「予防こそ最高の医療」予防歯科に着目するワケや、保育士と連携した赤ちゃん歯科とは?|わたなべ歯科:渡辺 勝 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
わたなべ歯科の予防歯科について教えてください。
当院では予防を最高の医療と考え、栄養面や乳幼児期からの予防歯科に取り組んでいます。
当院では、トラブルの原因となりうる生活習慣を整える予防歯科に力を入れています。たとえば食習慣で十分な栄養が取れていない場合、全身にさまざまなトラブルが発生します。とくに口腔内は代謝が活発で、体内の栄養状態が反映されやすいです。
ひとつ例を挙げると、ビタミンBが不足すると口内炎ができ、疲労などの体調不良にもつながります。また、栄養不足だと甘いものが食べたくなりますが、過剰に摂取すると歯周病やむし歯の原因となってしまいます。
そのため当院では、糖分の代わりにタンパク質や脂質などを摂取できるような栄養相談を行っております。
一般的には発症してからの治療を考えがちですが、完全に戻すことはできないため、当院では予防歯科を重要視しています。
そのため、幼少期からの予防歯科である赤ちゃん歯科も提供しています。また、管理栄養士による栄養相談はどなたでも利用可能なので、ぜひ一度相談してほしいです。
なぜ赤ちゃん歯科を始めようと思ったのでしょうか?
適切な生活習慣を身につけることが好ましい歯並びや口腔の健康となり、それらが最終的に生涯の全身健康につながると考えたのがきっかけです。
予防歯科の大切なポイントは、口腔内の健康を保てるような生活習慣をつくることです。そこで「食」「寝」「遊」の適切な生活習慣を身につけていければ、お口のトラブルだけでなく、心身のトラブルはほとんどなくなるのではと考えました。
そのため当院では、赤ちゃんの頃から予防歯科をおこなう赤ちゃん歯科を実施しています。
歯並びは、姿勢や離乳食の食べ方、ハイハイの仕方など、周りの環境の影響を大きく受けます。また、将来的になんでも好き嫌いなく食べられる味覚や口腔機能を身につけていくためにも、離乳食期から食材や形態をしっかりと選んでいくことが大切です。
このように全身の健康をサポートするための取り組みとして、赤ちゃん歯科を始めました。お子さんが集まって遊べる20畳ほどのスペースを設け、全面ガラス張りにすることで、通りかかったお子さんたちが来たいと思えるような工夫をしています。
今後、歯科医院をなにかトラブルがあったら来る場所ではなく、お子さんたちが普段から遊ぶ場所にしていきたいです。
まずは栄養管理から。トラブルの原因から治す歯科治療とは
むし歯治療でのこだわりを教えていただけますか?
当院では、必要な部分だけ削るために麻酔を使いすぎないようにしています
当院では、栄養管理によって事前に糖分の摂取を抑えてもらったうえで、むし歯治療をおこないます。
普段から大量に甘いものを食べていると、体が炎症を起こし、感覚が過敏になってしまいます。その結果治療時の痛みが出やすくなり、多くの麻酔が必要になります。
しかし麻酔を多く使うと感覚が鈍くなるので、歯を必要以上に削ってしまう原因になります。そのため麻酔を使いすぎないように、栄養管理を通じて治療をおこなっています。
また施術時には、噛み合わせや歯の構造を考慮して、削る方向を変えるなど工夫しています。
歯周病治療での大切なポイントを教えてください。
歯周病治療のためには、栄養管理と禁煙が大切です。
歯周病治療では、歯科衛生士による汚れの除去をおこないます。また管理栄養士と協力して、普段の歯磨きの大切さや必要な栄養素についてお伝えしています。
歯周病治療の大切なポイントは、栄養と禁煙です。歯茎は代謝が活発なため、ビタミンCや鉄などを十分に取ることで早期治癒が期待できます。また紙タバコは、一酸化炭素により歯茎の血流が悪くなるため、歯周病の原因となります。
そのため喫煙者は禁煙、非喫煙者は新たにタバコを吸い始めない防煙がポイントです。
セラミック治療でのこだわりについても教えてください。
くいしばりや噛みしめ、歯ぎしりを改善することで、治療後に歯が割れてしまうリスクを抑えた治療をおこなっています。
セラミックは汚れがつきにくく、透明感のある色をつくれるため、見た目のきれいさを重要視する方におすすめです。金属イオンの発生もないので、銀歯に比べて口内トラブルも起きにくいです。
セラミックのデメリットとして、割れやすさが指摘されます。しかし割れの原因となる、くいしばりや噛みしめ、歯ぎしりを改善することで、割れのリスクを下げることができます。
そのため当院では、くいしばりや噛みしめの原因となる栄養管理や体の癖の改善をしたうえで、セラミック治療をおこなっています。
治療が継続可能な秘訣はゴールが見えること。マウスピース矯正について
マウスピース矯正のメリットを教えてください。
ワイヤー矯正と比べて、装置が目立たず、手入れが簡単で、抜歯が必要になる可能性が低いことです。
マウスピース矯正は「歯並びが悪く見た目が気になる」「噛み合わせに問題がある」という方におすすめしています。マウスピースはワイヤー矯正よりも目立ちにくいため、仕事などへの影響が少なく継続しやすい治療です。
また矯正中は、1日22時間以上の装着時間が必要ですが、ご自身で取り外しができるので、歯磨きやマウスピースの手入れが簡単です。
さらにワイヤー矯正では難しい動作である、奥歯を奥に動かすことができるため、多くの場合、抜歯をせずに矯正が可能です。
マウスピース矯正であれば、最終的な歯並びが一目でわかるので、モチベーションにつながります。実際に、「治療の完了が楽しみです」という声を多くいただきます。
治療期間には個人差がありますが、1年半〜2年程度が目安で、定期検診は3カ月に1回程度おこなっています。
よい歯並びと適切な生活習慣が生涯の健康につながる
先生のご経歴を教えてください。
都内で分院長などを経験したあと、より充実した予防歯科を提供したいと考え、当院を開設しました。
大学卒業後、勤務医として歯周病治療とむし歯予防について学びました。その後、都内で3年間、分院長を経験したあと、より充実した予防歯科を提供したいと考え、クリニックを開院しました。
予防歯科に力を入れようと思ったのは、ある患者さんの治療がきっかけです。その患者さんは、歯の痛みを訴えて来院し、歯の神経を取る治療を受けた後、しばらく来院されませんでした。1年後、歯が割れてしまったと再度来院し、最終的に抜歯することになってしまいました。
もし、最初に痛みを訴えていたタイミングで神経を取るなどの対処療法的な関わり方ではなく、鎮痛剤で痛みを抑えつつ、根本的な原因究明のための全顎的な検査や生活習慣の見直し、栄養面など予防歯科的な視点から関わりができていれば、抜歯を防げたのではないかと考えました。
また、神経治療の専門医を紹介すれば、費用は高くなるけれど長期的に歯の健康を守れたのではないかとも思いました。
この経験がきっかけで、予防歯科や赤ちゃん歯科など、長期的な視点で健康をサポートする診療を重視するようになりました。
患者さんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
短期的な要望だけでなく、長期的にその方の生活習慣に密接した要望を聞き出すことです。
多くの方が「痛みを取ってほしい」「取れてしまった被せ物をつけてほしい」など、短期的な要望を訴えます。しかしそれ以上に大切なのが、長期的にその方の生活習慣に密接した要望です。
たとえば患者さんが痛み改善を求める背景には、「食事ができない」「コミュニケーションが取れない」などの生活にかかわる要望があります。そのような要望を解決するのが、私たちの役目だと思っています。
生活習慣の指導で意識していることは、この患者さんは無理だと諦めるのではなく、その方が変わる可能性を信じることです。
当院では、患者さん全員が今までの経験や予防歯科に関する情報をもとに、ベストを尽くしていると考えています。現在の状態や改善のスピードにかかわらず、情報提供を続けていき、長期的な目線で患者さんと長いお付き合いをしていく覚悟で関わることを心がけています。
また院内の設備にもこだわっており、大学病院レベルの滅菌環境を用意しています。治療では、保険診療・自費診療にかかわらず、マイクロスコープなどの設備を惜しみなく使います。さらに可能な限り機械化を進め、個人の技量によって治療結果に差が出ないようにしています。
わたなべ歯科の今後の展望を教えてください。
予防歯科を反映した保育園、栄養に配慮したカフェとジムのある施設など、健康を総合的にサポートする場所をつくりたいです。
今後は今まで以上に予防歯科に力を入れていきたいと考えています。とくに赤ちゃん歯科の延長として、予防歯科を反映した保育園をつくりたいです。そして小さい頃から、適切な食習慣や運動習慣を身につけられる場所にしたいですね。
また管理栄養士と連携して、健康のために必要な栄養を摂取できるカフェをつくり、そこにジムを併設した施設をつくりたいとも思っています。栄養の摂取から運動による吸収まで、総合的に健康をサポートできる環境をつくっていきたいです。
スタッフ一同、患者さんの笑顔と健康のサポーターを目指して診療に取り組んでいきます。まずはお気軽にご相談いただければと思います。