望通りの治療を提供しますが、まず入れ歯を使ってみてその後にインプラントやブリッジにするのも選択肢の1つだと思います。
また、重度の歯周病を抱えた方がインプラント治療を受けると、インプラント周囲炎にかかりやすいです。インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病のようなもので、進行するとインプラントを支える歯槽骨が溶けて、最終的にはインプラントが抜け落ちる恐ろしい病気です。
リスクを説明したうえで、患者さんがインプラント治療を希望する場合は、歯周病治療をおこない、歯周病のリスクとなる喫煙や糖尿病などの全身疾患を解決したうえで実施します。また、インプラントは天然の歯と比較して細菌感染のリスクが高いため、通常よりも入念な歯磨きが必要であることも説明します。

治療でこだわっていることはありますか?

治療時の痛みを最小限に抑えること、マイクロスコープを使用することです。
局所麻酔が必要な治療では、まず表面麻酔を効かせてから局所麻酔を注射しています。また、注射の針が太いと痛みが強く出るので、細い針を使用します。
さらに、患者さんが息を吐くタイミングで針を入れる、1分ほどかけてゆっくりと注入するなど、痛みを抑えるためにさまざまな工夫をしています。
私は普段から、治療時にマイクロスコープを使用することが多いです。マイクロスコープの大きなメリットは、肉眼や拡大鏡では見えない、細かい歯石やプラークまで除去できることです。また、視界が良好だとスムーズに治療が進められるので、治療時間を短縮できます。
さらに、患者さんに拡大した画像や治療動画も見せれるので理解度も高いと思います。マイクロスコープを使用した歯周外科治療は自由診療になります。
歯周病治療といえばサン歯科クリニック


先生のご経歴を教えてください。

大学院で4年間、歯周病学を学んだ後、大学の歯周病科の教員として6年間勤務しました。
大学を卒業して研修を終えた後、大学院で4年間歯周病学を学びました。その後、大学の歯周病科の教員として6年間勤務し、サン歯科クリニックに入職しました。
大学院では、臨床研究をしていたため、患者さんに研究への協力をお願いすることが不可欠でした。そこで、患者さんの理解を得るために、研究や治療について丁寧にわかりやすく説明する必要がありました。
また、大学の教員になった後も、生徒との円滑なコミュニケーションが求められました。これらの経験が、現在の患者さんとのコミュニケーションに活きています。
現在は、一方的に説明するのではなく、「なにか質問はありますか」などと声をかけるようにしています。わかりやすく丁寧な説明で、患者さんと通じ合えるような診療をしていきたいです。

今後の展望について教えてください。

「歯周病治療といえばサン歯科クリニック」と言われるようなクリニックを目指していきます。
当院には、日本歯周病学会認定医が2名在籍しています。現在、熊谷市内で日本歯周病学会認定医、専門医が在籍するのは、当院を含めて2院のみであるため、歯周病治療における高い専門性が当院の強みと言えます。
今後は、当院の高い専門性を生かして「歯周病治療といえばサン歯科クリニック」と言われるようなクリニックをつくっていきたいと考えています。
また個人的には、インプラント治療の技術を向上し、インプラント周囲炎などの治療や予防にも関わっていきたいです。
他院で「歯周病が進行しすぎていて、その歯は残せない」と言われた方でも、当院であれば歯を残せる可能性があります。現状を精査したうえで、治療法を提案しますので、ぜひ一度、足を運んでいただけますと幸いです。