「他院で断られた方も受け入れます」山口市のかかりつけ歯科医として口内を総合改善| 藤井歯科医院:藤井 隆彦 先生
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
藤井歯科医院には、どのような悩みで来院される方が多いのでしょうか?
どこから治療していいかわからない、口内の悩みをトータルで解決したいと考えている患者さんが多いです。
当院には、虫歯などのピンポイントなお悩みを治したいと考える方よりも、口内の状態を改善したいと思いながらも、どこから治していいか分からない患者さんが多く来院されます。
そのような方は、症状を放置していたり、治療を途中で辞めてしまっていたりするケースが多いですね。歯医者が苦手な気持ちもわかりますが、治療期間を空けてしまうほど、大がかりな処置が必要になってしまいます。
たとえば、全体の歯がボロボロになって、噛める場所があまり残っていない患者さんであれば、抜歯、歯周外科、補綴(ほてつ:歯の欠損部を被せものや入れ歯で補う治療)など、さまざまな分野の治療を組み合わせて対応しなければなりません。
口内があまりに荒れていると、治療を断る歯科医院もあります。しかし当院では、他院で断られた患者さんも受け入れて、問題なく食事ができる状態まで口内を修復します。
歯科口腔外科の診療もされていますが、口腔外科治療とは、どのような治療を指すのですか?
口内のケガや炎症、顎関節症など、主に外傷による口のトラブルに対応します。
口腔外科でおこなうのは、ケガによる外傷や口周りのできものなどの治療、炎症の処置、抜歯などです。口周りの骨折や、悪性の口腔がんなどの難しい処置も、一般的には口腔外科が対応します。
大学レベルの授業では、口腔外科はさわりの部分しか学びません。したがって、大学卒業後すぐに働き始めた歯科医や歯科治療のみを専攻した歯科医には、口腔外科はハードルが高い分野です。
その点、私は大学院で口腔外科を専攻し、大学病院の顎・口腔外科で勤務した経験もあります。そのため、本格的な歯科治療ができるのが当院の強みです。
国が警鐘を鳴らす口腔機能低下症とは
国が検査を推奨している口腔機能低下症とはどんな病気ですか?
感覚、咀嚼、嚥下、唾液分泌等の機能が低下している症状です。
口腔機能低下症とは、口腔内の感覚、咀嚼、嚥下(えんげ:食べ物や飲み物を飲み込んで胃へ送ること)、唾液分泌等の機能が低下している症状です。飲み物でむせやすくなる、滑舌が悪くなる、口の中が乾くようになるなどの症状に心当たりがある方は、口腔機能低下症の疑いがあります。
検査項目は口腔衛生状態、口の中の水分量、噛む力、口唇、頬・舌の動き、舌圧、咀嚼能力、嚥下機能の7つです。機械を使用した機能の数値化と、アンケートの回答によって診断します。
7つの項目のうち3つ以上で一定基準を満たしていないと、口腔機能低下症と判断されます。その場合は、口や唇を動かす筋力アップトレーニングを中心として症状の改善を図ります。
口腔機能低下症は一般的にあまり知られていない病気ですが、罹っている人は少ないのでしょうか?
少なくありません。50代では48%、60代では60%以上の方が口の動きが低下しているという調査結果もあります。
口腔機能低下症は一般的に知られていない病気で、検査も浸透していません。しかし、50代では48%、60代では60%以上の方が口の動きが低下している調査結果から、加齢とともに口の機能が低下することはデータとして認められています。その方々が口腔機能低下症に該当する可能性も、決して低くないでしょう。
私は介護施設で診療する機会もあり、入居者が誤飲によって肺炎を起こした事例など、口の機能低下による多数のトラブルを知っています。そのため、この病気の検査を広く浸透させたいと考えているのです。
大人だけでなく、口の筋力が弱い子どもが口腔機能発達不全になっている場合もあります。歯並びや発音の悪さを招く危険があるため、早めに発見して、トレーニングや矯正などの処置をすることが大切です。
口腔機能低下症の検査は国からも推奨されており、保険適用です。院内ではもちろん、今後は介護施設などにも出向き、多くの人を検査したいと考えています。
入れ歯は院内の歯科技工士がオーダーメイドで作製
歯の本数が減ってきたとき、入れ歯かインプラント、どちらで対応するのがおすすめですか?
患者さんによって適する治療は違います。インプラントは、こまめなメンテナンスができる方に適しています。
欠損した箇所に人工の歯を埋め込むインプラント治療は、審美性や機能性に優れて人気も高いですが、万能ではありません。歯と同じで、こまめなメンテナンスができないと取れてしまいます。
また、インプラントは骨に埋めるため、骨が十分に残っていなければ治療できません。骨が少ない方は、骨をつくる準備から治療を始める必要があります。
さらに、インプラントは自費治療となるため金銭的な負担も大きいです。そのため、まずは保険適用となる入れ歯治療から始めて、入れ歯に慣れなければインプラントに変える流れがいいと思います。
入れ歯とインプラントを組み合わせた「オーバーデンチャー」という治療もあります。入れ歯の使用感に慣れない方や、噛む力を上げたい方にはこちらの治療もおすすめですよ。
自分に合った入れ歯をつくるにはどうすればいいのでしょうか?
自分の口に合うように細かい部分まで歯科技工士に調整してもらうことが肝心です。
入れ歯は生活に直結する器具です。仕上がりを妥協せず、納得するまで噛み合わせなどの細かな微調整をしてもらいましょう。
歯科技工士がつくる入れ歯は患者さんごとのオーダーメイドです。残った歯の本数など、口内の状況をふまえて、それぞれの患者さんにフィットするリアルな歯をつくります。
一般的には、歯科医師が歯の型を取り、外部の歯科技工士が入れ歯を作製する流れが主流です。しかし、当院には歯科技工士が在籍しているため、院内で入れ歯を作製できます。
院内に歯科技工士がいると、患者さんにどのようなメリットがあるのでしょうか?
入れ歯を細かく調整できるうえに、比較的早く仕上げられます。
先ほどお伝えしたとおり、ほとんどの歯科医院で入れ歯の作製は外部委託です。歯科医が作製している医院もありますが、やはり専門家である歯科技工士に比べると技術が劣る場合が多いでしょう。
歯科技工士が院内にいると、外部に委託する必要がないため入れ歯が早く仕上げられます。入れ歯が壊れた場合もすぐに修理できるため、患者さんから安心だというお声もいただきます。
また、細かい調整ができることもメリットです。外部委託だと、一度作製依頼を出したら完成までほとんど調整できません。しかし院内に歯科技工士がいると、模型の状態でフィット感を確認できるなど、途中で調整を挟みながら製作を進められます。
入れ歯に少しでも気になる点や不安な点があれば、すぐに医師を経由して歯科技工士に伝えられます。保険診療でも自費診療でも、歯科医師と歯科技工士、そして歯科衛生士が1つのチームになって綿密なコミュニケーションを取っているため、安心してお任せください。
口腔内スキャナーで口の中を360°リアルに再現
藤井歯科医院にある口腔内スキャナーはどのように活用していますか?
主に、歯の被せものの作製に使用します。
当院では、口の中の形を小型カメラでスキャンし、それを3次元的にコンピューターで構築する「口腔内スキャナー」を導入しています。
口腔内スキャナーは、主に歯の被せものの作製に使います。従来の方法では、シリコンや粘土のような素材である印象材を口に入れて型取りを行い、とれた型を使って被せものをつくっていました。しかし、印象材の量に苦しさを感じる患者さんが多く、中には嘔吐反射が起こって型が取れない患者さんもいました。
その点、口腔内スキャナーであれば、部分的なスキャンを何回か繰り返すだけで口内の形が把握できます。患者さんの苦しさを和らげられるうえに、すばやく形を再現できるため、とても画期的な機械です。
口腔内スキャナーは口内をどこまで再現できるのでしょうか?
口内の360°を立体的に再現します。噛み合わせや、歯・歯茎の色までわかりますよ。
口腔内スキャナーは、3次元で立体的に口内の形を再現します。歯の生え方から噛み合わせ、歯・歯茎の色までわかるんですよ。
口の中は自分で見られない場所なので、再現図を見て驚く患者さんも多いです。口内の状況をリアルに把握していただけるため、治療の動機づけに使用することもあります。
対話を重視するオープンな歯科医院
先生の経歴を教えてください。
大学は歯学部を卒業し、研修医を経験した後、大学院の口腔医学・顎顔面外科学へ進みました。
朝日大学歯学部を卒業した後、広島大学病院で研修医になりました。研修後、開業医としてすぐに働き始める道もありましたが、さらに経験と知識を身につけたくて大学院に進みました。
大学院で専攻したのは「分子口腔医学・顎顔面外科学」です。研修医時代に、歯科治療における口腔外科や補綴の重要性を感じ、元々感じていた苦手意識を取り払って挑戦しました。
その後に広島大学病院へ就職し、顎・口腔外科で口腔ケアや親知らずの抜歯、口腔ガンの手術などに携わりました。2年働いた後に山口に戻り、親が開業した当院を継いで現在に至ります。
最後に、患者さんに向けたメッセージをお聞かせください。
何でも相談していただけるオープンな雰囲気の歯科医院です。潜在的な病気をチェックするためにも、まずは気軽にお越しください。
症状さえ無ければ健康だと思い込む方も少なくありませんが、自己判断は危険です。痛みなどの症状が無くても、虫歯や歯周病が進んでいることはあります。潜在的な病気を見抜いたり、溜まった歯石や着色を取ったりするためにも、定期的に歯科を受診いただきたいです。
当院では、会話を重視したカウンセリングをおこなっています。口内を詳しく調べたうえで良いところも悪いところも具体的にお伝えするため、持って帰っていただける情報量も多いはずです。
治療計画は自費治療と保険治療をあわせて複数提案します。こちらから意見を押し付けるのではなく、会話を通じて意見を聞きながら治療方針を決めますよ。
オープンな雰囲気のため、歯医者が苦手な方でも気兼ねなくお越しいただきたいです。高クオリティな治療で、口腔全体を改善させていただきます。