「矯正は予防治療の一環」再治療の少ないインプラント治療・マウスピース矯正を提供する秘訣とは?|デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科 坂本果歩先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
デュランタデンタルクリニック栄歯科・矯正歯科の診療方針を教えてください。
5年後、10年後を考えた再治療の少ない治療を目指しています。
5年後、10年後を考えた再治療の少ない治療がモットーです。再治療を少なくするには、根本的な原因から解決し、患者さんが納得したうえで治療を始めることが大切だと考えています。
まずは今の状態を理解していただくため、初診では歯周病の検査や口腔内スキャンを実施し、結果に応じて原因や適切な処置をご説明・ご提案しています。歯周病があった場合は、まずその治療を優先することも珍しくありません。
治療後のよい状態を保つために重要な、セルフケアの指導にも力を入れています。治療からメンテナンスまでずっと同じ患者さんを見れるよう、歯科衛生士は担当制を採用しているのもこだわりです。
歯を1本でも失ったなら、インプラント治療の選択肢を
インプラント治療のメリットとデメリットは何ですか?
メリットは自分の歯と同じように噛めること、デメリットは高額なことやまれに痛みを伴うことです。
インプラント治療の第一のメリットは、自分の歯と同じように噛めること。自分の歯で噛む場合の3割ほどまで噛む力が低下してしまう入れ歯に対し、インプラントは自分の歯のように噛めます。ブリッジ治療のように、他の歯に悪影響を与えずに済むのもメリットです。
デメリットは40〜60万円と費用がかさむことでしょう。また、骨の移植や上顎洞の粘膜を上げる手術など、大がかりな治療の場合は親知らず抜歯のような痛み・腫れが伴うこともあります。ただし、基本的に麻酔が効いていれば痛みは全くないはずなので、そこまで心配する必要はありません。当院では下の奥歯の麻酔が効きにくいところには伝達麻酔を行っています。恐怖心が強い方には麻酔科の先生を呼んで静脈鎮静を行うこともあります。
インプラント治療は、自分の歯が1本でもなくなった方にはおすすめです。たかが1本と思われることも結構多いんですが、1本なくなるだけで噛み合わせや歯みがきにも影響が出てほかの歯にも負担がかかり、将来的にはゼロになってしまう可能性もあるんです。骨がないところにはできないと言われて諦める人も多いようですが、いろいろな選択肢があるのでまずは相談してみてください。
インプラント治療はどのような流れで行うのですか?
精密検査→シミュレーション→オペという流れです。
レントゲンやCTなどによる精密検査の結果をもとにソフトでシミュレーションし、患者さんへのご説明後に一次オペを行います。3-4ヶ月後の型取りで終わりではなく、まず仮歯の型取りを行い、清掃性や形に問題ないか確認して
それからもう一度型取りして最終の上部構造にかえて、仮の蓋にして、最後問題なければ最終的な蓋にして終わりです。状態によっては骨の移植など二次オペに進むこともあります。
最終的に入れる歯の形や大きさ、噛み合わせを考えた位置にインプラントを入れるのが1番大切なので、シミュレーションは特に重視しています。
歯を入れる理想的な位置はこちらで決定しますが、細かなデザインや色などについては仮歯の段階で患者さんときちんとすり合わせを行うことで、納得できる仕上がりを目指しています。
インプラントのメンテナンス頻度や内容を教えてください。
インプラント周囲炎を防ぐため、年に1回の点検・洗浄が基本です。
インプラント周囲炎の予防や万が一発症してしまったときの早期発見のために、年に1回の点検を行っています。歯周病があるとインプラント周囲炎になりやすいので、その場合は3~4か月に1回のメンテナンスを推奨しています。
当院では、セメント固定ではなく取り外しのできるスクリュー固定を採用していますので、緩みがあった場合は一度外して調整やメンテナンスを行い、緩みがない場合は外さずに周辺のみを洗浄します。インプラントは繊細かつクッション性がないので緩みやすいのですが、炎症などが起きていない限り、定期的に締めれば問題ありません。
マウスピース矯正でも綿密な検査と丁寧な対応が強み
マウスピース矯正のメリットやデメリットを教えてください。
痛みが少なく好きなものを食べられますが、ある程度自己管理をしないといけません。
マウスピース矯正には、一般的に2~3年、軽度なら1年、重度なら5年ほどの期間を要します。
動いた分をひと月ごとに調節するワイヤー矯正に対し、マウスピース矯正では1週間に1枚替えるので、歯への負荷が4分の1ほどで済みます。ワイヤー矯正よりも痛みが少なく、好きなものを食べられるのもメリットです。患者さんからは、歯を出して笑えるようになり自信が持てたという喜びの声をいただいています。
しかし、一定の時間(22時間ほど)装着し続けなければいけないので、自己管理ができる方でないと難しい点はデメリットです。
マウスピース矯正で重視していることはありますか?
検査をしっかり行い、適切な対応をすることです。
骨格の位置などを把握してシミュレーションするために、まずはレントゲンやCT、セファロなどの専門機器で綿密な検査を行うことを何よりも重視しています。初診で全員にお口全体の検査とシミュレーションを受けていただいているのは、この想いからなんです。「iTero(アイテロ)」という3Dスキャンも、全員無料で撮らせていただいています。
その結果、ワイヤー矯正にすべき症例もやはり2割ぐらいあります。ワイヤー矯正にはかなりの診断力や技術が求められるので、その場合は専門の先生をご紹介しています。
託児サービスあり!通いやすい設備や予約へのこだわり
託児サービスを作るに至った経緯を教えてください。
初めは自分やスタッフのためでしたが、後回しにしがちなお母さんの口腔内こそ大切にしたいという想いで続けています。
私自身、仕事も子どももあきらめたくないという想いで開業をしました。今年出産したばかりですが、実は帝王切開で産む直前まで働き、1週間だけ休んで退院の翌日から働き始めたんです。
保育士さんがいればすぐ復帰できると思って、まずは保育士さんを医院に雇いました。初めはスタッフの子供が生まれたときにも一緒に見れたらと考えていましたが、患者さんにも利用してもらえたら一番いいなと思ったんです。
私も同じ状況ですが、やはり子供がいると自分のこと、特に歯科医院に行くことなんかは後回しになりますよね。しかし赤ちゃんがむし歯になる原因のひとつは、大人の唾液を通じた細菌感染です。子供や家族の健康のためにはお母さんの口腔内も大切ですので、歯科医院に保育士さんがいることで通いやすくなったらいいなと思っています。
通いやすさへの工夫として、具体的にどんなことを取り入れていますか?
細かな時間管理を徹底し、予約方法や支払方法も工夫しています。
歯科医院って、結構待ち時間が多いイメージがありますよね。でも私は患者さんの時間を大切にしたいし、待合室に患者さんが溢れてる医院にしたくなかったんです。
治療ごとにきちんと時間を管理して、待ち時間が発生しないように気を付けています。予約の受付や変更もアプリで完結できるようにしました。
さらに支払いの利便性を考慮し、現金以外の支払方法も導入しています。保険診療・自由診療ともにクレジットカード・交通系ICカード・PayPayをご利用いただけます。
矯正治療は見た目だけの問題ではなく、予防治療の一環
クリニックの強みや、大切にしていることはありますか?
選択肢を全部出し、納得したうえで選択していただくことです。
考えうる選択肢を全部ご提案し、それぞれのメリット・デメリットをきちんと説明することです。リスクも含めて納得したうえで決めてもらい、治療に進んでいただきたいと思っています。初診でのお口全体の検査や丁寧なカウンセリングを重視しているのはこのためです。
矯正治療は見た目だけの問題ではなく、予防治療の一環だと考えています。一部の歯だけにフォーカスした治療は、結局ほかの歯に負担がかかってしまうことも少なくありません。全体の歯の状況やバランスを見て、自分の歯の寿命を伸ばせるような治療をしたいと思っています。
施設面での強みは、完全個室の診療室やインプラント専用のオペ室を設けていること。ひとつひとつの機器にもこだわっています。
クリニックとして、今後力を入れていきたいことはありますか?
治療した後のいい状態が続くよう、総合的な治療を丁寧に行っていきたいです。
治療して終わりではなく、その後のよい状態のまま何年も過ごせることが一番です。メンテナンスに適した期間にも個人差があるので、一人ひとりに合わせてご提案しています。メンテナンスの結果によっては診断の計画を立て、全体のバランスを考えた総合的な治療を行っていきたいです。
また、歯科技工士さんと話し合ってリアルな模様をつけたり、歯周病治療をした後でもよい状態で入るように考えたりと、セラミック治療にも力を入れています。
口の中は自分では見えません。それを可視化するために私たちがさまざまな技術を駆使して、皆さんにわかりやすくご説明できればと思っています。歯科医院が苦手な方も多いですが、少しでも悩みがある方は、まずは自分の状態を知るためにお越しいただければ幸いです。