「子どもの歯の矯正は早い方がいい」将来の歯の健康を見据えた治療を|ワラワラデンタルクリニック 大津堅田院:中村 麦 院長
今回取材させていただいた先生
インタビュアー
クリニックのコンセプトについて教えてください。
怖くない歯医者をコンセプトに、誰もが安心して治療を受けられる歯科医院を目指しています。
病院といえば白く無機質なイメージがありますが、私はそれが苦手で、有機物に囲まれた優しい雰囲気の歯医者を作りたいと思っていました。そういった思いから医院全体にメインで木材を使用し、古民家のような造りの建物にしました。
また、私自身も高圧的な歯科医にはならないよう注意し、誰もが安心して過ごせる歯科医院を目指しています。
このようなコンセプトが功を奏したのか、他院と比べるとお子様の患者様が多いと思います。元々歯周病治療やインプラントを得意としているのですが、最近ではお子様の予防歯科、歯列矯正などで頼っていただけることが増えました。
子どもの歯並びや噛み合わせは、何歳から気にした方がいいのでしょうか?
乳歯が生えてくる1歳頃から始めるといいです。
お子様の歯並びや噛み合わせについて考えるのは、早ければ早いほど良いです。歯並びが悪ければ歯が磨きにくく、その分虫歯リスクが高まってしまうからです。
最近では、コロナ禍でマスク生活が続いたせいか、鼻呼吸ができない子が増えた印象です。口呼吸が習慣化すると、舌や口周りの筋肉のバランスが悪くなることで歯並びが悪化するだけでなく、体の免疫を下げる要因となります。
歯並びは元々の生え方だけでなく、生活習慣によっても悪化しますので、早い時期から度々確認するといいでしょう。
子どもの歯列矯正には、どんな方法がありますか?
当院では、極力歯を抜かない、新しいタイプの矯正を採用しています。
一般的に、歯が顎に収まっていないために歯並びが悪い場合は、抜歯してスペースを作ることで歯並びを整える方法が知られています。しかし当院では極力歯を抜かず、顎自体を広げる骨格にアプローチする矯正を行っています。
この治療は床矯正という新しいタイプの矯正法で、入れ歯のような特殊な装置を使用します。装置を口内に装着して3日~1週間に一度ネジを回し、少しずつ歯列を拡大し顎を広げていくことで歯並びを整えていきます。装置は取り外せるので日々の食事や歯磨きがしやすく、治療時の痛みもほとんどありません。
床矯正は、乳歯がある5、6歳~12歳くらいの時期に行うのが一般的です。奥歯の乳歯が抜ける頃では装着が難しくなるので、お早めにご相談ください。
早い時期から矯正をすると、戻ってしまう可能性はないのでしょうか?
当院の骨格にアプローチする矯正は、後戻りしにくいのが特長です。
床矯正は骨格自体を矯正するため、後戻りしにくいのが特長です。永続的な治療になり得ると思っていただいていいでしょう。
なお、後戻りには、口周りの筋肉が大いに関係しています。当院では装置を使って矯正すると共に、口周りの筋肉を正常化させるオリジナルのトレーニングも取り入れています。顎の骨の正常な発達を促進し、舌や口周りの筋力の正しい使い方を習得することが、後戻り予防に繋がるのです。
トレーニングはとくに難しいものではありません。例えば「あいうべ体操」という音楽に合わせて口を動かす簡単な体操など、楽しく行えるものをご用意しています。
子どもの歯の矯正は、どの程度の期間行うのですか?
多くの場合、約3~4年間程度行います。
床矯正はゆっくりと骨格を広げていく治療ですので、長い目で見ていただくといいでしょう。1~3ヶ月に一度調整のために来院していただき、3~4年かけてじっくりと矯正していきます。
加えて、こちらで用意したトレーニングを自宅でこつこつやっていただくことで、より効果的に矯正することができます。当院でもできる限りのサポートをしていますが、日々の装着やトレーニングが正常な成長に繋がりますので、お子様と保護者様の頑張りが治療の進行に大きく関わるといえるでしょう。
また、3歳頃から受けられる、歯並びを悪くする原因を取り除くことを目的としたマウスピース矯正は、半年~1年程度の治療期間となります。お子様の年齢や歯列の状態により、より適した治療法をご提案しています。
極力歯を抜かない、大人のマウスピース矯正
大人になってからも、歯の矯正をするメリットはありますか?
先のことを考えると、いつ始めてもメリットの方が大きいです。
大人になってからの歯列矯正は、審美的な意味でも見栄えが良くなりますし、将来的な歯の健康を考えるといつ始めてもメリットの方が大きいです。歯並びの悪さは、30、40代では虫歯を繰り返す要因になりますし、60、70代に入ると歯周病を引き起こす要因となるのです。
歯周病とは、歯周病菌によって歯茎が炎症を起こし、重症化すると歯が抜け落ちてしまうこともある恐ろしい病気です。誰もがかかる可能性があり、日本では成人の半数以上に歯周病があるといわれています。
歯が磨きやすくなることで虫歯はもちろん、後々の歯周病予防にもなります。自分の歯を残すという意味でも、いつからでも歯列は整えておいた方が得策といえるでしょう。
大人の歯の矯正では、歯を抜かない方法はあるのでしょうか?
歯を抜かずにすむ、マウスピース矯正がおすすめです。
矯正のために抜歯を勧める医師も多いですが、当院では、抜かなくて済むなら抜かない方がいいという考えの元で矯正を行っています。先のことを考えると、ご自身の健康な歯は一本でも多い方がいいですよね。
最近では、ほとんどの方がマウスピース矯正を選択され、当院ではアメリカのアライン・テクノロジー社が開発したインビザラインを採用しています。口腔内スキャナで撮影したデータを元に歯並びの動き方をシミュレーションできますし、一括でマウスピースを作製できるので通院の負担も抑えることができます。透明で目立ちにくく、取り外せるため日々の食事や歯磨きがしやすいのがメリットです。
とはいえ、場合によっては抜歯をした方が綺麗に仕上がることもあるので、治療方針は患者様と相談しながら一緒に決めていきます。
メスを使わない、画期的なインプラント
歯を失った患者様の場合、保険診療ではどういった治療法がありますか?
保険診療ではブリッジか入れ歯を選択できます。
ブリッジとは、両隣の残っている歯を土台にして、橋渡しのように人工の歯を取り付ける方法です。固定式なので比較的しっかりと噛めるようになるため、欠損した歯の機能を取り戻すという面ではお勧めできます。
ただ、固定するための歯を大きく削らなければならず、虫歯や歯周病リスクは避けられません。健康な歯は治療により介入すればするほど細菌が入り込みやすくなってしまうので、念入りなケアやメンテナンスが必要不可欠です。
なお、保険診療での入れ歯は、隣の歯に金属のフックをかけることで固定するタイプのものです。ブリッジも入れ歯も安価ではありますが、他の歯に痛み分けするような治療なので、周囲の歯に負担がかかりやすいのがデメリットといえます。
虫歯リスクを下げるためには、どういった方法がありますか?
インプラントなら虫歯リスクは低く、天然の歯よりも長持ちすると言われています。
自由診療にはなりますが、欠損した歯を補う方法として、インプラントを選ぶ患者様が近年では多くなりました。インプラントとは人工歯を埋め込む方法で、見た目が綺麗なうえ、ブリッジや入れ歯のように他の歯に負担をかけません。審美的にも機能的にも大変優れた方法といえます。
大きなメリットの1つに、虫歯や歯の劣化を気にしなくていいことがあげられます。学術的には、天然の歯よりもインプラントの方が長持ちするといわれているほどなので、一度入れたら一生ものと思っていただいていいでしょう。
ただし、歯茎に炎症が起きるインプラント周囲炎といわれる病態にはなり得ますので、歯周病にだけは気をつけた方がいいでしょう。当院では、インプラント治療を受けた方には、歯磨きの仕方や歯周病ケアの指導も行っています。
人工歯は、どういった方法で埋め込むのですか?
当院では、歯茎を切らないフラップレスという方法を採用しています。
元々は歯茎を切開して人工歯を埋め込む方法が一般的でしたが、歯茎の腫れや出血のリスクは避けられませんでした。しかし当院で採用しているフラップレスという方式では、小さな穴を開けるだけで人工歯を埋め込めるため、腫れや出血をかなり軽減することができます。
さらに、術者の感覚によって仕上がりが左右されることがない点も大きなメリットといえるでしょう。従来の方式では、切開して骨を確認しながら埋め込む位置を調整していたのですが、フラップレスはCT画像データを元にコンピューターでガイドを作製できるため、狙った場所に狂いなく埋め込むことができるのです。
加えて、術中の痛みは麻酔をするため気になりませんし、施術は30分程度で終わります。大掛かりな手術が必要だった従来のものよりも、はるかに安心して受けられる治療だといえるでしょう。
インプラントは、高額になりそうなのが心配です…。
費用を抑えるため、入れ歯を組み合わせる方法などもご提案しています。
費用を抑えたい場合は、入れ歯やブリッジと併用する方法もご検討いただけます。一般的な入れ歯は、裏面を歯茎に密着させることで装着しますが、外れやすいのが欠点でした。しかし土台をインプラントにし、その上にボタンのように入れ歯をパチッとはめることで、密着度ははるかに上がります。
また、歯が3本以上連続して欠損している場合は、両端にインプラントを埋め、その間に人工歯を装着するインプラントブリッジという方法があります。通常のブリッジのように周囲の歯に負担をかけることもありませんし、全てインプラントにするよりも費用を抑えることができます。
このように、インプラントの活用法は多岐に渡り、費用を抑えることも難しいことではありません。例えば、全ての歯をインプラントにしようとしたら1,000万円くらいかかるところを、入れ歯を併用することで200~300万円程度に抑えることが可能なのです。他にも一般には知られていない方法がありますので、「インプラントは高いから」と諦めず、是非一度ご相談していただきたいですね。
治療を繰り返さない、患者様に寄り添った歯科医院を目指す
先生のご経歴を教えてください。
外科を得意とする歯科医院に勤め、歯周病治療に関してはかなり修行を積ませてもらいました。
大阪歯科大学勤務を経て、インプラントや歯周病の権威が院長をされている京都の牧草歯科医院に入職しました。その院長の元で修行したおかげで、インプラントと歯周病をはじめとした外科的治療について造詣を深めることができ、幅広い手技や知識を身に着けることができました。
その後は、訪問診療を学びたくて訪問診療を得意としている医院さんに行ったり、多忙な院内で行われている診療を学びたくて心斎橋などの都会で展開している医院さんに行ったりと、歯科医院において広範囲で学ばせてもらったと思います。
開業するきっかけは何かあったのでしょうか?
徹底的に虫歯にさせない歯科医院を作りたいと思ったからです。
開業を考えたきっかけとしては、東京で大きな医療法人をやられている先生とお話をする機会があったことです。将来の展望を持ってたった一人で開業し、そこから大勢の医師の皆さんと共に目標を達成していくパワフルさに感銘を受けました。
私も、治療を繰り返さない、徹底的に虫歯にさせない歯医者を作りたいというかねてからの目標を叶えようと、開業に至ったのです。
おかげ様で現在では多くの患者様に頼っていただけています。遠方から足を運んでいただくこともあるので、今後は分院を作りたいと思っています。新たな患者様に出会うために、まずは関西圏から広げていけたらいいですね。
これから来院される方にメッセージをお願いします。
誰もが安心して通える歯科医院を目指していますので、まずはご相談だけでも足を運んでみてください。
当院では、地域の皆さんの健康寿命を延ばすべく、老若男女誰もが安心して通える歯科医院を目指しています。木のぬくもりを感じさせる院内で、くつろぎながら治療を受けていただけたらと思います。
当院の強みは、虫歯の相談から、高度な歯周病治療など幅広い治療が受けられることです。インプラントや歯列矯正も得意としていますので、患者様一人一人のお悩みを最も適した形で解決できるのではと自負しております。
とはいえ、高度な治療ほど信頼できる医師の元で行うのが一番ですよね。是非さまざまな歯科医院に足を運んでいただき、その中で、当院にもまずはご相談だけでも足を運んでいただけたら嬉しいです。