あなたの家が診察室に。オンラインで完結する性病治療とは?|モイストクリニック:大野先生
インタビュアー
クリニックのコンセプトを教えてください。
友達に相談するような気軽さで、専門性の高い治療が受けられるクリニックです。
性病治療は、薬の選択や耐性菌※への対応など高い専門性が求められる分野ですが、専門としているクリニックはまだまだ少ないのが現状です。なので、高い専門性を担保しながら、オンライン診療を通じて日本全国に治療を届けたいと思っています。
また当院は、対面診療の受付時間が9時~24時までと長く、遅くまで仕事をしている方でも治療を受けられます。また、産婦人科、婦人科、泌尿器科、内科、皮膚科などさまざまな分野の医師が在籍しており、治療の専門性が高いところも強みです。そのため、症状に合わせてさまざまな薬を幅広く扱うことができます。
さらに、24時間利用可能なオンライン診療もおこなっており、家にいながら対面診察と同じような相談ができます。
※抗生物質を使い続けたことで、薬への耐性を持った細菌のこと。
性病についてはどのような診療を提供しているのでしょうか?
昼間仕事で来れない方向けの夜間診療はもちろん、充実したオンライン診療は当院の特徴と考えています。
当院では、診察から検査、治療まですべて自宅で完結できるオンライン診療を利用する方が約半数です。やはり性感染症というデリケートな病気ですので、対面を希望なさる方もいらっしゃれば、家から出たくなくて極力人目を避けたい患者様もいらっしゃいます。
とはいえ、対面・オンラインのどちらにも対応できるように、基本的には公式アカウントをフォローのうえ、医療相談から入っていただきます。そこで医師が必要と判断した場合は、オンライン診療または、対面診療に誘導しております。もちろん、患者様のご希望によってどちらへの変更も可能です。
このようなサービスにすることで、例えば、前日夜から性器に違和感があっても、翌日は仕事があるからクリニックに行けないような人でも、仕事の合間に医療相談を受けられます。そこである程度不安を解消できたり、次にどうすればいいかを提示したうえで、仕事終わりに受診していただく事が可能になります。
やはり、不安の原因の1つに、性病なのかどうかご自身の判断だけではわからないことが挙げられますので、スキマ時間に医師と相談することで今後どうしていけば良いのかわかるだけでも、心持ちが全然違うと考えております。
性病の治療内容についても教えてください!
飲み薬が基本ですが、治らなかった場合は点滴治療や大きな病院での専門的な治療が必要です。
飲み薬は種類が豊富なので、専門知識を持った医師による患者さんの状態に合わせた処方が可能です。
これまで性病といえば、「このお薬を飲んでおけばいいんでしょ」というような、ワンパターンの治療がメインでしたが、そういった過去の積み重ねから、最近では耐性菌と言ってこれまでの教科書通りの治療では効かない菌も多く出現するようになり、最新の知識が必要な場合もかなり存在します。
性感染症の治療は、クラミジアでも1週間ほどと完治までに意外と時間がかかってしまうことも多いため、なるべく細菌ごとに合わせた治療が望ましいと考えております。耐性菌が多い淋菌や飲み薬で治らない場合には、クリニックでの点滴治療が必要です。また、HIVが陽性となった場合には、大学病院や規模の大きな病院に紹介状を書き、より専門的な診療を受けてもらうことになります。
なお、検査数が1番多いのは淋菌とクラミジアです。また、近年日本でマイコプラズマやウレアプラズマも流行しており、これらは厄介な菌で、治療に難渋することも多いです。そのほかに、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎も検査対象です。また、尖圭コンジローマやヘルペスなど、陰部のできものの診察、治療も可能でございます。
オンライン診療はどのような流れでおこなわれますか?
オンラインで診察を受けていただいた後、検査に必要なものを郵送かクリニックで置いてあるボックスで受け取っていただきます。
オンラインで診察後、検査キットまたはお薬を自宅に郵送します。クリニックに設置してあるお薬ボックスからなら、受け取りが24時間可能です。
検査キットで検体を採取したあとは、24時間お好きな時間にボックスへ提出してもらいます。検査キットの使い方がわからなくても、ビデオ通話での説明を受けられるので安心ですよ。
なぜ定期的な性病検査が必要なのでしょうか?
ご自身に自覚症状がなくても、パートナーや赤ちゃんに重大な症状が現れる可能性があるからです。
性病の怖いポイントは無症状の場合が多いことです。多くの方々が症状に気づかないため、最初の発症者がわかるまで感染が拡大してしまいます。
最近では性病の感染者数が増加しており、原因の1つとして考えられているのがマッチングアプリの普及です。マッチングアプリを介した感染は、感染経路がわからないことも少なくありません。
また、ご自身だけでなく将来の自分の子どもに影響が出る可能性がある点も見逃せません。たとえばコンジローマは、出産時に産道で子どもに感染する可能性がある性病です。赤ちゃんに感染してしまうと、呼吸不全などに陥ることがあります。
予防として、定期的な検診とコンドームの使用が大切です。コンジローマは感染していてもイボが膣の中にあって気づかないことも多い性病ですが、検診で見つけることができます。また、そのほかの性病についても、クラミジアと淋菌は2〜3カ月ごと、梅毒とエイズは4カ月〜半年ごとの検査をおすすめしています。
当院では、妊活を考えている方に向けたブライダルチェックが可能です。ブライダルチェックとは、性病の人間ドックのようなもので、喉、尿、腟の分泌物、採血など全身の検査をします。検査の精度は99%以上と非常に高いのでおすすめです。
男性のお悩みにも幅広く対応。ED治療とAGA治療について
ED治療について教えてください。
患者さんの要望を伺いながら、バイアグラでの治療を行います。
バイアグラには種類があり、通常のバイアグラ、効果の持続期間が1.5日あるシアリス、即効性があり効果が高いレビトラなど特徴はさまざまです。そのため、患者さんの要望に合わせて処方しています。
副作用は、血圧低下によるめまいや意識低下と心臓に負担がかかることです。バイアグラには血管を広げる作用があり、血圧を下げる薬を飲んでいると低血圧になる可能性があります。また、心臓に負担かかるため、心臓に持病がある方には処方ができません。
バイアグラの価格は種類によって異なり、通常のバイアグラが1粒700円〜800円、シアリスが1粒1,500円〜1,600円、レビトラが1粒2,000円程度です。半錠ずつの使用も可能で、しっかりと効果が出るのでコストパフォーマンスは高いと思います。
AGA治療ではどのようなことをするのでしょうか?
飲み薬をメインに抜け毛を抑えて、髪を生やす治療を行います。
当院のAGA治療は飲み薬がメインで、毛が抜けるスピードを遅くするフィナステリドと毛を生やすミノキシジルを処方します。服用量や頻度は採血を行い、肝臓に負担がかからないように調整します。これらの副作用としては、フィナステリドは男性機能の低下、ミノキジルは全身の毛の増加と血管拡張効果による低血圧があげられます。
AGAになりやすいのは、抜け毛の原因となるテストステロンと5α還元酵素の量が生まれつき多い方と頭皮の衛生環境が悪い方です。そのため、テストステロンの量が増える精力剤やサプリメントの過剰摂取、過度の筋トレなどがAGAの原因となる可能性があります。
治療の効果を得るためには最低でも1年以上の期間が必要です。また、フィナステリドについては服用を止めると抜け毛が再発するため、髪の毛が生えたあとも飲み続ける必要があります。
提供したいのは正しい情報と治療の道しるべ
先生のご経歴を教えてください。
泌尿器科で幅広い治療に携わったの血、若年層の疾患を専門とする当院を開院しました。
研修を終えたあと勤務したのが大学病院の泌尿器科です。そこで肝臓や尿、前立腺癌、性病など幅広い治療に携わりました。特に前立腺癌とEDには治療面での共通点が多く、現在の診療に役立っています。
泌尿器科や産婦人科、婦人科は高齢の方の疾患に対応している先生が多く、若年層の疾患を専門としたクリニックは少ないのが現状です。こうした状況を打開するため、若年層の疾患を専門とするクリニックを開院することにしました。
患者さんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
話しやすい環境を提供して、治療の道しるべを示すことを大切にしています。
性病治療を扱っているので、診療では話しやすい環境の整備が重要です。デリケートな質問をすることもありますが、すべて診断ために必要な情報なので、嫌な思いをさせないようにしながらできるだけ詳しく聞くようにしています。
カップルで来院される場合にお伝えしているのは、「誰のせいでこうなったのか」ではなく、しっかり病気を治すことです。治療方針を話し合う際には、正しい情報を提供しながら、治療の道しるべを示すようにしています。治療を通して患者さんが「また前に進もう」と思えるような場にしていきたいです。
今後の展望について教えてください。
「性病といえばモイストクリニック」と言ってもらえるような全国的なクリニックになりたいです。
今後は、より多くの方に手軽に利用してもらえるシステムを作っていきたいです。
たとえば、お薬を24時間提供できる場所が恵比寿だけなので、今後は提供場所を増やしていこうと思っています。さらに、予約システムを改良して待ち時間を短縮し、いつでもどこでも治療を受けられる、コンビニのようなクリニックにしていきたいですね。
性病はデリケートな問題なので、誰にも相談できずに1人で不安を抱えている方も多いと思います。そして不安に思った時に仕事で忙しかったり、勇気がなくてクリニックに問い合わせをすることができなかったり、人と会いたくなかったりすることもあるでしょう。
そのような患者さんが、友達にLINEで気軽に相談する感覚で受診してもらえたら嬉しいです。